2017年12月14日

『リュミエール!』

リュミエール!映画のはじまり、はじまり。
映画の起源でもあるシネマトグラフ。それを発明し、映画の父と称されたオーギュスト&ルイ・リュミエール兄弟が1895年から1905年までに製作した1,422本の作品から厳選された108本で構成された珠玉の90分。
少々玄人向けな内容ではあるものの、50秒ワンカットの映像には今も変わらぬ人々の愛がある。

映画ファンなら誰しもがその名を知るリュミエール兄弟。「動く写真」ことシネマトグラフを興行、つまりは映画に仕立て上げたジョルジュ・メリエスもその魅力に取り憑かれた、わずか50秒しか撮影出来ない作品の数々は、少なからず誰しもが一度は見たことがあるはず。

例えば人類初の映画でもある『工場の出口』は、大きな門が開いたら工場で働いていた人々がただ出てくるだけだが、シネマトグラフが何たるかが理解されていない時代。工場から出てくる誰もがカメラを意識していないところが、まさに時代をそのまま切り取っていると言ってもいい日常風景。

しかもリュミエール兄弟はこの『工場の出口』をリメイクしていたことにも驚き。具体的には工場から出てくる人々の後ろから馬車が最後に出てくるのがリメイク作品なのだが、この馬車が出てくるか出てこないかで、その工場の賑わいも大きく印象が変わってくる。

さらにパリでの有料上映会でも大きな話題となったと伝えられている『ラ・シオタ駅への列車の到着』。観客が本当に列車が自分に向かってくると思って上映会場がパニックになったという逸話よりも、この列車を映す構図についての解説もなかなか面白いこと。

その他にも消防馬車が勇ましく走る風景を始めとするフランスの街並みだけでなく、日本を始めとする世界各国での撮影に加え、リュミエール家全面協力での出演で作られた数々の作品も、どれもが映画ファンならその知的好奇心を刺激してくれるものばかり。

ただ関係者へのインタビューといったシーンもなければ、リヨンの「最初の映画通り」の現風景が映し出される訳でもないこの作品は、全体的には少々単調でもあるのが玉に瑕。
また構図がどうのこうのと玄人向けの解説がメインなので、NHKの傑作「映像の20世紀」を見る感覚で挑んでしまうと、ちょっと睡魔との戦いを余儀なくされるかも知れない。

それでもこの映画を見て思うのは、やはり今も昔も人々はカメラを向かられると笑顔になり、サービス精神が旺盛になるだけでなく、人々が撮りたいとカメラを向ける先にはほぼ家族への愛がそこに存在しているということ。

猫にエサを与える少女にしても、両隣の女の子に葡萄をあげ続ける少年にしても、わずか50秒の世界に様々な愛が見て取れる。
そしてオーギュスト・リュミエールが赤ん坊に食事を与える優しさに満ち溢れた『赤ん坊の食事』、フィルムの巻き戻しを光を当てたままで見せてしまったがために逆再生が魔術のようにも見えた『壁の取り壊し』など、今でいうところのホームビデオを見ているような心が温かくなる映像の数々は、どんなに時代が変わっても変わらぬ市井の人々の日常風景があることを改めて知らされる。

そう、市井の人々の日常風景が愛に満ちている限り、映画は絶対になくならないのだ。

深夜らじお@の映画館はこの作品を、日本での映画発祥の地:神戸で拝見させていただきました。

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acideigakan at 23:59│Comments(0)clip!映画レビュー【ら行】 

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