キウイの自由研究(駒沢女子大学 西山)

キウイフルーツやベビーキウイ(サルナシ)を中心として、いろいろな情報を提供していきます.少しでもお役にたちましたら幸いです.

ベビーキウイ(キウイベリー、サルナシ、コクワ)もキウイフルーツ同様、ジャムの良い材料になります。

ただし、ベビーキウイジャムの味と香りは独特で、キウイジャムとはかなり異なります。私は好きですが、人によって好みが分かれるかもしれません。

鍋で普通に作っても構いませんが、電子レンジを利用すれば、より簡単に作れます。

鍋で作るよりも少量(10粒ほど)でも作れますので、高価なベビーキウイ向きの作り方だと思います。

ビタミンC、β-カロテン、ルテイン、食物繊維、ポリフェノール豊富なジャムを、どうぞお試しください。

(材料)
・ベビーキウイ 100 g(10粒)
・グラニュ糖 30 g(大さじ2)
・ペクチン(低メトキシタイプ) 1.0 g(小さじ1/4)

(作り方)
・ベビーキウイ果実両端の軸などを手で取る。
・ベビーキウイ100gを耐熱ボウルに入れて、ハンドブレンダーでつぶす。
・電子レンジ(600W)で1分20秒加熱する。
・グラニュ糖を目分量で半量入れて混ぜる。
・電子レンジ(600W)で1分加熱する。
・残りのグラニュ糖にペクチンを加えて混ぜたものを加えて混ぜる。
・電子レンジ(600W)で30秒加熱すれば完成。
・冷蔵庫で冷やすと粘度が増して、ジャムらしくなります。

以下の動画でもご確認ください。


キウイフルーツがまだ硬くて酸っぱい場合は、どうすれば美味しく食べられるのでしょうか?

(1) 買ってきた市販のキウイフルーツが硬い場合

市販の果実はほとんどの場合、すでにエチレンでの追熟処理が済んでいます。冷蔵庫に入れずに、室温に出しておくだけで追熟が進み、美味しくなるはずです。

何日かかるかは果実の状態次第です。短くて2〜3日、長ければ7日くらいかかる場合もあります。

時々さわってみて、表面に少し軟らかさを感じたり、フルーティーな香りがすれば食べごろです。冷蔵庫に移しましょう。

食べ頃の果実でも、冷蔵庫で1週間以上もちますので、食べ急ぐ必要はありません。




(2) キウイ狩りや自宅で収穫したキウイフルーツが硬い場合

品種にもよりますが、そのままでは熟さない場合がほとんどです。エチレンガスによる追熟操作が必要です。

よく「リンゴと一緒にビニール袋に入れて室温に置いておくと良い」と言われますが、この方法は確実性に欠けます。

より直接的なエチレン処理をお勧めします。市販のエチレンガスを使っても良いのですが、高価なことと取り扱いが難しいのが難点です。

そこで、以下の動画のように「熟れごろ」という製品の使用をお勧めします。よろしければお試しください。




キウイフルーツの飾り切りをやりたいけれども、不器用できれいにできない。

そういう人にはパール金属の四徳卵切りや貝印の三徳卵切りをお勧めします。(どちらかといえば、パール金属の方をお勧めします。)

輪切り、串切り、花型切りなら、だれでも簡単にできます。

グリーンキウイやサンゴールドキウイ、ルビーレッドキウイや他のフルーツなどと盛り合わせれば、豪華なフルーツ盛りができるでしょうね。

大玉の立派なキウイフルーツだと、卵切りに入りきらない場合もありますが・・・。




ようかん(羊羹)って作るのが難しそうですが、実は家で簡単に作れます。それもたったの15〜20分で。(最後の冷やし固める時間を除きます。)

ここでは、黒糖栗ようかんの作り方を紹介します。

(材料)
水:80〜100 mL
粉寒天:2 g
黒糖:75 g(黒糖70gと水あめ25gにすると、ねっとり感が出ます。)
塩:1つまみ
こしあん(粒あんでもよい):220 g
栗甘露煮:6個(お好みで適当にカット)

