2020年02月21日

『スキャンダル』

スキャンダル女の自尊心、ナメるなよ。
FOXニュースのCEOロジャー・エイルズが元キャスターのグレッチェン・カールソンによりセクハラ提訴されたことで始まった、セクハラ被害を受けてきた女性たちによる#MeTooムーヴメント。ニュースキャスターとしてのキャリアと女性としての自尊心。その狭間で揺れ動いてきた女性たちの怒りがここにある。

2016年のアメリカはドナルド・トランプ大統領候補の躍進に注目が集まる一方で、彼の女性蔑視発言にも注目が集まることで、改めて様々な職場におけるセクハラの実態が明るみになり始めていた頃。
特に報道関係やTV関係の世界においては、いやロジャー・エイルズが完全掌握するFOXニュースにおいては、その醜態たるや、もはや同じ男性であっても嫌悪感を覚えるほどで、これが社内で暗黙のルールとしてまかり通っていたことには驚くばかりだ。

もちろんロジャー・エイルズが優秀なビジネスマンであり、有能なTVマンであることは、局の看板番組を背負うメーガン・ケリーが彼の助言を頼りにしていたことからも分かるが、しかし普段からの言動からは彼が有能なジェントルマンであるとはお世辞にも言い難い。

なかでもメインキャスターの座を狙う新人のケイラ・ポスピシルがCEOの部屋でスカートを捲り上げてまで美脚を披露させられるシーンは、彼女の戸惑いと恐怖が入り混じる表情からも、明らかに女性の自尊心を傷つけている愚行にしか過ぎない。

恐らくロジャー・エイルズのような男性社会で生き抜いてきた旧世代にとっては、女性の美脚が視聴率を上げる現実からも、自身の言動に悪意はないつもりなのだろう。
けれど女性に対する敬意もなければ、彼女たちを一人の人間としても敬意を払っていないからこそ、「忠誠心」という言葉を悪用するのだから、それはもはや悪意以前の問題だ。人間としての資質の問題だ。

だからこそグレッチェン・カールソンが用意周到に訴訟を起こす一方で、動揺しながらも事の流れを読みながらキャリアと自尊心の狭間で悩むメーガン・ケリー、未来のために耐えるしか出来ないのかと悩むケイラ・ポスピシル、同性愛者の民主党員であることがバレたくないばかりに巻き込まれたくないジェス・カー、CEOの愚行をこの業界で生き抜くうえでは当然のことを後輩たちに強いるベテランたちなど、様々な女性たちが各々の立場で揺れ動く姿が描かれているが、そこには男女共同参画社会や男女平等の本当の意味を女性たちがどれだけ理解しているかも描かれている。

つまり女性が男性と同じように扱われることが男女平等ではない。男性の自尊心が尊ばれるように、女性の自尊心も尊ばれることが男女平等であって、それはすなわち女性自身も女性の自尊心を尊ぶことが求められること。曖昧なセクハラ基準で女性の権利を叫ぶような者や男性社会に媚びる者は、女性としての自尊心を最も大事にしていない代表だろう。こういう輩もロジャー・エイルズと同じ、女の敵だ。

メーガン・ケリーが自身の証言者Wという立場から被害者の多さを知るシーンといい、ラストでマードック会長の社長就任演説にケイラ・ポスピシルがFOXニュースを去るシーンといい、まだまだ女性が怒りの声を挙げなければいけない事案はこの世の中にはたくさんある。

多くの女性は「誰かが声を挙げてくれたら」と望んでいる。個性を大事にするアメリカでさえそうなのだから、控えめな女性が求められてきた日本ではもっと多いだろう。
そんな女性にこそ、そんな女性がたくさんいることすら知らない男性にこそ、そして製作も兼ねるシャーリーズ・セロンがかつて出演した『スタンド・アップ』を見た方にも、この映画を見ていただきたい。

そして改めて考えるべきだ。本当の意味での男女平等とは何なのかと。

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acideigakan at 23:56│Comments(2)clip!映画レビュー【さ行】 

この記事へのコメント

1. Posted by onscreen   2020年02月22日 10:34
3人のそれぞれの事情が興味深く、サスペンスフルな展開でしたね!
2. Posted by にゃむばなな   2020年02月22日 23:36
onscreenさんへ

3人が3人、見事に自分の事情に悩みながら答えを出していく。
いや〜、本当に面白かった!

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