2017年10月03日

『僕のワンダフル・ライフ』

僕のワンダフル・ライフ愛犬の輪廻転生。それは願うべきか、願わざるべきか。
なんて犬の演技が素晴らしい映画なんだ。ゴールデンレトリバーにシェパード、コーギー、セントバーナードと、どの犬も今すぐにでも助けてあげたいと思わせる魅力をスクリーンに振りまいているではないか。
ただストーリーに関しては私は愛犬には輪廻転生を望まない派だ。

子犬としての寿命をすぐに終えるも、ゴールデンレトリバーとして生まれ変わったベイリー。脱水症状で危ういところをイーサンに救ってもらい、少年との絆を深めていく前半から思い出される、10年以上前に他界した愛犬との日々。

犬をペットではなく家族として過ごした身としては、やはり愛犬にはこういう風に思っていてほしいという願いが詰まった作品だけに感動は必至なはずなのだが、ただ私は素直に涙腺が緩まなかった。
なぜならそういう想いは裏を返せばある種の人間側のエゴであり、ワガママな願いであるからこそ、そこに「自分は愛犬を幸せにしてあげられていただろうか」という疑問も常に付きまとうからだ。

特にベイリーの躾をきちんとしていないイーサンを見ると思ってしまう。可愛がるだけではダメだ。愛犬が周囲から悪い目で見られるということも避けてこその飼い主なんだ。ハンナのようにベイリーを大事に想ってくれる人ばかりではないと思って愛犬を守らねばならないんだと。

ただそうは思いつつも、やはり何度も訪れるイーサンとベイリーの別れは淋しいもの。人間にとってはまた会えるという想いも、犬にとってはまた会えるのかなという想いでもある以上、愛犬にそんな想いをさせたうえでの今生の別れはこれまた本当に辛い。

だからこそベイリーがジャーマン・シェパードのエリーとして生まれ変わり、今度は警察犬として新たな犬生を歩む姿も、またカルロスの心を癒すパートナーとしての頑張りも素晴らしい。
コーギーのティノとして生まれ変わり、マヤという人見知りの女性をナイスアシストしながらも自分の恋愛も成就させ、幸せな家族のなかで立派な犬生を全うしたことも素晴らしい。
そして4度目の輪廻転生でセントバーナードのバディとしてダメ飼い主のところを去り、イーサンに再会するだけでなく、イーサンとハンナの老年の恋を実らせた挙句に、自分自身をベイリーだとイーサンに認識させたことも素晴らしい。

けれど私はそんなベイリーの犬生を見て思う。私の愛犬にはこんな輪廻転生はしてほしくないということを。

もちろん私も愛犬にまた出逢えるなら出逢いたいという想いは今もある。しかしエリーが銃弾を受けて血を流す姿を見て、ティノが愛妻ロキシーの最後の姿を見送る表情を見て、そしてバディが動物虐待のような状況下で何年も飼われている姿を見て、誰が愛犬にそんな辛い経験をしてまで自分に会いに来て欲しいと思えるだろうか。

私は愛犬が我が家に来て幸せに犬生を全うしてくれたと思っている。でもそれは同時に自分の願いでもあるとも分かっている。だからこそ、出来る限り愛犬にはもう辛い思いだけはして欲しくないという想いもある。

しかしながら、この映画ではそういった「また新しい家族を迎える」ということが出来ない人間の想いは一切描かれていない。原作が愛犬を亡くした恋人を癒す目的で書かれたものである以上、それは仕方のないことかも知れないが、それが私が涙腺を緩めることが出来なかった理由だ。

犬は人間が思っている以上に、人間のことをよく見ている。だから同じ家族でも本当に心を許せる者にしか背中を見せない。けれど大切な家族には誰であろうと静かに寄り添ってくれる、この上ない最高の家族だ。

それゆえに愛犬とは目で会話する。今、愛犬が本当に望んでいることは何なのかを探っては叶えてあげることで深めていく絆。

人間と違い中年期がなく、若年期からある日突然老年期に入る大事な家族。自分より後に生まれて先に寿命を全うしていく大事な家族。

そんな家族だからこそ、ベイリーとイーサンの再会後のシーンはもっと見たかった。『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』のラッセ・ハルストレム監督だからこそ、そのシーンがもっと見たかったのは私だけではないだろう。

深夜らじお@の映画館は愛犬に散歩担当として強く必要とされていました。

※お知らせとお願い
【元町映画館】へ行こう!