(作り方)
1.鍋に水を入れ、ここに粉寒天を加えて、中火でしっかりと煮溶かします。
2.溶けたら黒糖(あるいは黒糖+水あめ)を入れて、煮溶かします。
3.溶けたらこしあん(あるいは粒あん)を入れて溶かします。
4.焦がさないように木べらで混ぜながら、弱〜中火で煮詰めます。
5.6〜8分煮詰めて粘りが出てきたら、栗を加えて軽くなじませます。
6.火を止め、ようかん型(流し缶やタッパーでも可)に流し込みます。
7.粗熱を取ってから、冷蔵庫で2時間ほど冷やします。

わかりにくい箇所は、以下の動画もご参照ください。

「5」の煮詰めが足りないと、水ようかんのような食感になります。(それも美味しいのですが。)

みっちり、ねっとりした仕上がりにしたい場合は、黒糖だけではなく、水あめも入れることをお勧めします。(容器に黒糖を入れ、その上部に窪みを作り、そこに水あめを入れておくと、べたべたした水あめも黒糖と一緒に簡単に鍋に投入できます。)


キウイフルーツがたくさんあって食べきれないとき、ジャムにするのも良いのですが、気分を変えてびん詰めにしても美味しいですよ。缶詰みたいな感じです。

ツイストキャップ式のジャムびんや蒸し鍋があれば、簡単に作れます。シロップの濃度はお好みで加減してください。

そのまま食べても美味しいですし、ヨーグルトと合わせたりお菓子作りに利用したりと、いろいろ楽しめそうです。

室温でも半年以上は持ちます。グリーンキウイやルビーレッドキウイの場合は、冷蔵庫に入れておいた方が色がきれいに保たれます。

動画(下)のように3色のびん詰めをそろえても楽しいですよ。ジャムびんのキャップの色も果肉色にそろえて緑、金、ロゼにしました。「ちゅうくうwebSHOP」で購入できます。

(作り方)
1.グラニュ糖90gに水210gを加えて溶かし、30%のシロップを作る。
2.キウイフルーツの皮をむき、適当な大きさにカットする。
3.ジャムびん(ツイストキャップ式)300に、カットした果肉を125g入れる。
4.ここに30%シロップを115g加える。
5.ジャムびんにキャップを乗せて、蒸し鍋(強火)で15分間殺菌する。
6.熱いうちに耐熱手袋を使ってキャップを閉めて密栓する。




少し前に流れていたテレビCM「フジパン・ネオバターロール(ウソは良くない編)」が好きで、ちょっとそれ風の動画を作ってみました。

キウイブラザーズのグリーンさんにもご協力をいただきました。

サムネールと内容が合致しないせいか、「低評価」が割と多いです。

でも自分では気に入っています。

山佐の活動量計は、正確に歩数をカウントします。


ゼスプリ・ルビーレッドの果実たった1個から電子レンジを使って、きれいで美味しい赤いキウイジャムが作れます。

まるでイチゴジャムのような赤いキウイジャムが、たったの10分ほどで簡単に作れますので、どうぞお試しください。

糖度は42〜45%程度になりますので、お好みでグラニュ糖の量を調整してください。

(材料)
・ルビーレッドキウイ 1個(約70 g)
・グラニュ糖 20 g
・ペクチン(低メトキシタイプ) 0.7 g(小さじ 1/4〜1/2)
 (富澤商店のジャム用ペクチンを使用)

(作り方)
・ルビーレッドキウイ1個の皮をむき、耐熱ボウルに入れる。
・電子レンジ(600W)で1分20秒加熱する。
・グラニュ糖を目分量で半量入れて混ぜる。
・電子レンジ(600W)で1分加熱する。
・残りのグラニュ糖にペクチンを加えて混ぜたものを加えて混ぜる。
・電子レンジ(600W)で30秒加熱すれば完成。
・冷蔵庫で冷やすと粘度が増して、ジャムらしくなります。

わかりにくい部分は、以下の動画もご参考にどうぞ。


世界文化社から先ごろ出版された「完全版 その調理、9割の栄養捨ててます! 調理科学×栄養がとれる食べ方のコツ」を購入しました。188ページから数ページにわたってキウイフルーツに関する記述もあり、楽しみに読んだのですが、想像を絶するひどさに絶句!

