November 20, 2005

Tomasz Stanko 4 at London Jazz Festival

St Paul
地下鉄をSt Paulで降り、凍てつきそうな湿った夜の空気に首をすくめながら、人気のない通りを足早に進む。
guildhall
イギリスの旗の赤が周囲にわずかな温かみを放つギルドホール脇を通り過ぎ、今夜の会場、バービカンへ。

楽しみにしていたトマシュ・スタンコのライブの日がやってきた。


バービカンでは午後4時から、BBCラジオ3放送用の無料のステージJazz Line Up Liveがあったらしい。入り口脇でステージの後片付けがあたふたとされている。カーペット敷きのフロアーには、ビールやタバコを片手に、若者達が興奮さめやらぬ様子でまだごろごろしている。

ジャズ・フェスティバルのプログラムにはミュージシャンの詳細未定と書いてあったので見逃してしまったけれど、ホールで配られたプログラムには、Simple Acoustic Trio のイギリスデビューとある。これって、これからスタンコと一緒にプレイする3人ではないか!つまりわたしは、彼らのステージから数メートルも離れずに聴くチャンスを逃してしまったことになる。なんて残念なこと!それにしても、これから大きなステージを努める彼ら、その前にセッションをやるとは、猛烈なエネルギーだ。

audience
続々と客席が埋まっていく。いよいよ開幕!

stage
先頭に立つスタンコに引率されるようにメンバーがステージに現れる。

Slawomir Kurkiewiczが、シングル・トーンを厳かにアルコで奏でてコンサートが始まった。Marcin Wasilewskiのピアノも穏やかで、ドラムのMichal Miskiewiczもコントロールの利いた抑え目のトーン。いかにもECMサウンドだなぁと思いきや、2−3分ほどウォームアップでECM風に演奏していた彼ら、ぐんぐんとテンションをあげて、ドライブ感が小気味良いバップへ突入。すこしかすれた、息の多い音で始められたスタンコのトランペットも、すぐに伸びやかな音に色を変えていく。実にCOOLなオープニングである。

stanko
2曲めは叙情豊かなロマンチックなMarcinのピアノから始まった。先日のTORDのピアノの叙情性とまったく異なる、センチメントを一切排除した、からっとしたロマンチシズムだ。彼らのピッチはさらに上昇し、COOLなバップからモダンなファンキーJAZZへ。

Slawomir のベースは、見事なまでにヴァーチュオーゾであると同時に、心底楽しんで演奏しているのがこちらにも伝わってくる。重量感のある大らかな音色のベースだ。そこにMarcinの音楽性豊かなファンキーなピアノが加わる。彼のピアノは、Maiden Voyageを出した頃の若きハービー・ハンコックのドライブ感と、どこか似ているところがある。見ていても聴いていても、聞き手のわたしの魂が空に飛んでいけそうな開放感が、抜群に気持ちよい。この二人と対照的にMichalのドラムは職人芸というか、少し控えめだけれど、実にパーカッシブ。マレットあり、ブラシあり、フェンシングのように斜に構えて、なんでも器用にこなしている。

スタンコは、この3人が織り成す安定していて、しかもパワフルなベースにのって、自由自在に楽々と泳いでいる。しなやかにストロークが伸びているクロールみたいな感じだ。若いトリオのエネルギーと、彼の老熟した温かみのある音色のトランペットの組み合わせが、実にフレッシュな音楽を作り出す。

テンションもどこか楽しい。聞き手を鎖から解き放つパワー。気持ちよく泳げた後のような、ものすごく爽やかな後味。音を楽しむのが音楽って、当たり前のことがなるほどと納得できるパフォーマンスだった。

演奏は、BBCラジオ3で、21日月曜日のLate Junction, および12月9日のJazz on 3で放送の予定。このライブの雰囲気が伝わるといいですね!

ところで、もうちょっとまともなカメラを買わないと、この写真じゃ全然感じが掴めませんね!反省。




actonian at 19:01│Comments(12)TrackBack(1)すてきな音楽 | ロンドン:巷の話題

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1. TOMASZ STANKO QUARTET 来日 / ライヴリポート編  [ 晴れ時々ジャズ ]   November 21, 2005 22:34
? 開演前の会場 駐日ポーランド共和国大使館の地下にある講堂は奥行きが長く、並べられた椅子は120あまり。開演間近になると椅子に座りきれない聴衆が何十人も吹き抜けの螺旋階段の途中まで溢れていた。私は前列から5列目あたりの左寄り、しぶちゃさんのすぐ後ろだっ...

