2007年03月09日 11:39

IVの算出

オプションのIV(インプライド・ボラティリティ)を算出するのに、恐らく証券会社の配信するデータを使用しておられる人が多いと思います。しかし、これはあまり正確な数値とは言えないように思います。なぜなら・・・

・残存日数が営業日ベースでなく、1年=365日の実日数ベースである。   両者には一長一短ありますが、やはり週末や連休前に誤差が大きくなるように思います。

・原資産価格に日経225の現物価格を用いている。   現物オプションなんだから現物価格を使って当たり前のようですが、午後3時に現物市場が終わった後も先物は動いており、それと連動してオプション価格も変動することから、現物と先物の終値が乖離している場合にIVが不正確になります。

・オプション価格に直近に出来た値段を用いている。   現在のようにオプション価格の刻みが荒い場合、売り気配の方で値段がついたか、買い気配の方でついたかによってIVが1ポイント以上違ってくることがあります。極端な話、
売り気配数量  買い気配数量
   1   15
       10 1000
のような板の状態でも、直前に10円で出来ていればその値を元にIVが表示されてしまいます。また、ITMで流動性のないオプションでは、数十分前に出来た、現在の気配とかけ離れた値段でIVが計算されてしまうこともあります。

そういうわけで、私の場合独自の方法で原資産とIVを算出しています。このブログで出てくる数値はすべてこの方法に基づいています。

・1年=245日として計算。
・価格データは、売り気配と買い気配の仲値を使用。仲値はちょうど真ん中ではなく、気配の数量で重みをつけたもの。計算式は、
    買い気配値+買い数量÷(売り数量+買い数量)×(売り気配値−買い気配値)
 (例)50円売り気配10枚、45円買い気配10枚なら、
   45+10÷(10+10)×(50−45)=47.50円
   50円売り気配40枚、45円買い気配10枚なら、
   45+10÷(40+10)×(50−45)=46.00円
実際の市場では、板に注文がぶつけられて値段が動いていきますので、板の厚みで仲値を算出するのは合理的と思います。

・原資産価格は、先物価格(これも重みつき仲値を使用)から、金利・配当分を割り引いたものを使用。金利は日銀の発表する無担保コール翌日ものの平均。配当落ち分が難しいですが、現物225の仲値と先物の仲値をにらんで適当に決めます(笑)。 今日の相場だと、6月限+77円といったところでしょうか。

・残存日数は、SQ前日の大引けで0.5日になるように設定。さらに、ザラバでタイムディケイが進行することを勘案して、前場開始時に0.5日、後場開始時に0.5日減じていきます。

・IV値はATMのみコールとプットの平均(これも、重み付きでOTM側が強く反映される)を用い、他の権利行使価格はOTMのものを用いる(安い方はプット、高い方はコール)。ITMは先物を組み合わせれば反対側のOTMのオプションに転換できるので。
 
・全体のIVを代表する指標として、期近修正ATMを算出して時系列で記録。以前はSQ週で限月交代させたつなぎ足を記録していたのですが、やはり誤差が気になったのと、同じ期近でも残存日数20日と10日では傾向が違うので、工夫を加えました。 期近限月の残存日数の最大は、SQまで5週で休日がない場合の25日になります。私の場合0.5日引いたものを使っていますので、残存24.5日を標準として、そこから先は徐々に第2限月のIVの按分割合を増やしていきます。計算式はややこしいので省略しますが、昨日は4月限の残存日数がちょうど24.5日でしたので、4月限のIVがそのまま100%反映されます。今日の引けで4月限が残り23.5日になりますので、5月限のIVが少し加味されるようにします。そして、5月限の残存日数が24.5日になったときにちょうど5月限が100%反映されるように按分していきます。

・・・書いてて自分でも訳が分からなくなってきましたが、今のところこの方法で満足のいくデータ管理ができています。要は、裁定でおいしいところを取ろうとするなら、まず正確な物差しを、ということですね。