あまりにひどいので、即刻出版社に苦情を申し立てました。出版社からは「慎重に検討し、誠意を持って対応する」とのご回答をいただきましたが、こうしている間にデマが広がっても困るので、取り急ぎ問題点を記載します。

1.「皮のすぐ下にアクチニジンが豊富であり、皮を厚くむくとアクチニジンがほとんど失われる」との記述があります。しかし、これは間違いです。実際には緑色の果肉部分にほぼ均等に分布しています。あるいは、そんな難しいことを考えなくても、皮を厚くむいてもゼラチンが分解されてゼリーが固まらないくらい、だれでも知っているでしょう。ネット記事や料理本に散見される俗説を拾って来たものと思われます。

2.「キウイを食べた時に喉がイガイガする人は食物アレルギーの可能性があるので皮をむいて(アクチニジンを取り除いて」食べるように」との記述があります。ありえません。完全にアウトです。理由は3つあります。まず、上記のとおり、皮をむいてもアクチニジンが豊富に残ること。次いで、キウイアレルギーのアレルゲンはアクチニジンだけではないこと。そして、たとえ少量のアレルゲンでも、重篤なアレルギー反応を起こしうることです。医療従事者が監修したとは到底思えないほど低レベルの失態です。わかりやすく言えば、病院の入院患者さんでキウイアレルギーの人に、皮をむいたキウイを給食として提供することは絶対にありえません。

3.「アクチニジンの含量は(可食部100g中に)6.8g」と記載されています。食品成分表では、キウイフルーツのたんぱく質含量は、可食部100g当たり1.0gとされています。たんぱく質であるアクチニジンがその6.8倍も含まれているというのは、子供でもおかしいと気づきそうなものです。アクチニジンはキウイフルーツ果実に含まれるたんぱく質の40%ほどを占めるメジャーな成分です。可食部100g当たり0.3〜0.5g程度含まれています。

4.「キウイがまだ硬いときには室温に2〜3日置いておけばOKだが、リンゴやバナナと一緒にすると追熟が早まる」という記述があります。ということは、リンゴを入れておけば硬いキウイが1〜2日で追熟できるということですか?これもあり得ません。そもそも市販の果実はすでにエチレン処理が済んでいます。追加のエチレン処理の効果は疑問です。またリンゴなどの果実と一緒にして、1〜2日で効果が出ることも、経験的にはありません。

5.「食物繊維の含量が2.6mg」とありますが、実際の1,000分の1ほどの少なさです。単位は「g」のはずです。

6.「アクチニジンは黄色いキウイより緑のキウイに豊富」とありますが、アクチニジン含量は果肉の色とリンクしているわけではありません。市販されている黄色果肉のさぬきゴールドやハニーキウイなどは、ゼスプリ・グリーン(ヘイワード種)よりも豊富なアクチニジンを含みます。

7.「ビタミンCは中心の白い部分(果心部)にダントツに多い」との記載があります。これは本当か誤りかを私は知りません。それにしても、どのくらい多いのかが記載されておらず、エビデンスもなく、ただ「ダントツに」というのは、バラエティ番組のようで強い違和感があります。もしも本当なのであれば、「〇〇の@倍」などと記載してほしいところです。

以上、さんざん否定的な見解を記載いたしましたが、それほどひどい内容であるということで、お許しください。

出版社から本当に「誠意ある対応」が示されたときには、このブログの記載は消すことにいたします。

いつもはキウイフルーツを題材としたまじめな動画を作っていますが、ちょっと息抜きで、役に立たないおもしろ動画を作って見ました。

たった47秒の動画ですが、よろしければお試しください

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風評被害を生む誤情報の削減に、ぜひともご協力をお願いいたします.(連絡先:inishiya@komajo.ac.jp)

