2018年08月25日

『カメラを止めるな!』

カメラを止めるな!カメラは止めないで!ぽん!
こんなにも面白い日本映画なのに低予算カルト映画だと!?こんなにも映画愛に溢れたゾンビ映画なのにコメディ映画だと!?だからこそ、こんなにも全国に順次拡大公開されているのだ!
これは前情報なしで見るべき映画だ。前情報ほぼなしの方がより楽しめる映画だ。だから未見の方はここから先は読まないで!ぽん!

監督・俳優養成専門学校「ENBUゼミナール」のシネマプロジェクト第7弾として製作されたというこの上田慎一郎監督作品は、OPから「ONE CUT OF THE DEAD」というワンカットで撮られた素人演出のゾンビ映画が37分間も流される。
ライティングは暗いし、違和感のあるシーンも多い。脚本も支離滅裂しかけるようで何とか保たれている程度で、劇中に登場する監督も狂気に満ちている。

だから正直に言うと、本当に大したことのない作品だ。EDロールが流れ始めた時に、ポスターに「この映画は二度はじまる」とあったので、あぁこれでようやく本編が見れるのかと思ってしまったほどだ。

しかし!この37分間を適当に見ていたら絶対に後悔する。

なぜならこの映画の本質はここから始まる「ONE CUT OF THE DEAD」の撮影裏話を描いたコメディであり、あの違和感のあるシーンも、支離滅裂しかけの脚本も、監督の狂気も全て伏線、つまりはネタフリなのだから。

しかも我を忘れるほど役にのめり込みすぎて女優業を引退した妻の晴美、監督志望で拘りの強い娘の真央、生意気な若手俳優の神谷やアイドル女優の松本、酒飲み役者の細田、硬水で下痢になる山越、不幸塗れの山ノ内、腰痛持ちのカメラマン、好奇心旺盛なカメラ助手と個性豊かな面々で、ゾンビチャンネル用のワンカット作品を撮ってくれと頼まれれば、そりゃ映画愛はあるもお人好しの日暮監督もトイレで幼き娘との日々を回想しますわな…というのも全て伏線。

そう、この映画の最大の面白さは、映画の撮影現場を皮肉ったコメディの面白さに加え、この随所に散りばめられた伏線の回収という気持ち良さも相俟っての面白さ。
言うなれば、園子温監督の『地獄でなぜ悪い』と、内田けんじ監督の『運命じゃない人』の面白さが相乗効果で楽しめるような笑いと爽快感に溢れた作品。

なので、日暮監督が若手女優松本逢花に演技指導するシーンから笑いが止まらない。カメラが回っていないところで細田が泥酔しているシーンにも笑いが止まらない。晴美がゾンビと縦横無尽に戦うシーンにも、「ぽん!」連発にも笑いが止まらない。
山越の「ちょっと…」での途中退場の意味が分かると笑いが止まらない。カメラが地面に落ちて動かなくなったシーンの意味が分かると妙に次の展開に期待してしまい、ニヤつきも止まらない。

さらにディレクターたちの苦悩を他所に、先の読めない展開を楽しんでいるプロデューサーたちの能天気さも面白ければ、ここで監督志望の真央が活躍し始める展開も面白いからこそ、クレーンカメラが機能しなくなった状況下であのラストシーンをどう撮るのかというラストも面白いし、またその伏線回収もお見事。

動ける人間を総動員して3段ピラミッドの上で日暮監督親子による肩車での撮影。それがあのトイレで見ていた写真がヒントだったなんて…。くぅ〜、何て気持ちのいいオチなんだ!

映画の撮影現場の苦労も、俳優たちの自分勝手さも、不幸が幸福に転じる現場の魅力も全てをこの映画の題材にし、笑いに昇華し、散りばめた伏線を全て見事に回収することで、最高の作品に仕立て上げた、これぞ無名俳優とアイデアと脚本の魅力を最大限に活かした低予算映画の傑作。

これは2018年を語るうえでは絶対に外せない作品であり、特に映画ファンは色んな意味で必見の作品です!

深夜らじお@の映画館はこの作品を今年のベスト3に入れます。

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この記事へのコメント

1. Posted by onscreen   2018年08月25日 14:27
確かに笑えました。

でヒトのゾンビぶりまでさえも...(汗)
2. Posted by mig   2018年08月27日 12:37
地獄でなぜ悪いと運命じゃない人
の例えがまさにですね。
あと、ゾンビ映画撮ってたら本物のゾンビ出現てのはロメロの作品も入ってますが。笑
おっしゃる通り、大した内容ではないんだけど、構成やキャストの魅力、細かいギャグで引っ張る魅力ですね。
笑わせる映画って本当に難しのでこれだけの大ヒットすごいと思います。
3. Posted by BROOK   2018年09月01日 15:13
ようやく鑑賞することが出来ました♪
37分をワンカットで撮影しているのに驚き、そしてその後の展開がもうおかしくって…
いやはや、これはゾンビ映画好き、さらには映画好きには是非とも観てもらいたい作品ですね。
4. Posted by にゃむばなな   2018年09月01日 23:00
onscreenさんへ

本当に笑える映画でしたね。
映画全体が楽しいから、全てが笑えるのでしょうね♪
5. Posted by にゃむばなな   2018年09月01日 23:03
migさんへ

映画を学ぶ人たちの作品だからこそ、オマージュした作品も多岐にわたるのでしょうね。
それが『地獄でなぜ悪い』や『運命じゃない人』だったら、それは凄く嬉しいこと。
だって日本映画に刺激を受けて、また新たな面白い日本映画が出来たんですもんね。
6. Posted by にゃむばなな   2018年09月01日 23:07
BROOKさんへ

あの37分をきちんと見ていたからこそ楽しめる後半の面白さ。
次に何が来るか期待出来るからこそ、余計に楽しいんでしょうね。
これぞコメディ作品の醍醐味ですね。
7. Posted by ノルウェーまだ〜む   2018年09月11日 11:03
にゃむばななさん☆
ようやく観てきました!まだまだ大きな劇場が満席でしたよ。
全てが伏線として仕組まれているというのも秀逸でしたね。
ラストのピラミッドの頂点の全ての人の夢が昇華するところで、思いがけずだーだー泣いてしまいました。
8. Posted by にゃむばなな   2018年09月12日 23:42
ノルウェーまだ〜むさんへ

そうなんですよね、オチが素晴らしいだけに、結構涙腺が緩んじゃったりするんですよね。
それがまたこの映画のいいところであり、やっぱり映画はそういう感動を観客が求めているものではないかと再認識しましたよ。
9. Posted by FREE TIME   2018年09月19日 23:24
こんばんは。
低予算で知らない役者ばかり揃えても、ここまでの作品が作れるのかと感心させられました。
ゾンビ映画はともかく、映画の裏話を見せてくれたような感じです。
10. Posted by にゃむばなな   2018年09月30日 21:26
FREE TIMEさんへ

これこそが低予算映画の醍醐味ですよね。
こういう映画を見る度に、やっぱり映画の面白さはここにありって思いますよ。

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