2016年10月09日

『少女』

少女少女。それは本当の美しさを知らない、間違った美しさに囚われた未熟な女性たち。
これは大人の女性が書き、大人の女性が映像化した、哲学的な美しさを兼ね備えながら、本当の美しさを知る女性にしか作ることの出来ない素晴らしき映画だ。
そして着飾るだけ、若さにかまけるだけで中身を磨かない女性や、そんな女性を美しいと形容する男性には到底理解出来ない秀作だ。

女性には所謂「年相応」の美しさがある。女子高生には女子高生の、30代には30代の、50代には50代の魅力でしか醸し出せない美しさ。
しかしその美しさを手に入れるには「本当の美しさ」を知る必要があるのに、多くの女性は「間違った美しさ」に囚われている。

では「本当の美しさ」とは何か?「間違った美しさ」とは何か?
本当の美しさ。それは自分の汚い部分・弱い部分を認めるが故に外面へと醸し出される内面の美しさ。言い換えれば、内面を磨く強さを得た者だけの、自分を好きになろうとする愛を栄養分にした美しさ。
間違った美しさ。それは内面を磨かず、さらに着飾ったりするだけでは飽き足らず、自分より弱い者を作り出して自分が強者であると錯覚したがる者が信奉する、他人の不幸を栄養分にする美しさ。

だからこそ、間違った美しさを信奉する者はイジメに加担しても、それがイジメだとは認識出来ない。幼児虐待の母親たちが揃いも揃って醜い顔であることさえも認識出来ない彼女たちにとって、誰かを不幸にすることは自分を美しくする行為なのだから。

剣道試合で足を挫いたばかりにイジメの対象になった草野敦子はまだ足が完治していないと嘘をつき続ける。
やっと書き上げた小説を担任に盗作された桜井由紀はその怒りを「誰かが死ぬ瞬間を見たい」という欲求へと変えていく。
親友の死体を見たという滝沢紫織はでっち上げの痴漢騒ぎで小遣いを稼ぎ続ける。

自分を不幸にしていることに気付かない草野敦子、自分を不幸にする道に進み始めている桜井由紀、他人を不幸にし続けている滝沢紫織。彼女たちに因果応報という言葉が襲い掛かる。

判断力に優れた自分を介護施設職員の高雄孝夫を通して気付いた草野敦子、汚い大人を返り討ちにしながらも昴と太一という2人の少年との出会いを経て自分の倒錯ぶりとトラウマに気付かされる桜井由紀、ロリコン犯罪者と判明した父親の血が自分に流れていることに嫌悪感を抱いて自殺を選ぶ滝沢紫織。

親友を守りたいと願った元剣道少女はヨルの綱渡りをしていたことに気付いていなかった。
親友を守りたいと願って小説を書き上げた少女もヨルの綱渡りをしていたことに気付いていなかった。
だから互いに親友を守りたいと願っていたことを実行に移し、本音を語り合った少女たちはヨルの綱渡りを終え、本当の美しさを知った女性へと成長していく。

だがこの作品は少女を卒業し、「本当の美しさ」を知った大人の女性が書き、映像化したもの。
だから「了」を書き終える前にEDロールに入るラストシーンで、この映画を見る全ての少女たちに語り掛ける。「間違った美しさ」を信奉する傾向にある未熟な人生の後輩たちに、「本当の美しさ」を知る格好いい大人の女性たちが、優しく、厳しく語り掛ける。
あなたたちはまだヨルの綱渡りを終えていないでしょうと。因果応報と美しさの意味を自分の人生に置き換えてみなさいと。

共演する全ての若手俳優が大根に見えてしまうほどの怪演を見せた本田翼の女優としての魅力を大いに見せられたこの男性には絶対に描けない作品。
好き嫌い以前に「年相応の美しさ」も理解出来ぬ少女やオッサンたちには難しいと思える作品だったようですが、個人的には素晴らしいと評するに値する映画でした。

深夜らじお@の映画館は少女よりも大人の女性が好きです。特に30歳を越えた大人の女性たちが。

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この記事へのコメント

1. Posted by BROOK   2016年10月11日 15:21
なんとも不思議な作品でした。
不思議と魅入ってしまうような作品という感じかもしれません。

否定的な意見が目立っていたので、鑑賞前は心配でしたが、
観て良かったと思える程、心に残りました。
2. Posted by にゃむばなな   2016年10月11日 23:19
BROOKさんへ

女性にしか書けない物語と、女性にしか撮れない映像。
それがこの作品であるということを理解出来ないと、恐らくこの作品の素晴らしさも理解出来ないのではないでしょうか。
私はそんな気がしましたね。
3. Posted by ふじき78   2016年10月15日 21:11
「了」を書き終える前に終わった物語は「りょ」で切って終わったので「りょ=了解?」と観客に問いただしているのかもしれない。

私は「了」を切ったので、まだ「了ではない」。これから応報が始まるのだ、とも感じてしまった。

こ展開で一番キツイ応報は本田翼の祖母が正気に戻り、少女時代の本田翼の殺意を問いただす。
山本美月の行いが稲垣吾郎にバレる。、、、かな。
4. Posted by にゃむばなな   2016年10月15日 23:43
ふじき78さんへ

どうでしょうね〜。2人の少女の物語はまだまだ終わらないのですかね?
個人的にはこの2人にはもうあんな不幸からは卒業させてあげたいですけどね。
5. Posted by FREE TIME   2016年10月20日 00:48
予告で見て想像してのとは違った内容の作品でしたが、何だか不思議な感覚で魅入ってしまった映画でした。
それにしても、性悪な転校生と変態中年オヤジが親子だったとは・・・。
6. Posted by にゃむばなな   2016年10月22日 23:28
FREE TIMEさんへ

女性、特に少女という特有の時間を過ごした女性たちの特別な感覚なんでしょうね。
男性には絶対に描けない世界だと思いましたよ。

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