駒沢女子大学でキウイフルーツ等マタタビ属果実の成分についての研究を行っている西山一朗と申します。この度は、突然面識のない者から「貴サイトのコンテンツあるいは貴動画の内容の見直しをお願いしたい」という依頼があり、さぞご不快なことだったかと存じます。これには以下のような事情がございますので、ぜひ状況をご賢察の上、誤った情報の拡散抑止と正しい情報の拡散にお力を賜りたくお願い申し上げます。

2015年7月以来、「キウイフルーツ果実に光毒性をもつソラレンが多く含まれる」という虚偽の情報が、ネット上に多数見られるようになりました。これは、2011年11月11日に三空(みく)出版から刊行された「白ツヤたまご肌のつくりかた」という書籍に記載された根拠のない情報を、2015年7月27日にTBSのバラエティ番組である「世にも不思議なランキング なんで?なんで?なんで?」が、その真偽も確認せずに拡散させたことによるものです。

三空出版はすでに公式ホームページ上で「根拠がなかったので訂正削除する」とするお詫びと訂正を告知しています。

また、TBSおよびその後同様の内容を放送した日本テレビ、テレビ朝日も、根拠がなかったことを認め、すでにその内容をホームページから削除しております。この経緯はこちらをご参照願います。

さらに、キウイフルーツ果実の果肉からも皮からも、ソラレン、5-メトキシソラレン、8-メトキシソラレン等の光毒性物質は、まったく検出されないことが、科学的に実証されています。(このサイトから、論文の全文がPDFファイルでダウンロード可能です。)

その他、次のようなサイトもご参照願います。

女子SPA! 拡散する「朝に食べたらNGな果物」の大ウソ。踊らされないで!

Wikipedia「キウイフルーツ | ソラレンを含むというデマについて」

かつてはネット上の500〜600ほどのサイトに「キウイにソラレンが含まれる」と記載されておりましたが、多くのサイト運営者様のご協力を得て、この誤情報を記載するサイトは100サイトほどに減少しております。しかしながら、この誤った情報をもとに、新たなサイトがこの誤情報を拡散する例も後を絶ちません。

キウイフルーツはフルーツの中でビタミンC含量がトップです(アセロラやグァバ等の生果が市販されていないものを除く)。そしてソラレンは含まれていません。シミ・ソバカス対策には最適なフルーツと言えます。にもかかわらず、ありもしないソラレンを恐れてキウイフルーツを食べることをためらう人が多いという、不幸な現状があります。キウイフルーツの生産・流通・販売に関わる者にとっても、またビタミンCの優れた供給源としてこれを消費する者にとっても有害で、だれにも利益のないこの誤情報を削減するために、ぜひお力をお貸し願いたく存じます。




「キウイフルーツにソラレンが含まれている」というのはデマであることを、1人でも多くの人に知ってもらうために、YouTubeに"91チャンネル"を新設しました。
もちろん「キューイチャンネル」と呼びます。

よろしければご覧ください。
1.キウイにソラレンは含まれていない

2.なぜ「キウイにソラレン」というデマが拡散したのか?



ゼスプリ・レッドでキウイジャムを試作してみました。
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写真のように、イチゴジャムのような赤い、きれいなジャムになりました。
レシピはこちらに準じました。グラニュ糖は70〜100gとなっていますが、70gで十分です。糖度46度のジャムができました。

このゼスプリ・レッドはアントシアニン色素が豊富で、これが果実に含まれる酸によって、より赤みを増すため、このようなきれいなジャムになります。

ちなみにレインボーレッド果実にも赤色色素はありますが、その量が少ないため、薄いピンク〜肌色の、ちょっと見栄えのしないジャムになります。それに比べると、ゼスプリ・レッドはジャムにも適するようです。

