2018年06月20日

『ワンダー 君は太陽』

ワンダー一歩踏み出す。その勇気が宇宙を変える。
他人と違う。それだけで悩む少年がいる。手の掛からない子。そんな親の期待で悩む姉がいる。過ちを犯した。そのことに悩む友人がいる。自分にはない魅力。それに気付いて悩む親友がいる。
これは難病モノでもなければ、一人の少年の成長物語でもない。正しさよりも優しさを選ぶ物語だ。

『スター・ウォーズ』をこよなく愛する10歳のオギーは学校に通ったことがない。その理由は遺伝子の先天性疾患による顔の変形で27回に及ぶ手術を経験してきたからだ。
本人曰く「マシになった」とはいえ、宇宙飛行士のヘルメットを脱げば好奇の目に晒される環境は、その小さな身体にはあまりにも過酷な現実だ。

だが彼は時に悲観しながらもユーモアは決して忘れない。周囲の悪意ある言葉よりも大好きな理科の授業を聞くことを優先する。
意志の強い母親と、ユーモアを忘れない父親、いつも隣にいてくれる姉と愛犬と暮してきた10年がそうさせるのか、彼は周囲の好奇や悪意の目と闘うというよりも、状況が好転するまで静かにいつも通りの生活をしているかのようだ。

一方でこの映画はオギーを物語の主軸に置きながら、弟優先の家庭で手の掛からない姉を演じてきたヴィア、オギーにとって初めての友達になったジャック・ウィル、ヴィアとの間に溝を作ってしまったミランダの視点でも語られる。

そこには言葉に出せない想い、行動に移すことに勇気が必要とされる想いが様々な形で描かれている。

例えば演劇部で出逢ったジャスティンに一人っ子だと嘘をついてしまったヴィアは決して弟を恥ずかしいとは思ったことなど一度もないはず。でも祖母がいない今、親の愛を求めてもいいのか。その答えに辿り着いた時、彼女はどれだけの勇気を振り絞って一歩を踏み出したのだろう。

また周囲の目など気にせず、オギーに手を差し伸べたジャック・ウィルも、どれだけの勇気を振り絞って一歩踏み出したのだろう。
ヴィアになり切ることで不遇な家庭環境から脱したことで親友に引け目を感じたミランダも、どれだけの勇気を振り絞って主役を譲るという一歩を踏み出したのだろう。

けれど実際にその立場にいると誰もが分かるはず。勇気を振り絞って一歩踏み出すことなど何も難しくはない。ただ「当たり前のことをしただけ」なのだからと。

見た目が他人と違う。それの何が悪い。
子供として親の愛を求める。それの何が悪い。
独りぼっちのクラスメイトに話し掛ける。それの何が悪い。
親友の家庭で本当の家族愛を知る。それの何が悪い。

人は誰でも過ちを犯す。卑屈になること、親に甘えないこと、悪口を言ってしまったこと、疎遠になったこと。
でもその過ちを認め、前に進む勇気を振り絞るタイミングさえ間違えなければ、人は誰だって楽しい人生を送ることが出来るはず。

そのタイミングを間違えると、ジュリアンのように人生で大きな後悔を経験してしまうのだ。
ただ彼の場合はあの両親に育てられたことが人生の一番の不幸でもあるが。

そういう意味では、付き合いの長いミランダだけでなく、ジャスティンもジャック・ウィルも足繁く通う温かな家庭を築き上げたこのイザベルとネートという夫婦は、これぞ親の鑑。
厳しさと優しさの意味を履き違えず、子供の成長を静かに見守り受け入れていく。

まさに「この親にしてこの子あり」の作品でした。

深夜らじお@の映画館は現実的厳しさの少ない世界観でもこの映画が好きです。

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acideigakan at 19:00│Comments(6)clip!映画レビュー【ら行】 

この記事へのコメント

1. Posted by BROOK   2018年06月20日 20:08
外見ではなく内面で判断する…
散々語られていることかもしれないけれど、今作はそれを優しく教えてくれるような作品に仕上がっていたと思います♪
メインエピソードとサブエピソードが上手く繋がり合っているのも心地良く、最後まで全く飽きませんでした。
2. Posted by にゃむばなな   2018年06月23日 23:59
BROOKさんへ

内面で判断って言われている以上に難しいんですよね。
特に子供の頃は。
大人でも出来ない人が多くいる昨今ですが、でも内面で判断ってやってみるとそんなに難しくもないのも事実。
要はそこに勇気を持てるかどうか。
それをサブエピソードを上手く交えて描かれてましたよね。
3. Posted by mig   2018年06月25日 11:23
5 人と違う、ということが受け入れられないいつの時代もどの世界も。そんなことは個々の個性として受け入れて、見た目だけじゃない、心でものを見るということがこの映画でみんなに伝わるといいですよね。素晴らしい映画でした!
4. Posted by にゃむばなな   2018年06月29日 22:36
migさんへ

個性が大事といわれる一方で、見た目だけで判断されるこの世の中。
言っていることと行っていることが違いますやん!という世の中だからこそ、こういう映画はヒットしてほしいですね。
5. Posted by latifa   2019年02月04日 11:06
にゃむばななさん、こんにちは!
良い映画でしたねえ・・・。
世知辛い世の中ですが、こういう勇気のある行動ができる子供が、まだいるんだ、って願いたいです。

『天才作家の妻-40年目の真実-』ごらんになったんですねー 私も見たいです!
6. Posted by にゃむばなな   2019年02月08日 22:53
latifaさんへ

子供たちの想いや行動も素晴らしいですが、そういう子供を育てたこの両親が最も素晴らしいと思いましたよ。
世の中がこんな親ばかりになるといいのですけどね〜。

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