2017年06月12日

『20センチュリー・ウーマン』

20センチュリー・ウーマン年上女性には敵わない!
あぁ、やっぱり女性は魅力的だ。外見だけでなく内面も世代や関係性が違えば、それだけでまさに百花繚乱。内面を形作るのに時間が掛かる男性とは違い、女性は自分を女と意識した瞬間から内面がほぼ完成している。
だから男性はいろんな世代の女性に刺激を受けて育たねば、いい男にはなれないのかも知れない。

1979年の南カルフォルニア。愛車でもあるフォード・ギャラクシーが燃えてもさほど動じないドロシアは、自らを「大恐慌時代の女」と名乗るほどのワーキングウーマンであり、シングルマザーでもある、メンソールを愛煙する芯の強い女性。
空き部屋を使って下宿人を住まわすわ、お世話になった消防士をホームパーティーに誘うわ、下宿人たちの良き相談相手になるわ、息子ジェイミーを理解するためにパンクロックを見に行ったりと、そのバイタリティーは凄まじいこと。

そんな彼女が15歳になるジェイミーの教育係にと依頼を持ち掛けたのは、下宿人のアビーと近所に住むジュリーという2人の「女性」。
本来なら同性であり、何でも屋まがいのウィリアムに依頼すべきところを、あえて異性を選んでいるというのが、実は「少年」を経験したことのある男性ならその真意を知らず知らずのうちに理解出来ているのではないだろうか。

ちなみにベビーラッシュ時代に生まれたがゆえに実母が服用した流産防止薬のおかげで子宮頸ガンに見舞われたアビーは、赤い髪が特徴のパンクなフォトグラファー。思春期の少年からすれば、芸術の名の下、親や学校から禁止されていることを教えてくれる格好いいお姉さんだが、同時に脆さも見せてくる、男として寄り添ってあげなければならない女性。

そして2つ年上で幼馴染のジュリーは、セラピストの母親にグループセラピー参加を強制されたがゆえに、他人との関係を肉体関係でしか保てない精神的に危うい初恋の相手。思春期の少年からすれば、ちょっと背伸びすれば手に入りそうな近しい存在ながら、毎夜肉体関係は持たないが一緒に眠るという「拷問」を強いてくる彼女はまさに理解出来ぬ女心そのもの。

そんな3人の女性から各々の教育を受けるジェイミーは、とにかく彼女たちから様々なことを学ぶ。人生、音楽、女心、オーガニズム、命の重み、母親との関係、異性を求める意味。それらを学んではウィリアムには特に相談もせず、自分なりに落とし込んでいくのだから、これは男性視点からすると素晴らしき教育システムだ。

というのも、男性視点で語られる女性は所詮「性的魅力」を感じる限られた世代でしかないので、入ってくる情報も限られている。同性を語る時もまた然りで、その多くは自分より年下のことになるので、語る男性が老齢でない限り、こちらもまた入ってくる情報が限られてしまう。

対して女性は世代を超えて同性を理解したり批判したり協調したり出来るうえに、年齢に関係なく「女性としての自己」も確立している。しかも世代を問わず男性に対する意見交換が出来る関係性を築いているので、そんな彼女たちから入ってくる情報は実に様々。生まれた世代、人生経験、年齢により様々な意見が四方八方から同じ高さで飛び交う。

だから女性たちからもたらされる情報の重要度を決めるのは、まさに受け手であるジェイミーでしかない。男性視点なら情報発信者の年齢や人生経験で重要度を受け手も決めてしまいがちだが、女性相手ではまさに受け手が考え動かねばならないのだから、これに勝る教育システムなどありえないとも思えてしまう。

さらにここに男性ならではの「女性を守らねば」「女性に気に入られたい」という2つの男性的欲求が自然と絡んでくるのだから、紳士的で能動的な男性にジェイミーが育っていくのに無理はないだろう。

そんな物語の終わりはジェイミーと3人の女性との別れ。1999年に亡くなるドロシア、それぞれの道を歩んだアビーとジュリー。3人の女性から教育を受けた少年が一人の男として歩み始める。その時に彼の心の中に生まれる女性への尊敬の念。それがフェミニズムであり、男前と認められるための最重要条件なのだろう。

あぁ、私もこんな教育システムの下で青春時代を過ごしたかった…。

深夜らじお@の映画館は年上女性好きな少年だったので、こんな環境が羨ましかったです!

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acideigakan at 23:43│Comments(2)clip!映画レビュー【た行】 

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2. [映画『20センチュリー・ウーマン』を観た]  [ 『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭 ]   2017年06月13日 14:24
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3. 20センチュリー・ウーマン ★★★・5  [ パピとママ映画のblog ]   2017年06月14日 19:56
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4. 20センチュリー・ウーマン・・・・・評価額1700円  [ ノラネコの呑んで観るシネマ ]   2017年06月14日 22:28
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この記事へのコメント

1. Posted by ノラネコ   2017年06月14日 22:50
マイク・ミルズによる自分を作ってくれた女性たちに向けた感謝状のような映画でした。
性をめぐる思春期の悶々は苦しいけど、アビーみたいな姉さんには憧れます。
私もこんな女性たちに囲まれたかったなあ。
2. Posted by にゃむばなな   2017年06月16日 23:55
ノラネコさんへ

確かにアビーのようなお姉さんはいいですよね。
女性の強いところ、か弱いところ、男としてしっかりしなければならないところを教えてくれつつも、性別を超えた人間としての魅力も教えてくれる存在ですからね。

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