さっそくパンにぬったりヨーグルトにのせて食べてみました。
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味もなかなかのものでした。キウイフルーツ果実にはクエン酸やキナ酸などの有機酸も豊富に含まれているので、特にレモン果汁などを加えなくても、美味しいジャムができます。グリーンやサンゴールドを使ったジャムよりも、香りが良い気がしました。

まだ出回る量が少なく、また、価格も少し高めですが、ぜいたくにジャムにしてみるのもお勧めです。

2021年4月14日(水)の読売新聞(全国版)の「くらし」欄に、少しだけコメントを載せていただきました。

「キウイ 人気上昇中・・・栄養ぎっしり 料理にも重宝 」というタイトルの記事の最後の方です。私のコメントはたった158文字だけですが、全国版はこれが初めてなので、ちょっとうれしい。

記事の内容は、大手小町さんのサイトからお読みいただけます。

読売オンラインの会員の方はこちらからお読みいただけます。(タイトルは「きれいな人は常備?キウイの栄養とおいしい食べ方」に変わっています。)

取材においでいただいた記者様は、とても感じの良い方で、大変丁寧なご対応をいただきました。有難うございました。

4月も半ばになると、ニュージーランド産キウイフルーツを見かける機会が多くなります。
これまで販売されていた国産キウイフルーツの季節が終わり、スーパーマーケットの果物売り場や青果店の店頭に、ニュージーランド産のグリーン・キウイフルーツとサンゴールド・キウイフルーツがたくさん並ぶようになります。今ではすっかりおなじみの風景ですが、今年はこれに赤いキウイフルーツが加わるかもしれません。

その赤いキウイの名は、「ゼスプリ・レッド」。ニュージーランドで20年以上の歳月をかけて開発された新品種です。昨年から試験的に輸入されていたようですので、すでにご存じの方もいらっしゃることでしょう。

正式な品種名は、‘ZES008’といいます。その最大の特徴は、下の写真のように果心を除く果肉全体が鮮烈な赤色を呈することです。「キウイフルーツは緑や黄色」という既成概念を打ち砕く、インパクトある色調です。これまでにも、レインボーレッドさぬきエンジェルスイートなどの赤色色素を含む品種はありましたが、ゼスプリ・レッドの果肉の赤さは群を抜いています。
DSCN0888_smallゼスプリ・レッド_small
グリーンやサンゴールドに比べると、果実は少し小型です。表面は完全な無毛で、果頂部(写真では下側)はへこんでいます。果肉は軟らかくなめらかで、酸味は少なく上品な甘さと香りを感じます。これまでのキウイフルーツとは少し違った独特の味わいです。グリーン派やサンゴールド派の人と、好みが分かれそうな気がします

ゼスプリ社のデータによれば、レッドのビタミンC含量は可食部100g当たり189mgもあり、グリーン(88mg)やサンゴールド(152mg)をもしのぎます。赤色色素のアントシアニンの健康への効果も期待できるそうです。

今年は、新宿高野本店や本州・四国のイオンおよびイオンスタイル直営店のみでの、限られた期間の販売になるようです。もしも見つけたら、キウイファンは絶対に買いですね。

キウイフルーツ果実からソラレン等のフロクマリンは検出されない」という論文が、ようやくネット上で自由に読めるようになりました。上記リンクからpdfファイルで全文がダウンロードできますので、ご興味をおもちの方はどうぞお試しください。

私は、「キウイフルーツには多量のソラレンが含まれる」という情報は、完全なデマであることを、以前から主張し続けてきました。2020年には、その科学的な根拠を示すために自分で実測もしましたが、当然キウイフルーツ果実からソラレン類は検出されませんでした。しかし、このことを論文にしようとすると、そこには大きな問題がありました。

そもそも「キウイにソラレン」は完全なデマですので、キウイフルーツ果実にソラレン類が含まれるとする先行研究は皆無です。また、食品科学や園芸分野の学会の中でも、キウイフルーツにソラレンが含まれるなどとは、だれも考えていません。となると、「キウイフルーツ果実にはソラレンが含まれていませんでした」と言ったところで、「当然ですよね」となるだけで、論文にすることはほとんど不可能です。

