2008年06月17日

将棋名人戦で、羽生が森内を下し永世名人に

昨日と今日の2日間行なわれた名人戦第6局で、羽生善治王将が森内俊之名人を下して名人位を奪取し、通算5期で十九世名人の資格を獲得しました。http://mainichi.jp/enta/shougi/news/20080618k0000m040076000c.html? inb=yt
羽生新名人とは世代もほぼ同じであることもあり、将棋に対する考え方など共感できる部分もたくさん あって、応援していました。
最近行なわれた佐藤康光棋聖との棋聖戦で、ウェブ進化論で有名な梅田望夫氏が観戦記を書いておられたんですが、その中で羽生名人らしいエピソードがでてきま す。少し長いですが引用します。

http://sankei.jp.msn.com/culture/shogi/080611/shg0806112232007-n4.htm
http://sankei.jp.msn.com/culture/shogi/080611/shg0806112232007 -n5.htm

しかし、そういう結論がどうということ以上に、私が印象深く思ったのは、勝 者の佐藤棋聖と敗者の羽生挑戦者が、終局のとたん、2人で作った作品たる 棋譜から適度な距離を置き(デタッチして)、健全な批判精神をもって、第三者のように語り始めたことだった。この感じは、感想戦が終わるまでずっと続い た。自分の研究成果であろうと、皆と一緒になって批判精神で眺め、活発に議論する欧米の科学者たちを見ているかのような錯覚を覚えた。

 対局者の2人は、感想戦では、ただただ、こんな言葉を繰り返すばかりなのだ。

 「いやあ、難しいですねえ」

 「わからないですね」

 「ちょっとわからないけれど、やってみたんですよね」

 「有効な手がないんですよね」

 「難しいですね」

 「本当に そうですね、難しいですよね」

 「ここ、どう指していいか、迷いましたねえ」

 「受けの形が見えなかったんですよね」

 「桂をここに打つのでは、おかしいですよね」

 「自玉の耐久力の計算ができなかったんですよね」

 「自信はなかったです ね」……。

 二人の感想戦は、ただただ、こんな言葉が連なったものだった。

 むろん先ほどまとめたような「結論」は出たのではあるが、二人が最後まで言い続けていたのは、▲1六香の代わりに▲1六飛としていたとして も、あるいは、▲7四歩の代わりに▲4五金としていたとしても、

 「やっぱり難しいですよね」

 ということだった。

 佐藤棋聖と羽生挑戦者の感想戦は、2人にとってきっと至福 の時間なのだろう。

 傍で見ていて、私は本当にそう思った。

 そこには勝者も敗者もおらず、科学者が真理を探究する姿だけがあったのだ。

(引用終り)

将棋のタイトル 戦には賞金があり、竜王戦で3200万円、名人戦は非公開ですが約2000万円が勝者に贈られます。しかし、羽生名人を始め、将棋の トッププロと言われる人たちは単にお金と名誉のためだけに将棋を指しているのではないと思います。心底将棋が好きで、その真髄を究めたいという一心で研鑽 を重ね、勝負を戦っているのでしょう。そしてそれができる人だけが一流であり、賞金はそれに付随してついてくるものなのです。
もちろん相場は直接マネーを扱うわけで、将棋と世界が違いますが、そういう気持ちでやっていければいいだろうなと強く思います。マーケットの真実というものに到 達できるかどうかはともかく、そこに一歩でも近づくことが、結果的にリターンとして自分に返ってくるのではないでしょうか。



actok at 22:06コメント(8)トラックバック(0)雑談  この記事をクリップ!

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コメント一覧

1. Posted by edoriver   2008年06月18日 00:27
我々世代???の2大天才勝負師は羽生と武豊ですね。
2人ともどことなく似ているような気がするのは私だけでしょうか?
ついでに言えば、奥さんのタイプも似ているような・・・
2. Posted by AC   2008年06月18日 08:55
武豊も天才の代名詞ですよね。
両者とも、ギラギラした野心は感じさせませんが、自分の道を究めたいという気持ちは伝わってきます。
>>奥さんのタイプ
そこそこ成功はしたけど、トップにまでは登り詰めなかった元アイドル、という点が共通してますね。もっとも、アイドルとしてバリバリやるような人は、夫を陰で支えて、みたいなことは向いてないでしょうから、これでうまくいっているのでしょう。
3. Posted by HIRO   2008年06月18日 09:12
我々世代です^^; 
私も第四戦を現地に見に行きました(といっても大盤解説ですが)。
終盤の緊迫した場面では羽生さんの指す手が震えていました。隣の駒を弾くほどです。さすがにトッププロでもそういうことまではコントロールできないんでしょうね。

>マーケットの真実・・・、そこに一歩でも近づくことが、結果的にリターンとして自分に返ってくるのではないでしょうか。

全くの同感です。ACさんは文章がうまいですね。
4. Posted by 義経   2008年06月18日 09:15
私も将棋・囲碁大好きです。
最近はネット囲碁ぐらいしかやりませんが、羽生さんのことは昔から応援していました。近年最高の頭脳の一人ですね。
5. Posted by AC   2008年06月18日 09:21
観戦記でも終盤で羽生さんの勝利が近づくと「手が震えだした」という表現がよく出てきますね。人智を越えたものに触れた者にしかわからない畏敬がそこに表われるのだと思います。
>>文章がうまい
全然そんなことはないんですが、お世辞でもそう言っていただけると嬉しいですね。頑張ってブログつけていきたいと思います。
6. Posted by AC   2008年06月18日 09:35
>近年最高の頭脳
大げさに言えば人類の宝と言ってもいいんじゃないでしょうか。彼の全盛期の活躍をリアルに見られるだけでも幸せなことだと思います。
7. Posted by 左近   2008年06月21日 19:13
こんばんは。出張先から携帯です。
谷川世代の私には羽生名人は一番対戦したくない相手?です。意味不明。
谷川−羽生戦は確か百試合で、谷川の45勝で谷川が健闘している印象です。谷川は羽生に名人戦で勝って十七世名人を決めたころが一番強がったでしょうか。A級最年少だった谷川も最年長になりました。
升田将棋に一番魅力を感じます。
8. Posted by AC   2008年06月23日 09:27
お返事遅くなりました。
ざっと調べてみたところ、
http://homepage2.nifty.com/tanigawa17/kiroku/_habu101.htm
谷川さんの62勝95敗6千日手ということのようです。羽生さんがいなければ谷川時代も長く続いたのでしょうが、巡り合わせというか、悲運の名将、という感じがします。でも、谷川さんの人間性とか、リスクはあっても最短手数での寄せを狙う棋風とかは好きですね。

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