この記事へのコメント

12. Posted by Lady Ellington   November 25, 2005 02:21
お返事
CDの方が完成度の高い演奏を聴けると思った時期もありましたが、やっぱりライブで伝わるものは大きいですね。東京でも色々大物が聞けるでしょう?
11. Posted by kenta   November 24, 2005 14:03
ライブ、いいですね。
写真も雰囲気が伝わります。
後からCDで聴いた時にライブの風景が甦る、そんなこともライブの良さですよね。
10. Posted by Lady Ellington   November 23, 2005 21:46
お返事
あ、なんちゃんてオジサン、お帰りなさい!まだかなぁ、まだかなぁ、とこの2−3日ブログのぞいていたのです。どこの旅行だったのかしら・・これから遊びにいきまーす。
9. Posted by なんちゃってオジサン   November 23, 2005 18:30
またまた、楽しんできたようですね。
音はやっぱり「生」だよねぇ。
いいなぁ〜〜〜。

ちょっとの時間でしたが、旅して来ました。
美味い空気と美味い水ヨカッタ!!
また、行くぞ〜〜。
8. Posted by Lady Ellington   November 22, 2005 07:53
お返事
しまちゃん
ようこそ、いらっしゃいまし!
このモダンな通りの細い隙間から見えるSt Paulは、昔絵本で見たディズニーの「小さな家」だったかなぁ、を思い出す光景でした。夜ロンドンを歩くと、メリーポピンズの映画のくらーいCITYの風景を思い出すときもあるでしょ?
ギルドホールって面白そうなところだね。今度昼間にいってみよーっと。JAZZのいいCD今度貸してあげるよ〜。
7. Posted by しま   November 22, 2005 04:45
ブログ入室初心者なんですけど・・。なんとか入れた。
St Paulのこの景色は本当に大好きでディキンズの小説のなかにもぐりこんだ気持ちになる。

ジャズのことはよくわからないが、そんな場所が会社の側にあったんだ。発見。
6. Posted by Lady Ellington   November 22, 2005 00:38
お返事
アーティチョークさん
トラックバック、ありがとうございます!
寄り道とつまみ食いだらけのブログですが、リンクしていただけて光栄です。

以前はJAZZ FMばかり聞いていたのですが、最近どういうわけか、もうとっくの昔に聞き飽きたようフュージョンばかり流しているのでBBC3に切り替えました。マーチンのはまだ聴いていませんが、面白そうですね!
5. Posted by アーティチョーク   November 21, 2005 22:43
Lady Ellingtonさん、こちらからもTBさせていただきました。
それから"BBC RADIO 3"でMARCIN WASILEWSKI TRIOのライヴを聴きました。演奏曲はSISTER'S SONG、HYPERBALLADなど。インタビューではスタンコとの出会い、マヌ・カチェとのレコーディングなどMARCIN WASILEWSKIの興味深いお話が聞けました。
Lady Ellingtonさんのブログをこちらでリンクさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか。
4. Posted by Lady Ellington   November 21, 2005 22:13
お返事
アーティチョークさん
大使館でのコンサートほど近くで聴けなくて残念でしたが、ステージの温度はぐんぐんあがっていました。久しぶりにライブでJAZZを聴いて、アーティチョークさんのおっしゃるとおり、CDだけじゃだめね、と思いました。
3. Posted by アーティチョーク   November 21, 2005 21:24
先日は当ブログへコメントとトラックバックをありがとうございました。
Lady Ellingtonさんのステキな文章で、コンサートの様子が良く伝わってきました。写真も雰囲気がよく分かる良い絵だと思います。
お気に入りのアーティストなら、CDだけを聴くのではなくて、やはりライヴへも足を運ぶべきですよね。今度またコンサートへ行かれましたならぜひ記事にしてください。楽しみにしています。
ありがとうございました。
2. Posted by Lady Ellington   November 21, 2005 18:10
お返事
seedsbookさん
久しぶりに、気分が高揚するコンサートでした。しっとりもいいけど、元気もいいですね。でも、この寒さの中ででかけるのは、ちょっと「覚悟」がいります!
1. Posted by seedsbook   November 21, 2005 16:45
素敵なコンサートだったようですね。
最近私は知人のコンサート以外に出向いていなかったので行きたくなってきました。それに勉強不足で駄目です。
リバクーゼンというところであるジャズフェスティヴァルも最近行ってないし。。。

Lady Ellingtonさんの記事が生き生きスキッとか書かれているので、思わず引き込まれます!

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