しょうがないので、「このようなフードファディズムは正さないといけませんね」という趣旨の論文にすることにしました。となると、私が所属する園芸学会や日本食品科学工学会などの学会誌への掲載はまず不可能です。以上の経緯から、苦肉の策でこのような首尾となりました。

この誰の得にもならない、そしてだれも幸せにならないデマを払しょくするための一助となれば幸いです。

今世紀最大のデマ









『「キウイにソラレン」は今世紀最大のデマ』という2分間ほどの動画を作成し、少し前にYouTubeにアップしました。

内容がマニアック過ぎたせいか、面白みに欠けたせいか、視聴回数が伸びません。

でも、自分ではかなり気に入っています。ローテクで制作していますが、よろしければどうぞ。

2020年10月15日、ついに『「キウイにソラレンが含まれる」は大ウソ』という内容のネット記事を、女子SPA!様より出していただきました。


女子SPA!


この記事は、あっという間にYAHOO!ニュース、livedoor NEWS、Rakuten/Infoseek News、goo ニュース、excite ニュースなどで拡散しているようです。何とも心強い限りです。

これで、科学的根拠の何もない誤情報が少しでも少なくなってくれればと、期待しています。女子SPA!様、スギアカツキ様、本当に有難うございます。感謝いたします。

それに引きかえ、私がYouTubeに投稿した動画は、2週間で30回再生されただけです。正しい情報の拡散って、なかなか難しいですね。負けずにがんばります。(負けるけど。)

「果物や野菜に含まれるソラレンの量はどのくらい?」にお答えします』のページもご参照願います。

この数か月、キウイフルーツにありもしないソラレンが多く含まれる、という誤った情報の発信元を探してきましたが、ついに解明できました。

すでに非をお認めいただき、公式ホームページで「お詫びと訂正」を掲出いただくという、丁寧なご対応をいただきましたので、あえて出版社名や著書名をテキストで記載はいたしません。2011年11月11日に出版された某書籍に、「キウイには”ソラレ ン”という物質が含まれていて」と記載されていました。これがすべての悲劇の始まりだったと思われます。(もしも上記ホ−ムページの記載が消えている場合は、Wayback machine様のアーカイブサービスをご確認ください。)

これでこの事実無根の誤情報が発生した不可解な原因がわかりました。誤りをお認めいただき、キウイフルーツにかけられた濡れ衣が晴れて、ある意味すっきりしました。

先日機会をいただきましたメディアセミナーで、この事実をメディア関係の皆さまに紹介させていただきました。正しい情報を拡散させていただきたいと願っていました。しかし、「キウイフルーツにソラレンが含まれているというのは間違いだった」という情報だけでは面白いネット記事やテレビ番組にすることが、なかなか難しいようです。

そのため、数百のサイトに拡散した誤情報を一掃するには、まだまだ努力が必要だと思われます。長い長い道のりに気が遠くなりますが、一歩一歩進めて行くしかないのでしょう。その第一弾として、まずは、『「果物や野菜に含まれるソラレンの量はどのくらい?」にお答えします』というページを作成しました。次はYouTubeに動画を投稿しようと思います。しかし、面白みのない動画だと影響力が小さいでしょうから、なかなか企画が進みません。情報を正確に伝えるのは得意ですが、面白く伝えるのは苦手分野です。

何かのきっかけで潮目が変わると良いのですが・・・・・。

今ではネット上に広まってしまった「キウイフルーツにソラレンが含まれる」というウソは、一体だれが言い出したのでしょうか。執念深く追求してみました。

Yahoo知恵袋を参照すると、2005年からソラレンの話題が出てきています。しかし、当時はまだ、キウイフルーツとソラレンとの関連を見出すことができません。私が調べた範囲では、「キウイフルーツにソラレンが含まれる」とした最も古いネット情報は、以下の2件のようです。

