2017年03月08日

『ラビング〜愛という名前のふたり〜』

ラビングただ夫婦として生きていきたい。そう願った「愛」という名前のふたり。
何とも地味な映画だ。でも大人の味わい深い映画だ。既婚者の方がより深くこの映画を堪能出来るのではないかとも思える映画だ。
予告編で見たような劇的展開などは一切ない。けれどアメリカで6月12日が「Loving Day」と語り継がれている理由がここにはある。

わずが60年前。バージニア州では異人種間の結婚が違法とされていた時代に夫婦として生きていくことを貫いた白人男性のリチャードと黒人女性のミルドレッド。

ワシントンD.C.では許される結婚も、故郷であるバージニアでは保安官に逮捕された挙句に留置所に入れられただけでなく、裁判で離婚か25年間に及ぶ州外退去を迫られる。
そんな夫婦はどういう人生を選んだのか。

声高に訴えを起こすこともなければ、予告編で描かれているようなケネディ司法長官に手紙を書いたことで短い時間で劇的に展開が動いた訳でもない。
ただどこにでもいる夫婦のように愛を育み、笑顔で互いを想い、子供を作り、増えていく家族との時間を大切にする。夫は妻を守ると誓い、妻は夫を優しく抱きしめる。

だからこの映画には盛り上がるくだりはほとんどない。
ただ淡々と現状を粛々と受け止めては家族に迫り来る危機に時折肝を冷やしながらも、その現状に泣き叫ぶ姿などは描かない。
ただ普通の夫婦のようにテレビを見ながら笑い、自然と夫が妻の膝に頭を置く。その夫の頭を妻が優しく撫でる。そこにこの夫婦が特別である理由などは一切ない。

マーティン・ルーサー・キングJr.は非暴力不服従の行進をした。マルコムXはその方針に従わない手段を選んだ。それが公民権運動に沸いた1960年代。
だがラビング夫妻にとっては、ケネディ司法長官からの依頼でACLUの資金援助で弁護士と共に連邦裁に訴えを起こすも、連邦最高裁で案件が取り上げられてもその出席を遠慮した時代。

ラビング夫妻は異人種間の結婚を認めてくれとは声高には言わない。ただリチャードは妻を愛している、それを理解してくれと言うだけ。ミルドレッドは夫を愛している、それを理解してほしいと言うだけ。ただそれだけ。

不器用な夫を演じるジョエル・エドガートンの堅物顔がいい。優しい妻を演じるルース・ネッガの澄んだ瞳がいい。
ラストで明かされるライフ誌のカメラマンが撮った写真に収められた本物のラビング夫妻。その笑顔を見事に演じ切ったこの2人だからこそ成り立った映画だ。

そして最後に語られるミルドレッドの「夫は最後まで私を守ってくれた」という言葉に思わず目頭が熱くなる。これが本物の夫婦愛なんだと。
まさに独身者にとっては目標にしたいほどに美しき夫婦愛だ。

深夜らじお@の映画館もいつかは結婚生活を送ってみたいです。

※お知らせとお願い
【元町映画館】へ行こう!

トラックバックURL

この記事へのトラックバック

1. 『ラビング 愛という名前のふたり』 2017年2月21日 一ツ橋ホール  [ 気ままな映画生活 −適当なコメントですが、よければどうぞ!− ]   2017年03月09日 00:54
『ラビング 愛という名前のふたり』 を試写会で鑑賞しました。 内容は実話だから想像がつく。 【ストーリー】  1958年、大工のリチャード・ラビング(ジョエル・エドガートン)は、恋人の黒人女性ミルドレッド(ルース・ネッガ)の妊娠をきっかけに結婚を申し込むが、当
ド派手な「ラ・ラ・ランド」とは対極。 だが両方とも主演女優がアカデミー賞候補で、結果はデカ目のストーンがオスカーを獲得(笑) こちらの主演女優 ルース・ネッガ (写真:左)の演技は劇渋い。 寡黙な夫は白人、彼女は黒人。 彼らが生きていたバージニア
3. ラビング 愛という名前のふたり  [ あーうぃ だにぇっと ]   2017年03月09日 07:19
ラビング 愛という名前のふたり@一ツ橋ホール
4. 「ラビング 愛という名前のふたり」☆これぞ男  [ ノルウェー暮らし・イン・原宿 ]   2017年03月09日 19:42
その名の通り、ラビングさんの実話の愛のお話☆ ラビング氏は知恵は無いけど男気のある、まさに彼こそが愛する人をひたすら守り抜いた男の中の男。 彼の男泣きに思わず目が潤んで胸が熱くなる・・・・・・
5. ラビング 愛という名前のふたり  [ 映画1ヵ月フリーパスポートもらうぞ〜 ]   2017年03月09日 21:08
評価:★★★★【4点】(11) 第89回アカデミー賞主演女優賞ノミネート作品がこれ。
6. 【映画】ラビング 愛という名前のふたり  [ アリスのさすらい映画館 ]   2017年03月21日 07:25
  ラビング 愛という名前のふたり(2016) アメリカ 原題:Loving 監督/脚本:ジェフ・ニコルズ 出演:ルース・ネッガ/ジョエル・エドガートン/ウィル・ダルトン 日本公開:2017/3【あらすじ】 白人と黒人のカップル、リチャードとミルドレッドは妊娠を機に結
7. ラビリング  [ 映画的・絵画的・音楽的 ]   2017年03月22日 06:22
 『ラビング 愛という名前のふたり』を日比谷のTOHOシネマズシャンテで見ました。 (1)出演しているルース・ネッガがアカデミー賞主演女優賞にノミネートされているというので、映画館に行ってきました。  本作(注1)の冒頭の舞台は、1958年のバージニア州(注2)。 ...

この記事へのコメント

1. Posted by ノルウェーまだ〜む   2017年03月09日 19:41
にゃむばななさん☆
独身の方の方が案外純粋にこの美しき「夫婦愛」に感動できるかもしれません(笑)
とはいえリチャードが裁判官に言いたい事を聞かれて「妻を愛している…と。」というくだりでも素直に目頭が熱くなりました☆
2. Posted by にゃむばなな   2017年03月10日 00:38
ノルウェーまだ〜むさんへ

あれやこれや言いたいことがあるはずなのに、ただ一言に込めるリチャードの想い。
素直に格好いいと思いましたよ。

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
昨日の訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

※オススメです♪※
『KANO~1931海の向こうの甲子園〜』主題歌
ぷろふぃ〜る
Twitter始めますた
nyamu_bananaをフォローしましょう
livedoor 天気
ちょいとした広告掲載