2017年10月13日

『猿の惑星:聖戦記』

猿の惑星聖戦記ところでチャールトン・ヘストンと自由の女神は?
う〜ん、何なんだろか、この消化不良な気持ちは…。
映画はとにかく面白い。あの偉大なる1作目へ通ずる様々な布石も満載な上に、シーザーの苦悩や彼を演じ続けたアンディ・サーキスの素晴らしい演技も堪能出来る。
でもこの映画を見て、次に1作目を見たいとは思えなかった…。

「いかにして地球は猿の惑星へと変わったのか」ではなく、「なぜ人類は言葉を失い、猿類が言葉と知能を得るようになったのか」を描いているこの前日譚最終章は、『スター・ウォーズエピソード3/シスの復讐』のように、徐々にシリーズの原点である1作目へと近づく高揚感を煽るようなシーンを期待した者にとっては残念にも思える作品だ。

もちろんこの映画は面白い。『新世紀』でのコバとの一件を経て、人類とは離れた山奥での平穏な暮らしを奪われたシーザーが復讐の鬼へと変わっていく苦悩といい、冷静さを失ったがために仲間に虐待とも言える強制労働をさせてしまう辛さといい、まさに1作目へと繋がるための前日譚というよりは、シーザーの生き様を描いた作品に昇華しているからだ。

またカーツ大佐のようなウディ・ハレルソン大佐が我が子の命を奪ってまでも人類の退化を止めようとした背景には、人類の無謀な進化の代償が、逆に人類の退化だけでなく、猿類の異様な進化になってしまったのも、ある意味人類の愚かさの象徴とも言えよう。

だからこそ、様々な戦争映画へのオマージュで彩られたこの作品は、まさにシーザーをモーゼのように、猿類の収容所脱出を「出エジプト記」のようにも描いてる。争い合う人類を巻き込んだ雪崩も海割れといったところだろう。

ただこの前日譚最終章には、チャールトン・ヘストンを意識させるような俳優も出てこなければ、自由の女神もNYも出てこない。『創世記』で描かれた行方不明になった宇宙船も、「行き先NY」の飛行機も完全に忘れ去られている。

前日譚シリーズがシーザーの生き様を描くシリーズへと変化した、つまりは地球が乗っ取られる前にストーリーが猿類に乗っ取られたのだから、ある意味仕方のないことなのかも知れないが、それでもあの偉大なる1作目までに空いたタイムスパンを考えると、もう1作品くらい撮れるのではないかとも思えてしまう。シーザーが命の灯を静かに消し去って終わりでは物足りないとも思えてしまう。

恐らくそれは私がまだこのシリーズを「人類目線」で見たいという想いが強いからだろう。地球もストーリーも猿類に乗っ取られても、私のこのシリーズへの期待値だけは乗っ取られたくないという深層心理もあるからだろう。

でも前日譚シリーズである以上、やはり求めてしまうのは今作を見た後に改めて1作目を見てみようと観客に思わせる。個人的にはこれではないかと思うのである。『スター・ウォーズエピソード3/シスの復讐』で味わったあの高揚感なのである。

そんな高揚感がなかったのは残念ではあったものの、バッド・エイプのコミカルさといい、ルカに代わるロケットの勇ましさといい、モーリスの参謀ぶりといい、もはや猿というよりは猿の風貌をした人間の役者のようにしか見えなかったこの作品の映像技術は素晴らしいとしか言い様がない。

けれども1作目を見た時の、あの猿の仮面を被った様がより宇宙人ぽく見えた怖さと比べると、どうしても残念というか、消化不良の気持ちが強くなってしまうのは私だけだろうか…。

深夜らじお@の映画館はウディ・ハレルソン大佐が後頭部をカミソリで剃る姿が衝撃でした。スキンヘッドさんたちはあんなにも器用なのか!