・シミや黒ずみの原因の紫外線の感受性を高める食べ物!|美尻のススメ
http://bi-jiri.info/symptom/kurozumi/217/ (broken link)

・朝、摂るとシミを増やす?!注意したい果物と野菜【LET’S STUDY スムージー!その2】
http://www.zackzack.jp/u/topics/u8fzm8gswyvvy3 (broken link)

上記の2つのサイトは、少なくとも2014年の8月までは存在したようですが、現在では存在しませんので、その情報源をこれ以上辿ることができません。

ここからは私の単なる推測です。当時の状況を見ていると、「ソラレン = ビタミンC」というとんでもない勘違いしている人がけっこういたようです。おそらく「ビタミンCの多い食品にソラレンが多い場合が多い」という話から「ビタミンCの多い食品はすべてソラレンが多い」と勘違いした人がいて、その記述を無知な人たちが広めたのではないかという気がします。そしてその誤ったネット情報をもとに、2015年に放送された「世にも不思議なランキング なんで?なんで?なんで?」が制作されたとすると、時代背景や上記サイトが存在した時期とも、矛盾なく説明がつきます。

恐ろしいですね。何の根拠もなく、どこの誰が言い出したのかもわからない誤情報がネット上に拡散し、やがて管理栄養士、薬剤師、医師といった国家資格をもつ専門職の人や研究者までも勘違いさせるほどの影響力を発揮するとは・・・。

何の害もないビタミンCたっぷりのキウイフルーツを、多くの人に安心して朝から食べてもらうために、こんな有害な誤情報は一刻も早く消し去る必要があります。私も全力をあげて頑張りますが、一人の力では限界があります。この記事を読まれた心ある皆さまのご協力を、どうぞお願いいたします。キウイフルーツは一度に4200個食べても、ソラレンの心配はありません。

いろいろなサイトに書いてある「キウイフルーツにソラレンが含まれる」という誤りを、1件1件ご修正いただく活動は、今年の2月18日から始めました。今日で34日目になります(きりが悪い)。

多くのサイト運営者の皆さまのお力をいただき、今日までに141件のサイトで、誤った記載を外していただくことができました。お忙しい中、ご協力をいただきまして、本当に有難うございました。

サイト運営者の方々にとっては、突然知らない人から、「記載内容が間違ってますので直してください」と言われるわけですから、さぞご気分の悪いことだったと思います。改めまして心よりお詫び申し上げます。

お陰様で、誤った記載のサイトはだいぶ少なくなってきました。推定であと100サイトぐらい残っているでしょうか。しかし、これがなかなか手ごわいです。メールアドレスやメールフォームがないので、電話か手紙でないと連絡ができない所が多くあります。こんな複雑な内容を電話でいきなり説明する訳にもいかず、また、手紙というのも手間と費用がかかります。でもやるしかないのでしょう。

もっと難しいのは、連絡先も運営者も何も書いてないサイトです。サーバー会社を調べて、そのサーバー会社にメールの転送を頼むことしかできませんが、サーバー会社によっては受け付けてくれません。こうなるともはやお手上げです。そんなところに限って、SEO対策がなされているのか、検索上位に出てきたりするので、困ったものです。Googleも、そんな連絡先のない作り捨てのようなサイトが上位に来ないようなアルゴリズムにすればいいのにと、つい八つ当たりもしたくなります。

こんな連絡先の書いてないサイトの誤情報を修正していただくには、どうしたら良いのでしょうか?だれか良い方法をご存知でしたら、お教えください。本当は「キウイにソラレンは間違いだった。キウイは朝から食べても何も問題ない。」という情報をSNSで拡散させる手立てがあれば良いのですが。なかなかこんな地味な情報を広める手立てを思いつきません。

どなたかご協力をいただけないでしょうか。

弱気にもなりますが、キウイフルーツの栽培や流通・販売に関わる人たちの(そしてキウイフルーツを実験材料としている私の)プライドや生活がかかっていますので、妥協するわけにはいきません。

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