2017年10月15日

『ブレードランナー』

ブレードランナー人間とレプリカント。どちらが命の意味を理解しているのか。
SF映画史においてエポックメイキングな作品として語ら続けているにも関わらず、劇場公開時は不人気がゆえに早々に打ち切られた伝説まで持つ、フィリップ・K・ディックの遺作を映像化したこの映画。
2019年が迫った今、改めて見るとその素晴らしさに言葉を失う。

人間と同じ形状で同じ能力まで持つレプリカントと呼ばれるアンドロイド。そんなレプリカントを奴隷のように扱う植民惑星から脱走してきた4体を始末する特捜班:ブレードランナー。
そんな設定を聞けば、今の時代なら誰もが派手なアクションを期待し、人間の傲慢さを皮肉ったストーリーを堪能したいと思うのではないだろうか。

だがこのSF映画史に燦然と輝く名作は、そんな派手なアクションもなければ、人間の傲慢さをこれ見よがしに皮肉ったストーリーも存在しない。
逆に主人公であるデッカードがレプリカントのロイに追い詰められたり、自分をレプリカントと気付いていなかったレーチェルと愛し合ったりするストーリーは、この時代だからこそ、新鮮に感じるかも知れない。

そもそもレプリカントの反乱を恐れてその寿命を4年としたことに対して、人間の側から見れば、それはまさしく「保険」以外の何物でもないが、レプリカントの側からすればどう思うかなど、この作品で描かれるまで多くの方は考えたこともなかったのではないだろうか。

感情が芽生えぬ間はただのロボットでしかなかったレプリカントも、感情が芽生えてしまえば、そこに人間との垣根はほぼなくなったも同然になってしまう。
それは人間の側からすれば、ある意味恐怖だ。見た目も感情も同じとはいえ、根本が違うものに恐れを抱く人間には所詮受け入れることが困難な存在なのだから。

しかしレプリカントの側からすれば、限られたごく短い寿命は、己が経験してきた悔しさや哀しみ、愛しさといったもの全てが無にされてしまう切なさでしかない。だからこそ、そのタイムリミットを解除してほしいと願うのも当然の話なのだ。

ロイがデッカードを追い詰めた先で命の灯が消える前に独白した内容もそんな切なさが滲み出ているようにも思える。
そしてそんな彼の想いは、レーチェルというレプリカントを愛してしまったデッカードだからこそ、伝わることが出来たのではないだろうか。

ただユニコーンの夢といい、レーチェルと逃避行を決行する前に玄関で見たユニコーンの折紙といい、デッカードもレプリカントではないかという疑惑を残すラストシーンに関しては、個人的には彼は人間であって欲しいと願ってしまう。
レプリカントだから同種の気持ちが分かるではなく、人間でも異種の気持ちが分かる方がヴァンゲリスの「愛のテーマ」がより心に響くからだ。

芸者印の「強力わかもと」の映像が強烈に残る映像があまりにも有名だが、果たしてヴァンゲリスからハンス・ジマーとベンジャミン・ウォルフィッシュに代わった音楽も含めて、どこまでオリジナル要素を出して観客を楽しませてくれるのか。
前作から30年後を舞台にした、35年ぶりの続編『ブレードランナー2049』が楽しみでならない。

深夜らじお@の映画館は「愛のテーマ」を聞くとABCアシッド映画館が放送終了を迎える午前3時もしくは午前4時の淋しさを思い出してしまいます。

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acideigakan at 23:37│Comments(6)clip!映画レビュー【は行】 

この記事へのコメント

1. Posted by ノルウェーまだ〜む   2017年10月22日 17:45
にゃむばななさん☆
私も先日、見直してみたところです。
やっぱり傑作だなぁと、改めて思いましたね。
暗い映像も多いですが、どこかアートのような絵と全編に渡って情緒豊かに切ない展開、まるで詩のようなストーリーがいつまでも心に残ります。
続けてブレードランナー2022と2036と2048も見たので、もう準備万端になっている私です♪
2. Posted by にゃむばなな   2017年10月25日 00:58
ノルウェーまだ〜むさんへ

な、なんと、『2022』『2036』『2048』とあるとですか!
調べましたらアニメですね。これは見てみないと!
私も準備万端にしておかないと!
いい情報をありがとうございます。
3. Posted by yukarin   2017年10月27日 13:36
私も見直しました〜かなり忘れてます 笑
今観ても面白かったです。
いよいよ今日から2049が公開されましたが30年後の世界がどんな風なのか楽しみですね。
4. Posted by にゃむばなな   2017年10月28日 23:01
yukarinさんへ

今改めて見ると、その素晴らしさに気付く作品でしたね。
そしてこの時代にこそリメイクされる意味もあるのかも知れませんね。
5. Posted by q   2017年11月05日 21:02
観ました。
今、観ても映像、美術も新鮮。意外とこれって奥が深くて「人間とは何か」っていう哲学的な世界なんですよね。
ルドガーハウアーがイイのは変わらない💖
理解出来ない部分も、またこの作品の良さ!
6. Posted by にゃむばなな   2017年11月06日 23:13
qさんへ

哲学的な世界に美しい映像。けれど、どんなに時間が経っても古臭さだけは存在しない。
こういう作品こそ、時代を超える作品なんでしょうね。

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