2016年11月03日

『ぼくのおじさん』

ぼくのおじさんDas ist gut.:これでいいのだ。
平成の寅次郎、ハワイに現る。やはり時代や場所が変わっても男はつらいのだ。
何ともほっこりした映画なのか。まさに現代版『男はつらいよ』とも言うべき、この屁理屈が服を着て歩いているようなおじさんにまた会いたくなるではないか。
新たなる美女との関係性が気になる続編も早く見たい!

小学生の春山雪男が「自分の周りにいる大人について」の作文に悩んだ末に題材として選んだのは、父親の弟でもある、週に一日だけ大学で非常勤講師をしている居候のおじさん。

ただこのおじさんが本当に只者ではないのが面白いところ。ぐうたらでケチで見栄っ張りで屁理屈ばかりこねるうえに、甥の宿題は手伝わないけどマンガ雑誌を甥との共同で買おうとする、運動は全く出来ないけどネコの煮干しは強奪する、智子おばさんには頭が上がらないけど義姉に小遣いはせびる、最先端の哲学者だと言い訳ばかりするけど子供染みたいたずらはやめないなど、丸眼鏡に微妙な口髭と口癖である抑揚のない「ワオ」が何ともいい味を出していること。

そんな甥の雪男も嘆くダメなおじさんが一目惚れしちゃったのはお見合い相手でハワイの日系4世のエリー。コナコーヒーや写真のウンチクを垂れるわ、ホノルル大学に留学するかも知れないと嘘をつくわと何かとエリーの気を引こうとしては、ハワイに帰ったマドンナに逢うべく、資本主義的イデオロギーからの脱却を言い訳にハワイ旅行が当たる応募シール集めに大奮闘。

でも結局はご自慢のくじ運にも見放され万年床で不貞腐れる始末と思いきや、作文コンクールの副賞でハワイ旅行を当てた雪男に連れられ、いやおじさん的には雪男を連れて、いざマドンナの待つハワイへ!というところまでがこの映画の面白かったところ。

ハワイに到着してからはエリーの元彼が老舗和菓子屋の若社長・青木と判明すると容易にオチが読めてしまうわ、ドラッグで逮捕されたり、少しのコーヒー農園労働で倒れたりするおじさんの口癖である抑揚のない「ワオ」もすっかり消えてしまっているわと、前半での見せてくれたこの偏屈なおじさんの魅力やそんなダメなおじさんを叱咤激励する雪男とのやりとりなどもすっかり影を潜めてしまうため、どうしても物足りなさや停滞感を感じてしまい、このハワイ滞在期間が長く感じてしまうのが残念でならないこと。

ただそんなおじさんがエリーのことを想い、青木との復縁を優しく後押しするくだりは、昭和テイストな作風も相俟ってか、人情味に溢れていて心が温かくなるのだから、やっぱり『男はつらいよ』シリーズが終わった現代において、こういう作品は必要不可欠だと思ってしまう。

そんな観客の要望に応える用意があるのかどうかは分からないが、ラストで雪男の担任であるみのり先生がおじさんに好意的な興味を持つくだりは否応なしに観客に「ここから先の展開を見せてよ!」と思わせるのだから、「それはまた別の話」というオチはあまりにも残酷だ。

特に妹役の恐ろしいまでの棒読み演技もアシストしてか、春山雪男を演じた大西利空クンが素晴らしい魅力と存在感を放っているだけに、彼があまり成長しないうちに是非おじさんとみのり先生の恋模様を見てみたい!
というか、この屁理屈が服を着て歩いているようなおじさんにまたスクリーンで逢いたい!

深夜らじお@の映画館もいつか姪っ子たちに「わたしのおじさん」という作文を書かれる日が来るのでしょうか。

※お知らせとお願い
【元町映画館】へ行こう!

acideigakan at 23:10│Comments(2)clip!映画レビュー【は行】 

この記事へのトラックバック

1. 「ぼくのおじさん」 したコメ☆オープニングでまったり  [ ノルウェー暮らし・イン・原宿 ]   2016年11月04日 22:13
「したまちコメディ映画祭」オープニング作品は、松田龍平主演の「ぼくのおじさん」 ワールドプレミアだけに、もしかしてレッドカーペットに来たりして??と期待するも現れず。 そりゃ大騒ぎになるもんね・・・・
2. ぼくのおじさん ★★★  [ パピとママ映画のblog ]   2016年11月05日 13:46
人気芥川賞作家の北杜夫が自身をモデルにした冴えない“おじさん”を主人公に綴る同名ユーモア児童文学を、「天然コケッコー」「もらとりあむタマ子」の山下敦弘監督が「舟を編む」「モヒカン故郷に帰る」の松田龍平を主演に迎えて映画化。兄夫婦の家に居候する自称・哲学者.
3. ぼくのおじさん  [ 映画的・絵画的・音楽的 ]   2016年11月15日 20:29
 『ぼくのおじさん』を渋谷TOEIで見ました。 (1)北杜夫の原作を松田龍平の主演で映画化したというので、映画館に行ってきました。  本作(注1)の冒頭は小学4年生のクラスで、中に春山雪男(大西利空)が座っています。  担任のみのり先生(戸田恵梨香)から、皆のま...
4. 『ぼくのおじさん』  [ 時間の無駄と言わないで ]   2016年11月17日 22:14
ぼんやりした笑いがイイ感じ。 おじさんも雪男もとても好ましい。 だらだらとした日常がぼんやり面白い。 松田龍平も子役も抜群にイイ。 脇の配役もしっかりしてて楽しい。 で、ハ ...
5. ぼくのおじさん  [ 象のロケット ]   2016年11月18日 22:34
小学生のぼく=春山雪男が課せられた作文のテーマは、「自分のまわりにいる大人について」。 だが、公務員の父と専業主婦の母では、面白いものが書けそうにない。 そこで居候している“おじさん”を題材に書くことに。 大学で哲学を週に一コマ教えているだけのおじさんは
6. 『ぼくのおじさん』を109シネマズ木場5で観て、呑気でええがやふじき★★★  [ ふじき78の死屍累々映画日記 ]   2016年12月03日 15:01
▲とは言え、この人悪夢探偵だしなあ。 五つ星評価で【★★★お日様の下で「だらーん」みたいな映画】   空気がとってもいい映画。 子供にタカるような取り柄のない大人を ...
7. ぼくのおじさん (2016)  [ のほほん便り ]   2017年12月26日 12:06
朝ドラでは、おなじみの「ちょっと変なおじさん」ポジションが、松田龍平のほどよい魅力と力の抜け加減にぴったり。主人公の「ぼく」の両親が、クドカンと寺島しのぶ、というキャスティングも、なんだか個人的に遊び心を感じ、ウケてしまったのでした。家族を書く宿題の作文

この記事へのコメント

1. Posted by ノルウェーまだ〜む   2016年11月04日 22:18
にゃむばななさん☆こちらにも
思わずまだ観ぬ続編でのおじさんの恋を応援しちゃうラストでしたね〜
愛すべきダメっぷりが、くすくすと笑えました。
2. Posted by にゃむばなな   2016年11月06日 23:10
ノルウェーまだ〜むさんへ

何だかこのおじさんを見ているとほっこりするんですよね。
だからこそ、このおじさんの幸せも同時に願ってしまうのも事実。
早く続編が製作されないかな〜。

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