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この記事へのコメント

1. Posted by BROOK   2017年10月14日 05:43
たしかに今作で自由の女神を出していれば、オリジナル版1作目の衝撃的な結末に上手く繋がっていたような気がしますね…。

猿と人間の戦いは見応えがありました♪
特に終盤は迫力満点でしたね。
2. Posted by にゃむばなな   2017年10月14日 23:42
BROOKさんへ

映画としては面白かったのですが、前日譚シリーズとしては何だか物足りなかったですね。
監督はあの偉大なる1作目をあまり意識していなかったのでしょうかね?
3. Posted by kossy   2017年10月15日 07:46
俺は大満足でした♪
たしかに一作目に繋がらない点はありますけど、ノバとコーネリアスを登場させてるから想像はできますよね。
こうやって猿の惑星になっちゃったんだ〜と妙に納得してしまいました。
4. Posted by えふ   2017年10月15日 20:13
私もラストには自由の女神が横たわってるかと思ってたので、
ちょっとすっきりしない終わり方でした。
それとやっぱりいかにして猿が人間を支配したのか、
その過程が知りたかったです。
良くも悪くもシーザーの一生に焦点をあてすぎたようにもおもえました。
5. Posted by 源之助   2017年10月15日 21:22
こんばんわです。
自由の女神もですが『創世記』で描かれた行方不明になった宇宙船について何ら言及が無かったのが残念でしたね。
シーザーの物語として彼の生涯を描ききってたという点では素晴らしかっただけに勿体なかったと思います。
6. Posted by にゃむばなな   2017年10月15日 23:54
kossyさんへ

個人的には『スター・ウォーズエピソード3』のような高揚感を期待してしまったので残念に思えてしまいましたが、まぁこれはこれでいいのでしょうね。
7. Posted by にゃむばなな   2017年10月15日 23:55
えふさんへ

もう1作品、作ろうと思えば作れるだけのタイムスパンがストーリー上にはありますからね。
是非前日譚をもう1作品!
8. Posted by にゃむばなな   2017年10月15日 23:57
源之助さんへ

シーザーの物語であって、地球が猿の惑星になった物語というにはちょっと強引かなとも思える作品でしたね。
チャールトン・ヘストンも自由の女神も何らかの言及はして欲しかったですよ。
9. Posted by yukarin   2017年10月16日 15:00
こんにちは。
チャールトン・ヘストンまではまだまだのようですね。何本か作ってようやく登場な感じじゃないですか??
最後につながる流れだったらもっと盛り上がったかもしれませんが、シーザーの物語としての3部作としては良かったです。
10. Posted by にゃむばなな   2017年10月21日 23:30
yukarinさんへ

そうなんですよね、シーザーの物語としては良かったのですが、この先前日譚をまだ作る様子も無さそうですし…。
何か消化不良ですわ。
11. Posted by latifa   2017年10月22日 14:35
にゃむばななさん、こんにちは!
>あの偉大なる1作目までに空いたタイムスパンを考えると、もう1作品くらい撮れるのではないかとも思えてしまう。シーザーが命の灯を静かに消し去って終わりでは物足りないとも思えてしまう。

そうですね。ぜひ、また作ってもらいたいです。面白かったんだけど、なーんか、手放しに大満足!ってわけでは無かったな・・。
12. Posted by ノルウェーまだ〜む   2017年10月23日 10:58
にゃむばななさん☆
私もです!!!
最初から最後までにゃむさんの仰る通り。
全く同感でした。
この3部作はシーザーが人間との全面戦争を経て、ひっそりと山で村を形成していくのに第1作目から10数年が経っている設定ですが、チャールストンヘストンがどのタイミングで宇宙へ飛び立ったの??とつい思ってしまいました。
まさに猿の物語に乗っ取られたと言う感じでしたね。面白かっただけにちょっと残念…
13. Posted by にゃむばなな   2017年10月25日 00:57
latifaさんへ

このまま前日譚シリーズは終わりますと言われても納得出来ない終わり方でしたよね。
映画が面白かっただけに、すんなりとあの1作目と繋がるようにして欲しかったですよ。
14. Posted by にゃむばなな   2017年10月25日 01:00
ノルウェーまだ〜むさんへ