■TBアドレス:http://blog.goo.ne.jp/tbinterface/730f90af134a30862cdeead283a8e8c9/3f こねたみっくすgoo版

この記事へのコメント

1. Posted by BROOK   2017年10月04日 06:08
犬が転生を繰り返していくという展開は、なかなか今までにない作品だったと思います。
転生先の人間のエピソードがちょっと短いところもあったので、残念でもあり。

素敵な結末だったのは良かったです♪
原作はあの続きがあるみたいですね。
2. Posted by kossy   2017年10月04日 07:31
実際には転生はあって欲しくないですね〜
何だか秘密を握られているような気もして(笑)

やっぱり犬はそれぞれの飼い主に愛されるわけなので、その都度パートナーとして付き合っていきたいものです。
3. Posted by にゃむばなな   2017年10月04日 23:10
BROOKさんへ

まだ続きがあるんですか。
出来ればそれはイーサンとのいい思い出を紡ぎましたで終わってほしいですよ。
もう輪廻転生はこれで終わりにしてほしいですね。
4. Posted by にゃむばなな   2017年10月04日 23:11
kossyさんへ

そうですね、その都度その犬を愛してくれるパートナーに出逢う訳ですから、その一つ一つの絆を大切にしてほしいものですね。
5. Posted by 源之助   2017年10月07日 08:04
イーサンがまだ子供の頃のベイリーの躾をきちんと出来てなかったのは両親が躾に関与して無かったのを考えると仕方ない気もします。
40,50年前というか現在でも少年が一人で大型犬の躾が出来るか?というと難しいでしょう。
まあ成犬になったベイリーがリード無し(だった筈)でフットボールの大会に普通に付いて来れてた事を考えると、イーサンは良くやってた方じゃないでしょうか。
私も自分の家の愛犬にはこんな輪廻転生はしてほしくないですが、
それはそれとして再会を果たした後のベイリーとイーサンの物語は確かにもう少し見たかったですね。

6. Posted by FREE TIME   2017年10月08日 12:30
自分も以前に犬を飼っていた事があったので、イーサン少年とベイリーが共に過ごす日々は当時を思い出しました。
ちなみに自分も転生はしてほしくない方ですね。
7. Posted by にゃむばなな   2017年10月09日 15:24
源之助さんへ

まぁ大型犬の躾は大変ですからね。
でも多少なりともの努力は見たかったですね。
このベイリーの厳しい輪廻転生を見ているとよりそう思ってしまいますよ。
8. Posted by にゃむばなな   2017年10月09日 15:28
FREE TIMEさんへ

愛犬を想えば想うほど、やっぱり輪廻転生はしてほしくないですね。
直接自分のところに帰ってくるならまだしも、そんなご都合主義なことは望めないですから、余計に思っちゃいますね。
9. Posted by ジョニーA   2017年10月11日 14:11
皆が皆、イーサンに感情移入して観れればいいんでしょうけど、あの警察官や、黒人カップル
の立場になって観ると、とたんに「自分がそういう場つなぎの存在なんだったら嫌だなぁー」
ということが頭をよぎってしまいますし・・・。理屈で考えないほうがいい映画でしょうね。
ワチクシも、最後の方はちょっとベイリーが人間に近くなりすぎて醒めてもきました。
ま、最後のジャンプでなんもかも吹っ飛んで大感動はしちゃったんですけどね・・・w
10. Posted by yukarin   2017年10月12日 13:00
『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』はにゃむばななさんのおすすめ作品で観てました〜
あの監督さんとは気付かずに観てました。

ベイリーとイーサンの再会のシーンは私ももっと観たかったです。
うちは猫でしたがもう一度会いたいですわー。
11. Posted by にゃむばなな   2017年10月14日 23:36
ジョニーAさんへ

自分が繋ぎ役なのは嫌というのはよく分かります。
この作品にはそういうところは一切考えていないですもんね。
あくまでも自分だけ良ければの作品と言われればそれまでの作品ですからね。
12. Posted by にゃむばなな   2017年10月14日 23:38
yukarinさんへ

ベイリーはイーサンに出逢って、もっと一緒に遊びたかったはずですから、その辺りはもっと描いて欲しかったですね。
犬と人間の組み合わせの数だけ、そこには様々な絆があるものですから。

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
昨日の訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

※オススメです♪※
『KANO~1931海の向こうの甲子園〜』主題歌
ぷろふぃ〜る

にゃむばなな

Twitter始めますた
nyamu_bananaをフォローしましょう
livedoor 天気
ちょいとした広告掲載