2020年02月05日

『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』

ナイブズ・アウト名探偵にして迷探偵。でもやっぱり名探偵。
大富豪でもある人気ミステリー作家の突然死は自殺だったのか、それとも他殺だったのか。疑わしき人物たちから真犯人を探し出す謎解きよりも、このマイペースに事件を楽しんでいるかのような個性的な探偵ブノワ・ブランをもう一度スクリーンで見たくなる。特に彼のノッくるスピーチがね。

85歳の誕生日パーティの翌日、ナイフで喉を斬って自殺したミステリー作家ハーラン・スロンビーを殺したのは誰か?という謎解きをするのが普通のミステリー作品なら、こちらは「警部補・古畑任三郎」のように序盤からハーランの死の真相を明かしてしまう、変化球タイプのミステリー。

ただハーランの専属看護師だったマルタによる投与薬間違いが真相っぽいけれど決定打に欠け、また不動産経営者の長女リンダ、そのリンダの夫でありながら浮気中のリチャード、ハーランの出版を担う次男ウォルト、亡き長男の妻で娘メグの学費を二重取りしているジョニ、遺体第一発見者でもある家政婦のフラン、そして長女夫婦の息子で一族の問題児ランサムと容疑者もたくさんいるが、誰もがマルタと同じく決定打に欠けているため、まさに探偵の言葉通り、ドーナツの様に中心だけが欠けている状況なのだ。

しかし容疑者でありながら助手のようにブランの捜査に協力させられているマルタは、嘘をつくと嘔吐してしまうという特異体質を持っているので、これがまるで噓発見器のように、ただし各容疑者たちの真相ではなく各事柄の真相を暴いていくのだから、どこかブランが謎解きをしているようでしていないような不思議な感覚に囚われてしまう。

加えてブランを雇った謎の依頼人の存在をちらつかせながら、中盤からは犯人探しというよりも、本当に親身にケアしてくれた友人マルタを守るために彼女の医療ミスを隠蔽しハーランは自殺したのか。それともこれもまたハーランが残したミステリー作品なのか。マルタがやっぱり?いやはや真犯人は他に?とややこしくなりそうなのに、そこに至る前にまずマルタが犯人なのかどうかをハッキリさせようと整理してくれているのがありがたく、また分かり易い。

そうなると一つ一つの事柄を整理していくことで容疑者リストから自然に淘汰されていく末に残るのは誰か。あとはその真犯人にどうやって罪を認めさせるか。
その辺りもまたブノワ・ブランが名解説をしてくれるのだが、時より警部に「ノッているところ悪いが」とツッコミを入れられている様を見ていると、やっぱり名探偵が迷探偵に見えてしまい、でもこれがまた面白いからこそ、マルタが真犯人の顔に嘔吐する決着もまた楽しい。まさかのナイフのオチも失笑してしまう。

そして次作でジェームズ・ボンドを正式に卒業するダニエル・クレイグだからこそ、是非彼の新たな役者人生にこのブノワ・ブランシリーズを加えてほしいと願ってしまうのは私だけではないだろう。

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acideigakan at 12:01│Comments(2)clip!映画レビュー【た行】 

この記事へのコメント

1. Posted by ノラネコ   2020年02月09日 16:05
ライアン・ジョンソンて脚本が荒い印象があったんですけど、こんなのも書けるんだ!と軽い驚きでした。
いかにもクリスティ的なギミックや社会風刺も効いていて、なかなか楽しいミステリでした。
2. Posted by にゃむばなな   2020年02月09日 22:52
ノラネコさんへ

王道ミステリーなんですけど、それがこの探偵ブノワ・ブランのキャラにはちょうど良かったのかも?
ライアン・ジョンソンもこの路線で頑張ればいいんですよ!

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