2016年10月23日

『バースデーカード』

バースデーカード他界した母から娘へ、人生のアタックチャンス。
向日葵が似合う、凄く温かな雰囲気で心地いい映画なのに、なぜ自然と流れる涙が温かなものではないのだろうか。
主人公のいない物語は存在しない。けれど主人公の心の成長がすっぽりと抜け落ちた物語は存在する。それがこの映画であることが凄く勿体無い。

泣き虫で引っ込み思案な紀子が10歳の時に他界した母・芳恵の、子供たちが20歳になるまで毎年送ると約束してくれたバースデーカードに込められた愛と優しさを10通分見れるのかと思えば、なぜか受験という人生のターニングポイントを迎える15歳や18歳の手紙の内容は見せず、11歳、12歳、14歳、17歳、19歳、20歳と…だけしか見せてくれないこの映画。

しかも脇役人生で十分と人生に悲観していた少女が大きなきっかけもなく、なぜか明るい思春期少女へと成長していくのも不思議なこと。
母の手紙に書かれた通りに作ったチョコレートマフィンをクラスメイトに配るほどの勇気のある少女でもなかったはずなのに、いつの間にか積極性を身に着けた少女へと変貌していること。

さらになぜか19歳という大人の一歩手前にて、母の手紙に人生を縛られたくないとゴネ出す始末。中学生時分ならまだしも、17歳の時に代役で母の故郷・小豆島までタイムカプセルの掘り起こしに行ってもなおゴネ出すとは、あまりにも時期が遅すぎるんですよね。

なので紀子の心の成長がすっぽりと抜け落ち、他界した母から送られてくるバースデーカードを受け取るという事象の羅列でしかない前半はとにかく中身がすっからかん状態。成長したのは紀子の身体だけになっているのが本当に勿体ないんですよね。

ところが児玉清・浦川泰幸を経て谷原章介へとバトンタッチされた「アタック25」への挑戦を志すと、母がいないことへの葛藤も特に描かれることのなかった紀子の快進撃が始まり、映画の雰囲気も一気に明るさを増すのが心地いいこと。

中学生の時に初キスを逃した純との再会と恋人関係への発展、予選会での筆記試験の合格。『旅立ちの島唄〜十五の春〜』で見せたような少女の家族を想う気持ちを吐露するシーンを面接シーンで持ってくることもないのは残念ではあったものの、いざ本戦出場!とばかりに大阪へ乗り込むと、関西人としては上田剛彦アナと加藤明子アナの登場でテンションもアゲアゲ状態。

「アタック25」の本戦での攻防に全くの緊迫感もないのも残念ではあったものの、番組終了時の紀子の「正男、姉ちゃん結婚するから帰っておいで!」告白と、宗一郎パパの魂の抜けた表情が抜かれるというコミカルさも楽しいこと。

そしてプロポーズから結婚式当日までの期間が短すぎるやろ!親への挨拶の前に式場を押さえたんか!だから結婚式当日に正男が帰還するハメになるんや!とツッコミどころの多いクライマックスで明かされる、母から娘へと送られるもう1通の手紙。
この内容が温かい涙が頬を流れ落ちるほどのものでなかったのも残念でしたが、それでも向日葵の前で家族4人の写真を撮り、ブーケに向日葵を添え、母が心を込めて作ってくれたベールを纏っての結婚式はするは心が温かくなるものでしたね。

だからこそ、さらに残念だったのはEDロール後のシーン。新居に引越し、純の念願であった自分の店も持つことが出来ただけで終わるのは実に勿体無い。この作品のテーマをしっかりと掘り下げたのなら、やはりラストは紀子にも娘が出来たというシーンで〆て欲しかった。それが母から娘へと受け継がれる愛の物語になるのですから。

てな訳で脚本の練りとテーマの掘り下げが全く出来ていないことが、自然と流れる涙が温かなものではなかった要因だったのでしょう。
芳恵の代役として紀子の母代わりにもなってくれた近所の美津代おばちゃんや石井沙織おばちゃんとのエピソードももっと描けたはずなのに、勿体無い…。

深夜らじお@の映画館には修学旅行をボイコットしてピンクレディの解散コンサートに行くだけの度胸はありません。

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この記事へのコメント

1. Posted by BROOK   2016年10月24日 05:59
全ての誕生日の手紙を見せてくれると思っていたら、そうではなかったのがちょっと残念でした…。
たしかに18歳の手紙って重要な気がしますね。

作品自体は母の愛が伝わってくる内容で、ロケ風景との相性もピッタリでした♪
2. Posted by にゃむばなな   2016年10月26日 23:40
BROOKさんへ

予告編などからは、やっぱり全てのバースデーカードを見れると思っちゃいますよね。
そして人生の転換期である15歳や18歳の手紙は特に。
それがないのは残念でしたよ。
3. Posted by FREE TIME   2016年11月07日 22:58
こんばんは。
確かに18歳に宛てた手紙も見せてほしかったですね。
出来れば10年間の手紙を全て見たかったです。
4. Posted by にゃむばなな   2016年11月14日 09:04
FREE TIMEさんへ

ほんと、人生の転換期の手紙は見せて欲しかったですよね。
それが本当に勿体ない映画でした。

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