2019年05月15日

『ダンガル きっと、つよくなる』

ダンガル全ての少女の憧れとなる強き娘は父親の誇り。
さすがインド映画は暑苦しさ一歩手前の熱さと深い愛に満ち溢れている。そして男尊女卑がまだまだ因習として残る現代に女性の自立をしっかりと描く強さにも満ち溢れている。
レスリングに興味のない方こそ、ご覧いただきたい。きっとレスリングをもっと見たくなるはず!

インドで初めて女子レスリングの国際大会で金メダリストとなったギータ・フォーガット選手とその父親であるマハヴィル・シン・フォーガットの半生を描くこの映画は、まさに昭和の頑固親父に振り回される子供がいつしかその父親の深い愛に気付き、そしてその愛に応えるという王道のスポ根作品だ。

しかしただのスポ根ではないのが、最近のインド映画の面白いところ。
特にこの映画の場合、男の子を喧嘩でボコボコにしたことで娘たちにレスリングに才能があると見抜いた元国内チャンピオンの父親が、年頃の娘に太腿をさらけ出す格好でランニングをさせたり、砂が髪につくなら髪を切れと短髪にしちゃうところは、どう見てもスパルタ猛特訓ではなく、行き過ぎな行為だ。

けれどそれはアメリカや日本の場合であって、女の子は家事や育児だけを学ばされ、年頃になると顔も知らない男のところへと嫁に出されるという女性の権利が蔑ろにされているインドでは、むしろ自分の人生さえ選べない女性たちからすると、この頑固親父の行動は娘の未来を案ずる愛に満ちた父親の厳しくも優しい行為。

だから、そんな不器用な父親の愛に気付いた娘たちが心を入れ替えて練習に励み、各地で男子たちに連勝を重ねる姿は、凄く心が爽快になる。女性蔑視の眼差しを向ける男をリングに沈めては強くなっていく姿にも、凄く楽しくなる。

ただ長女ギータが国立スポーツアカデミーに入ったことで、娘に初めての反抗期が訪れる。これまで禁止されていたオシャレや遊びを覚えると同時に、父親から教わった攻めのレスリングよりもコーチから教わった守りのレスリングを優先してしまう。

その結果、体力が衰えた父親には勝てても国際大会では常に初戦敗退となってしまうギータに、父親の教えこそが一番と信じる次女バビータが橋渡しをすることで、再びギータは強くなっていくのだが、あくまでも父親が教えるのはレスリングを通した娘の自立。それが全てのインド人女性の自立へと繋がるからこそ、2010年のコモンウェルズ大会で娘ギータに贈る父親の言葉に心が熱くなってしまう。

低い立場に置かれている全ての女性たちの希望になれ。

父親が教えてくれたレスリングが一番強いということを証明するのではない。ギータが勝つことでインド中の少女たちが憧れを抱き、自立していく。そのためには印象に残る、歴史に残る結果を残さなければならない。

そんな熱い目標と期待を背負ったギータがコーチの指示ではなく父親の指示を守りながら連戦連勝を重ねていく姿も応援したくなれば、嫉妬に狂ったコーチの差し金で決勝戦を観戦出来なくなった父親を心配しつつも、娘である自分を信じてくれる父親のために最後の最後で大技を見事に決めて金メダルを手にする姿には涙なくしては見ることが出来ない。

そしてそんな娘の雄姿を見れなくても、インド国歌「ジャナ・ガナ・マナ」が流れることで娘の偉業を知り、涙を静かに流す父親の姿にも涙が止まらなくなる。

試合に勝った娘だけが父親の誇りではない。自分が教えたレスリングが強いということを証明した娘だけが父親の誇りではない。
全ての女性の希望となった娘たちだからこそ、その希望に自らの実力で成り得た娘たちだからこそ、父親の誇りなのだ。

そんな親子の姿を見ていると、家族って本当にいいなぁ〜と改めて思えてしまう。私ももっと親孝行をしないと。

深夜らじお@の映画館はレスリングがこんなにも面白い競技だとは今まで知りませんでした。

※お知らせとお願い
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acideigakan at 23:59│Comments(6)clip!映画レビュー【た行】 

この記事へのコメント

1. Posted by きさ   2019年05月16日 22:00
5 これはいい映画でしたね。
アーミル・カーンの主演映画は「きっと、うまくいく」「チェイス」「PK ピーケイ」を見ましたがどれも面白かったです。
本作も面白かったです。
脚本もいいですし、ニテーシュ・ティワーリーの演出も素晴らしい。
アーミル・カーンはじめ俳優陣もとても良かったと思います。
2. Posted by ノルウェーまだ〜む   2019年05月18日 21:55
にゃむばななさん☆
これ、泣けましたよねぇ。
インドならではの部分と、全世界のスポーツ界の共通な部分とでしっかり共感できるし、なるほどと思う部分も沢山ありました。
とてもいい映画だったです。
3. Posted by ジョニーA   2019年05月20日 06:50
『PK ピーケイ』の時は無駄だった筋肉が
今回は活きましたね♪
ていうか、この人、年齢とか体格とか、
自由自在にコントロールできて、マジ
で宇宙人なんじゃないかと思ったりしますw
4. Posted by にゃむばなな   2019年05月27日 23:52
きささんへ

アーミル・カーンの映画はあまり見ていないんですよね。
でもオススメの作品は機会を作って見てみますよ。
みなさん絶賛されてますからね。
5. Posted by にゃむばなな   2019年05月27日 23:53
ノルウェーまだ〜むさんへ

泣けました、泣けました。
そうそう、スポーツという全世界共通の部分でしっかり共感させ、
これまた全世界共通の親子愛でも泣かせる。
いい映画でしたね。
6. Posted by にゃむばなな   2019年05月27日 23:54
ジョニーAさんへ

まさかインドにもロバート・デ・ニーロがいたとは、驚きでしたよ。
これぞ俳優魂なんでしょうね。

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