508a3248.jpg キウイフルーツに含まれるタンパク質分解酵素であるアクチニジンは、果実のどこに多いのでしょうか? ネット上では時折、「皮のすぐ近くに多い」と記載されています。 また、これを真に受けてだと思いますが、ある料理番組で、「キウイフルーツの酵素を生かすには、皮のぎりぎりまで使うことが大切」などといっているのを見たこともあります。

 これまでに複数の論文で、芯(白い部分)にアクチニジンが少ないことははっきりと示されていましたが、皮の近くに多いという論文は存在しませんでした。 そこで自分で調査してみたのが、写真の結果です。 果実の赤道部周辺を切り出し、外果皮(a)、内果皮外側(b)、内果皮内側(c)、果芯(d)に分けて、電気泳動法によりアクチニジンを測定しました。 その結果、外果皮では370 mg/100g、内果皮外側では430 mg/100g、内果皮内側では347 mg/100g、果芯では120 mg/100gとなりました。

 確かに芯には少ないことが示されましたが、それ以外の部分では、特に顕著な差異はないようです。 有意な差かどうかはわかりませんが、内果皮外側で幾分多い(正確には密度が大きい)と言えるでしょうか。 とにかく、皮の直下に多いということはないようです。

 本当はキウイフルーツの切片を作製して、抗アクチニジン抗体を用いた免疫染色を行えば、もっとアクチニジンの局在がはっきりと示せるのですが、植物組織の薄切切片は私の技術ではできません。 動物組織であれば簡単に顕微鏡用切片が作製できるのですが・・・。