前日譚1作目のあの行方不明の宇宙船が恐らくチャールトン・ヘストンの…と思うのですが、それもあのまま放置状態。
そういうところをきちんと見たかった者としては、その辺りが残念でしたよ。
15. Posted by q   2017年11月05日 20:05
解ります!御言葉、解ります!すっきり感が無かったです。中途半端でした。
旧作からファンとしてはノヴァ登場⇒時代設定に疑問⇒チャールトン・ヘストンが降り立った地球でノヴァに出会う⇒未来≒文明滅亡1000年以上経過。あれ?良いのかしら〜と突っ込み
そして自由の女神「出るよ〜出る出るっ」も無かったですよね。
でも。シーザー目線で観てました・・・(笑)
シーザーに御疲れ様のキスを贈りたいです💖
16. Posted by にゃむばなな   2017年11月06日 23:10
qさんへ

これで前日譚シリーズは終わりですというのが、どうも納得し難いというか、ほんまスッキリしないんですよね。
まだまだあの伝説の1作目へ繋げるには数作撮れるだろうと。
17. Posted by もののはじめのiina   2017年11月17日 08:58
> 大佐が我が子の命を奪ってまでも人類の退化を止めようとした背景には、人類の無謀な進化の代償が、逆に人類の退化だけでなく、猿類の異様な進化になってしまったのも、ある意味人類の愚かさの象徴とも言えよう。
人間の愚かさといえば、こんな話があります。
人を一人殺したら殺人者といわれるが、万人を殺すと英雄と称えられる。
中国の毛沢東が、核戦争をソ連のフルシチョフに持ち掛けたそうです。中ソが米と核戦争すると中国の方が人口が多いので、多く残った方が勝る。もちろんフルシチョフは呆れて蹴っりました。
いま、性懲りもなく中国の習近平が太平洋を米と中国が分け合おうと提案しました。
米のトランプは話に乗らなかったですが、こんど再び持ち掛けたそうです。
18. Posted by    2017年11月18日 21:17
まだ、未見でコメントするのもどうかと思いますが、核然り、人類の進化の想定は、科学社会であって、そこにどんな愚かな政治家が出るか、という事は、子孫には考えられないものでしょう。ただ、教訓と粛正をもって、過去を振り返り続けるだけかと。

対する、猿に支配された星、というのは、想定外であって、誰も考え付かないし、敢えて無知な猿を助けよう、という気にもならないかと。だから、人類と猿シーザーとが、友情を持つとすれば、政治や文明の力学を超えた、原始的な生き方で、それが、政治を超えた「本物の自由」だという事になるとも思います。
19. Posted by にゃむばなな   2017年11月19日 22:55
もののはじめのiinaさんへ

その話は有名ですよね。
特に毛沢東の評価が国内外で違うということで、よく例に挙げられますし。
そんな国家を作るような指導者がいるなら、まだ猿の国家になる方がマシかも。
20. Posted by にゃむばなな   2017年11月19日 23:00
隆さんへ

歴史は繰り返されるという言葉の意味を理解しているのは人類か、それとも猿類か。
それはこの映画をご覧になられてみてください。
愚かな人類って時代を超えて存在するものですよ。
21. Posted by もののはじめのiina   2017年11月20日 08:25
> チャールトン・ヘストンも自由の女神もどこへ行ったのやら? それを見たかったですよ。
「猿の惑星」の救世主の物語りを描いたのが「聖戦記 グレート・ウォー 」なのでしょうから、オリジナル初期作までは、また遠い物語を必要とするのだと思います。

映画を見る者たちの解釈も、またそれぞれではあると思います。

22. Posted by にゃむばなな   2017年11月25日 23:43
もののはじめのiinaさんへ

個人的にはその遠い物語を見たかったんですよね。
チャールトン・ヘストンも自由の女神も描いてこそ、前日譚シリーズは完結するものだと思っていたので。

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