2019年09月10日

『イエスマン “YES”は人生のパスワード』

イエスマン後ろ向きでは、楽しい人生は送れない。
ジム・キャリー主演作品にしては、意外と大人しい作品だ。彼の十八番である顔芸もあまりなければ、大げさな笑いもない。ドラマとラブストーリーに重きを置いているため、別に彼以外が主演でも成り立つ映画だ。
でも後ろ向きで地味な男はなぜかジム・キャリーには似合うなぁ。

何事にも後ろ向きが故に、人生の決断どころか、親友の誘いでさえも何かと口実を作っては断ってしまうカールは、仕事が銀行の融資審査担当であってもその後ろ向きな性格は健在なまま。
でも不思議なことに、こんな何度も嘘くさい理由を付けては断ってくる男がバツイチで、結婚式に参加しろと何度も誘ってくる親友がいるのだから、本当はカールはいい人なんだなと思えてしまう。

そんな彼が友人に連れてこられた、妙な胡散臭さと説得力を併せ持つテレンス・スタンプが主催するセミナーで、「何事にもYESと答える」という自分への誓いを半ば強引に立てるハメになるが、やっぱり彼は根は真面目でいい人なんだろう、そんな誓いでさえ忠実に守り、ホームレスを車で送るも見事にガス欠になってしまう。

ただ世の中は他人に親切にすれば、自分に幸運が舞い込んでくるもの。そのガス欠が縁となってアリソンという自由を謳歌する女性と出逢ってしまったら、もはやそれは世の理ではなくセミナーの成果。そう思い込んだら、カールのように真面目な人間ほど、こりゃ何でもYESと答えなきゃ!と思ってしまうのは当然のこと。

私も経験があるが、後ろ向きな時は何をやっても上手くいかない。逆に見返りなど期待せず、自分が出来る範囲でいいから、困っている人を助けるという人間として当たり前のことをしていると、自然と何事も上手く回り出す。幸運にも恵まれるし、いい出逢いも増えていく。

けれど何事にもYESと答えるのは、後ろ向きな考えから抜け出せない人への劇薬のようなもの。前向きな考えを定着させることで事が回り出したら、そりゃ時にNOということも必要となるが、カールはとにかく何事にもYESと答え続けると次第に思わぬ事態へと事が流れてしまう。

小口融資の完済率の高さを評価されて出世の話が来ても、それは世話になった上司ノーマンに担当店舗の閉鎖を告げに行かねばならない。アリソンとの自由気ままな旅行がテロ活動と誤解された挙句に、アリソンにも本心で愛していなかったのねとフラれてしまう。

決断には責任が伴う。だから何事にもYESと答えるのは時に無責任になるし、時に愛しい相手を想えば想うほどNOと言わなければならない時もある。

そのことに気付いたカールが半ケツ状態で病院から抜け出し、アリソンの元へとバイクで走る様はとても格好いいとは言えないが、でも彼女のことを想って一緒には住めないという返事をするために必死になって行く様は、同じ男としては心から格好いいと言わざるを得ない。

流れに身を任せるのではない。相手の意見ばかり聞くのではない。周りに意見にも流されるのではない。
ランニングしながら写真を撮るというのも普通に考えればNOと断りたくなる意味のない行為だが、それでも個展でカールが道端に倒れた姿を映した写真が評価されたように、時に誰かにとってはYESの価値がある。
それらの判断は個人がそれぞれで考えた末にするもの。セミナーがどうのこうのではないのだ。

そんなハッピーエンドで終わるこの映画だが、気持ちいいのはやはりあのオチだろう。ホームレスのために集めた無数の服をどこから集めてきたのかと問われれば、絶対に断らない相手、即ちYESセミナーの真意をまだきちんと理解していない人々からというのが実に面白い。
そりゃ全裸でセミナーに集まっている何百人を見たら、テレンス・スタンプ教祖様も驚きますわ。

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acideigakan at 23:54│Comments(0)clip!映画レビュー【あ行】 

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