2018年09月09日

『泣き虫しょったんの奇跡』

泣き虫しょったんの奇跡生きるための将棋。楽しむための将棋。負けられない将棋。
30歳を越えてからプロ棋士になった瀬川晶司プロの自伝的小説を、自身もプロ棋士を目指すべく奨励会に所属していた豊田利晃監督が映画化しているのに、将棋の面白さよりも挫折した「者」に奇跡の復活劇が訪れる様を淡々と描いただけ。それが評価の分かれ目になる作品でした。

26歳の誕生日までに四段昇格という鉄の掟が存在する将棋界の新進棋士を養成する奨励会には、進学よりも将棋の世界で生きていく夢を抱いた天才たちが集まってくる。
子供の頃から将棋が好きで、近所の将棋クラブに通い詰め、様々な年齢の人たちと交流を深めながら、同年代のライバルと戦い、そしてプロ棋士になる夢を抱いて将棋会館にやってくる。

だがどこの世界でもプロの世界で活躍するのは天才を越えた超天才と、その才能を発揮できる者、そして誰よりも強い想いでプロを目指し努力した者のみ。

だから年2回しかない昇段試験とも言える三段リーグ戦でその才能を発揮出来なかった瀬川の敗因は、周囲が認めるほどの超天才でありながら、まだ26歳になるまでにチャンスは8回あると甘く考えたしまったところだろう。
鉄の掟という重圧に耐えきれず、他の奨励会員と共に共同生活や遊びなどに本来なら努力に充てるはずの時間を浪費してしまったからだろう。

その一方で将棋界、特に奨励会は非常に狭い世界でもある。三段リーグ戦の面々も似た世代ばかりなうえに、ほとんどが進学せずに奨励会に入会しているからこそ、将棋クラブに通い詰めていた頃のような様々な情報や考え方が入って来ない。
そうなると本来の目的も周囲の期待も全て忘れ去られてしまう。何のために将棋を指し、誰のために将棋の世界にいるのか、分からなくなってしまう。

けれどアマチュア将棋の世界は、そんな目的や期待を忘れ去ることを絶対にさせてはくれない。
なぜならアマチュア将棋の世界こそ、プロを目指すも夢破れた者たちが集う世界であり、また本当に将棋を楽しんでいる者たちの世界でもあるからだ。

そのことに親友の鈴木との再会や藤田との出会いを経て気付いた瀬川がアマ名人になり、プロとの対戦成績の良さを買われて、プロ棋士への編入試験とも言える6番勝負に挑む後半は、とても感動的だ。
どれだけの人が将棋を愛し、どれだけの人が抱いた夢に破れ、どれだけの人がこの奇跡の挑戦に新たな夢を抱いているのか。

ただそれらが如実に分かるからこそ、逆に子供時代を描いた前半が長すぎるなどの不満点も凄く多い。
特に瀬川がどういう将棋を指すのかが描かれていないので、勝負のシーンに全く緊張感がない。瀬川がどうしてプロになりたいのかという理由も曖昧なので、奨励会から去っていく者たちの悲哀も物足りない。

出来れば『オールド・ルーキー』のようなスポ根モノにするとか、夢破れた者たちの群像劇風にするとか、もっとドラマティックな史実を熱く描いて欲しかった。

そして改めて藤井聡太七段や加藤一二三元九段、羽生善治永世七冠の凄さを思い知ると共に、まさか藤原竜也も出てくるとは!と驚くほどに豪華すぎるキャスティングの割にはこの公開規模はどないやねん?とも思える映画でした。

深夜らじお@の映画館は我が胸に飛び込んできた喫茶店の女性店員さんを突き飛ばすようなことは絶対にしません!

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acideigakan at 23:58│Comments(0)clip!映画レビュー【た行】 

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