2017年03月19日

『哭声/コクソン』

哭声お前は何者だ?
何とも奇怪な映画だ。いったいこの映画をどのジャンルに分類すればいいのだろうか。『エクソシスト』のようなホラーか、それとも『チェイサー』のような猟奇的サスペンスか。
明確な答えもオチもない。いったい誰が正しくて誰が怪しいのか、それも定かではない。ただただ惑わされ続ける映画だ。

ごく普通の田舎の村で起こる連続殺人事件。どの事件も犯人は正気を失った家族による惨殺事件ばかり。
しかし誰かが噂する。あの村の外れに住んでいる余所者の日本人が怪しいと。あの日本人には悪霊が取り憑いていると。どの犯人もその悪霊の仕業だと。

悪霊の仕業と聞いて誰がそれを信じるだろうか。不安を心に留めない状況下にいる者は誰しもそう思う。
けれど明日は我が身かという不安に苛まれると、自分の娘にその悪霊の恐ろしき手が忍び寄ると思い始めると、誰もがその疑念を確信へと変貌させていく。そうだ、みんなの言う通り、あの日本人が怪しいと。あの日本人は悪霊だと。

以前、取引先の社長からこんな言葉を聞いたことがある。人は誰か1人が噂していてもその内容を信じようとはしない。2人が噂しだすと聞く耳は持つが、それでも信じようとしない。ところが3人が噂しだすとそれを信じようとする。たった3人なのに、それを「みんなが」と解釈するようになる。それが「1人、2人、みんな」だと。

だからクライマックスはもう疑念が交錯しすぎて誰が真犯人なのかも分からなくなる。
あの祈祷師は高名だと言うが本当だろうか。それよりも祈祷で惨劇が解決するだろうか。
あの日本人も実は祈祷師ではないだろうか。ただなぜ瀕死状態から復活出来たのか。
あの若い女が実は悪霊ではないだろうか。しかし彼女の言葉も安易には無視できない。
娘が心配なジョングに情報を提供する者誰もが1人だけ。けれどその情報の真偽を判断できるものが何もない。

だから不安に苛まれると限られた周囲から得られる情報の真偽を確かめる前に、その情報が真実としてインプットされてしまう。「言っても信じないだろう」という日本人の言葉も忘れてしまう。韓国人が日本人に対して無意識に敵意を抱く民族的コンプレックスも無視されてしまう。自分が信じたらそれが真実になるということの恐ろしさも理解せずに。

そんな「これをどう解釈したらいいのか…」と迷う映画ですが、とある方の解説文を拝読すると、この映画の答えは全てOPで示されたルカの福音書第24章に載っているとか。
つまり國村隼さん演じるあの日本人がキリストで、あの手の傷はまさに聖痕。その神の子に異教の司祭でもある祈祷師が「殺」を打っちゃったからこんなことになってしまったのだとか。

キリスト教徒ならではのナ・ホンジン監督作品という訳ですねぇ。そういう予備知識も得ていなにゃあきませんな。

深夜らじお@の映画館はキリスト教に関しては勉強不足で疎いです。

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1. 「哭声 コクソン」:なんだこりゃ?  [ 大江戸時夫の東京温度 ]   2017年03月22日 00:18
映画『哭声 コクソン』は、2時間36分のヘヴィーな怪作(でも、そんなに長くは感じ
注・内容、台詞に触れています。『哭声 コクソン』the wailing 脚本・監督:ナ・ホンジン出演 : クァク・ドウォンファン・ジョンミン國村隼、チョン・ウヒ、他物語・警察官ジョング(クァク・ドウォ
3. 哭声 コクソン/THE WAILING  [ 我想一個人映画美的女人blog ]   2017年03月28日 00:47
THE WAILING 声をあげて泣く、泣き叫ぶ。 「チェイサー」「哀しき獣」などのナ・ホンジン監督作品。 ってことで、楽しみにしてた本作。 監督をしている弟の翔はこの作品が今のところ、今年のナンバーワンだそうで。 初日だったかな、に観たんだけどわたしもかなり
4. 「哭声(コクソン)」  [ ここなつ映画レビュー ]   2017年03月30日 14:43
2時間半あまりの大作。途中すごーく怖いシーンもあるので、鑑賞前には忘れずにトイレに行くことをお勧めする。などの戯言はいいとして、そう、とても怖い話であった。文系のくせに科学しか信じない私でさえ、最初こそ「いいから早く医者連れてけよ」と思ってはいたものの、終
5. 哭声/コクソン  [ 象のロケット ]   2017年04月03日 13:38
韓国の田舎で、村人が家族を殺す残虐な事件が多発する。 殺人犯はみな濁った眼をして湿疹がひどく、言葉も話せない状態になっていた。 やがて、山奥に住んでいる「よそ者」が原因ではないかという噂が広まる。 その男は日本人らしく、いつこの村にやって来たのかを誰も知
6. 哭声/コクソン  [ 映画的・絵画的・音楽的 ]   2017年04月04日 18:31
 韓国映画『哭声/コクソン』をシネマート新宿で見ました。 (1)評判がかなり良さそうなので映画館に行ってきました。  本作(注1)の冒頭では、ルカによる福音書第24章第37−39節が、字幕で映し出されます(注2)。  次いで、男(國村隼)が、大きな川の川岸の岩に腰掛
7. 哭声/コクソン ★★★★  [ パピとママ映画のblog ]   2017年04月27日 20:42
「チェイサー」「哀しき獣」のナ・ホンジン監督が、静かで平和な村を舞台に贈る戦慄のサスペンス・スリラー。謎の日本人中年男性の出現と相前後して原因不明の不気味な殺人事件が立て続けに発生する中、捜査を担当する地元の平凡な警察官を待ち受けるおぞましくも不条理な...

この記事へのコメント

1. Posted by mig   2017年03月28日 00:44
こんばんは〜
好きなジャンルです。私は國村さんは結局は一番の悪魔だったのだと解釈してます。だってあの爪と目を見たら、、、
そしてあの石を投げた女性こそは実は祈祷師、、、面白かった!
2. Posted by にゃむばなな   2017年03月29日 01:00
migさんへ

この映画は見る人によって色々な解釈が生まれる作品なのでしょうね。
クリスチャンであるなしとか、映画をどう楽しんだのかで。
ただ誰もが認めるのは、やはり國村隼さんの凄さでしょう!

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