2019年07月15日

『トイ・ストーリー4』

トイ・ストーリー4いざ、無限のかなたへ。イエス、ウィ・キャナダ!
『トイ・ストーリー』はオモチャの物語か、それともウッディとバズの物語か。このシリーズをどう見て来たかで評価が大きく分かれるこの作品は、大人こそが笑って泣ける面白い映画だ。
ただウッディが最後に下した決断を私はどうしても好きになれなかった。

オモチャの使命は子供に愛されること。だがその子供が大人になれば、オモチャの「その子供に対する」役目は終わってしまう。それは『トイ・ストーリー3』の完璧なる終わり方でも語られていたが、ボー・ピープとの別れを描いたこのOPでも否が応でも痛感させられてしまう。

しかも新たな持ち主となったボニーはウッディで遊ばないどころか、ゴミのスプーンで作ったフォーキーを重宝する女の子。そんなボニーに選ばれない淋しさを、何かとゴミ箱に入りたがるフォーキーの世話に明け暮れるウッディは、まるで監督が代わったことでレギュラーとしての立場を失ったベテラン選手が、才能があるのにメンタルの弱い若手選手の教育を請け負い、そして固執することで自分の生きる道を何とか確保しようとする、これまでのウッディを知る者としては、凄く心が淋しくなる状況だ。

そんな時に移動遊園地で再会した、お嬢様からアクション女優へと転向したかのようなワイルドなボー・ピープから教えられた新たな道。広い世界を見るという彼女の選択は、ある意味ウッディにとってはFAや移籍に相当する覚悟のいる道だろう。移籍先でレギュラーが確約されている訳でもないのに、生え抜きとしてお世話になった球団を去るというのは、確かに選手生命やオモチャ生命を考えれば、「ウッディにとっては」十分意味のある選択肢の一つだ。十分理解の出来る選択肢の一つだ。

けれど少なくとも私はこのシリーズをウッディとバズの物語、もしくはウッディやバズを中心としたオモチャ家族の物語として見てきたので、やはりウッディがその選択肢を選ぶなら、そこにはバズ、レックス、ハム、スリンキー・ドッグ、ミスター&ミス・ポテトヘッド、ジェシー、ブルズアイの淋しさを内包したうえでの理解と応援を描いて欲しかった。それだけはどうしても見たかった。なのに描かれたはいなかった。

確かに毒舌モフモフコンビのダッキー&バニー、スタントマン人形のデューク・カブーン、小さな警官のギグル、3匹の羊たちも素晴らしき家族だ。これまで長い時間を過ごしてきた家族よりも、愛するボー・ピープを選んだウッディの選択も『シェイプ・オブ・ウォーター』のように「ウッディは幸せになったと信じたい」物語だ。

でも本当にそれでいいのか?
足裏にボニーと書かれたウッディのオモチャとしての哲学に反しないのか?
バズもただ見守るだけでいいのか?

遊ばれないオモチャは、不良品として子供から愛されることのなかったギャビー・ギャビーと同じかも知れない。あの悲しさをウッディも経験し続ける姿を見たくないのも事実だからこそ、誰か他に愛してくれる持ち主を探すのも立派な選択肢だとは思う。

ただジョン・ラセターなら、こんな選択肢をウッディには与えなかっただろう。そう思えてしまう自分がいることに気付いた時、ジョン・ラセターのいないディズニー&ピクサーが作り上げたこの作品は『トイ・ストーリー4』でありながら、『ウッディ・ストーリー1』でもある。ウッディとバズの物語は既に終わっており、新たなウッディの物語が既に始まっている。それを受け入れねばならない現実があることを認識してしまった。

それが何とも淋しく感じるのは私だけではないだろう。

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この記事へのコメント

1. Posted by ノラネコ   2019年07月17日 22:34
「トイ・ストーリー」の歴史はピクサーの歴史そのものであるわけで、これ色んな意味でラセターの解雇の顛末とかも物語に影響しているんじゃないかと思います。
当たり前だと思ってたことは、いつの間に当たり前じゃなくなってた、って深読みすると実に意味深。
2. Posted by dalichoko   2019年07月19日 11:01
ボーが力強くなって出てきて驚きました。
とてもよかったです。
(=^・^=)
3. Posted by ノルウェーまだ〜む   2019年07月20日 00:00
にゃむばななさん☆
私もラストはあまり好きになれませんでした。
帰宅して夫にストーリーを説明しようとしてもどうも上手くいかず「それじゃあサニーサイドに居たほうが良かったんじゃない?」とまで言われて何も言えずでした…
自分の中で納得しきれてないのだと思います。
4. Posted by latifa   2019年07月20日 14:45
にゃむばななさん、こんにちは。
そうですよねー、本作は、とてもガッカリして淋しくなりました。

で、ジョン・ラセターさん、やっぱりいなくなっちゃっていたんですか?
それ聞いて納得。
同じ人が作ったとは到底思えない作品になっちゃっていたので・・。

すいません、その後、ラセターがセクハラ等で去った事が解りました
残念です、、

5. Posted by onscreen   2019年07月20日 17:37
3 ほんと、悩ましい出来でした(涙)

おねがいだから...
もうこれでおしまい、でいいよね?
5はナシってことで!
7. Posted by mig   2019年07月26日 13:42
こんにちは。
なんだか疑問も残るしちょっと残念な出来でしたね。。。
8. Posted by にゃむばなな   2019年07月28日 23:16
ノラネコさんへ

おぉ〜、実に意味深。
もはや子供向けじゃなくて、大人のドロドロとした関係もおもちゃに暗に語らせるなんて。
アメリカって本当に怖いですわ。
9. Posted by にゃむばなな   2019年07月28日 23:17
daichokoさんへ

ボーが次回以降のキーパーソンならぬキートイになりそうですね。
10. Posted by にゃむばなな   2019年07月28日 23:20
ノルウェーまだ〜むさんへ

多くの方はウッディとバズの物語がこのシリーズだと思っている分、バズの存在が軽んじられていることもあって、このラストを受け入れることが出来ないのでしょうね。
バズがいてこそのウッディはいずこへ?
11. Posted by にゃむばなな   2019年07月28日 23:24
latifaさんへ

そうなんですよね、ピクサーの屋台骨でもあったジョン・ラセターがいなくなったことが映画にこんなにも大きな影響を及ぼすなんて…。
ジョン・ラセターどころか、彼の想いや精神まで消されてしまうのかな〜。
12. Posted by にゃむばなな   2019年07月28日 23:27
onscreenさんへ

そうですね、続編はいらないかな。
ウッディのその後は気になりますけど、たぶん見ても楽しい気持ちにはならないでしょうから。
13. Posted by にゃむばなな   2019年07月28日 23:31
migさんへ

ほんと、残念な出来でした。
『トイ・ストーリー』である意味を見失いました。

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