一年以上前になりますが、法テラスの償還金について、
財産債権か破産債権か、免責債権か非免責債権か、
というテーマで書いたことがありました
(結論は出ていませんでしたが)

法テラスの償還と財団債権・非免責債権(疑問編)
http://blog.livedoor.jp/act_on/archives/51741304.html

法テラスの償還と財団債権・非免責債権(回答編)
http://blog.livedoor.jp/act_on/archives/51741334.html

さて、たまたまですが、最近、その件について、
二弁フロンティアという雑誌で触れられていたらしく、
その関係で弁護士がエッセイで言及しているようです
(結論としては破産債権・免責債権ということらしい)

diatribe<エッセイ<中島・宮本・溝口法律事務所
http://www.nakashimalaw.com/essay/takeshita/index.html

問題の所在としては、
1 法テラスに対する法テラス利用者の償還債務は、
  弁護士へ破産申立等を依頼した際の費用であり、
  破産債権者の共同の利益のためにする裁判上の費用の請求権
  (破産法148条1項1号)に該当するのではないか
2 法テラスに対する法テラス利用者の償還債務を
  債権者名簿に記載していなかった場合、
  破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権
  (破産法253条1項6号)に該当するのではないか
3 総合法律支援法その他の法令により
  財団債権または免責債権とされているのではないか
の上記3点がすくなくともあげられそうです

上記1について

破産債権者の共同の利益のためにする裁判上の費用の請求権
(破産法148条1項1号)には、
破産手続開始決申立についての代理人弁護士の報酬が
合理的な範囲で含まれるようです
(神戸地裁伊丹支部決定平成19年11月28日)

法テラスに対する法テラス利用者の償還債務は、
破産手続開始決申立についての代理人弁護士の報酬
と実質的に言えそうな気もしますが、どうなんでしょうね

上記2について

破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権
(破産法253条1項6号)であっても、同号では
「(当該破産者について破産手続開始の決定があったことを
  知っていた者の有する請求権を除く。) 」
とされています

法テラスと契約する際、契約書に破産申立等の方針が記載され、
当初は破産申立でなくともその後破産申立に方針変更した場合、
法テラスに方針変更を書面で報告するため、
法テラスは上記カッコ書きに該当することになりますので、
償還債務は非免責債権とはされないことになるでしょう

上記3について

総合法律支援法をざっと眺める限り、
利用者が破産した場合の償還債務についての規定は
とくに見当たりません

冒頭で紹介した弁護士のエッセイでも
立法による手当がなされていないこと
を前提としているように読めます

まとめ

上記2、3を理由としては、
財団債権・非免責債権
ということにはならないようです

上記1についてはさらに検討が必要ですが、
債権者が代理人弁護士でない場合についてまで、
申立費用とされるかは厳密には不明です

一時期(現在、どういう議論になっているか知りませんが)、
弁護士費用をクレジットカードで立て替え払いすることの是非
が法曹界で話題になったことがありましたが、
破産手続開始決申立についての代理人弁護士の報酬を
民間の信販会社が立て替え払いした場合に
申立費用とするのはなかなか違和感があります

その他

そもそもの根本的な問題として、
免責債権として免責されるとして、
免責決定後の支払はどうなるのか
という問題があります

免責債権についての支払は
以前も紹介したとおり最高裁判決があります

最高裁判所平成18年1月23日判決・・・

「破産者は、破産手続中に自由財産の中から
 破産債権に対して任意の弁済をすることを妨げられない。」

「任意の弁済であるというためには、
 破産者が、
 『破産宣告後(免責許可決定確定後)に、
  自由財産から破産債権に対する弁済を強制されるものではないこと』
 を認識しながら、その自由な判断により、弁済したもの
 ということができることが必要である。」

現状では、家計表に法テラスの支払をあげていますし、
「法テラスの支払を続けるのが当然」
と考えている利用者もすくなくなさそうです

もちろん、生活保護受給者等であれば、
償還猶予や償還免除を申請することで
法テラスの支払をしないで済むようにはなっていますが

やはり立法的な手当をすべきように思います