トラックバックURL

コメント一覧

1. Posted by てつや   2007年03月09日 16:37
なんだかよくわかりませんが、すごいです。

IVなんですが、証券会社毎にその値が違っているんですよね。私が使っている複数の証券会社の中で同じ値になっているところはひとつもありません。私のトレードの場合は、傾向が見れれば良いので、ひとつの証券会社に固定して見ています。

ACさんは、ご自分でIVを出しているなんてすごいですね。ACさんのブログやコメントを見ると、IVの上下をトレードされているんだと思います。まさに、ボラを売買するオプションの真髄ですね。
ところで、そういった売買手法はどこで勉強されたのですか?私も勉強したいと思います。よろしければ教えてください。
2. Posted by たくみ   2007年03月09日 20:47
はじめまして。大規模に取引されているようで、うらやましいです。
私もIV計算については、いい方法はないかと思っていました。引け直前に10円と15円で大幅に変わってしまうのと、毎日のIVの変動をどうやって記録したものかと・・・。手書きで書けばいいのかもしれませんが、けっこう大変そうです。計算方法とか日々の記録方法とか、よろしかったら教えてもらえると助かります(なかなかノウハウの部分もあるかと思いますが)
3. Posted by AC   2007年03月09日 22:35
てつやさん、こんばんは。ようこそいらしてくださいました。
IVの値ですが、日数の取り方や短期金利の設定などで各社いろいろな数字になってしまうみたいです。物差しを一つに決めてしまえば、細かい違いは気にしないで大まかに高い安いが分かればいいのですが、原資産があまりに乖離するとコールとプットの割高割安の判断を狂わせるので注意が必要です。
オプションの勉強方法ですが、一応増田さんの本とカプランの分厚い本は買って読みました。いろいろなストラテジーが紹介されているのはいいのですが、実戦的にはあまり役に立たないな、というのが率直な感想です。結局高い授業料を払って(要するに大損こいてw)マーケットから学ぶしかなかったです。
あまり文章が上手い方ではないですが、ここで少しずつ書いていこうかと思っています。今後ともよろしくお願いします。
4. Posted by てつや   2007年03月09日 23:57
勉強方法の件、ありがとうございます。増田さんの分厚い本は1冊読みましたが、私にとってはいまいちな内容でした。カプランも期待できなさそうですね。
ブログの更新ますます期待しています。待っています。
5. Posted by AC   2007年03月10日 13:09
たくみさん、はじめまして。
IVですが、10円と15円の差はあまりにも大きいですよね。下手をするとボラが2ポイント近く違ってきます。前から思っているのですが、少なくとも100円以下のオプションは刻みを1円にすべきです。この状態を放置するのは取引所の怠慢ですよ。ティックが1円ならチャンスに成り行きでできますから、出来高も増えて取引所やブローカーにとっても悪い話ではないと思うんですがね。
IVは各限月の権利行使価格ごとにExcelで計算させていますので、それをコピペして時系列で保存しています。日中仕事をしておられて、終値だけを見てゆったりとトレードするスタイルの方でしたら、証券会社の配信する数値をExcelに入力していくだけでも十分かもしれません。ただ、個人的にはオプション取引はザラバに張り付けない環境だと先物よりハンデが大きいと感じています。

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
令和6年能登半島地震災害義援金



イスラエル・ガザ人道危機救援金



ウクライナ緊急人道支援



     訪問者数
−Since 2007.3.7−

     
  • 今日:
  • 昨日:

    IVチャート
日足(2024年3月29日)IV日足チャート240329

週足(2024年3月29日)IV週足チャート240329
Google
WWW を検索
このブログ内を検索
プロフィール

AC

200万円を元手に2001年から商品先物の専業トレーダー。2007年より日経先物・オプショントレードをメインにトレード。リーマンショック、東日本大震災等いろいろなことがありましたが、今はゆるくやっています。

メッセージ

名前
メール
本文
最新コメント
月別アーカイブ
    お薦めの書籍







   ケータイはこちらから
QRコード
  • ライブドアブログ