2010年06月20日
社会意識と不妊症
さかの鍼療室&さかのセラピールームは、体外受精=ARTの有効性を支持しますが、体外受精が究極の不妊治療であるという考えには賛同できません。
(卵管の癒着や閉塞がある場合、体外受精は意義のある不妊治療です。)
前回記事「染色体異常とPGD」を読んでいただければ、ARTはリスクを伴なうということをご理解されるでしょう。
今回の記事は視点を変えて書くことにしました。さかのセラピールームのメッセージでもあります。
長年多くの患者さんと治療を通じ交流していますが、患者さんの訴えや会話のなかで、その影に潜むものに気づいたのです。
近年は社会的現象として晩婚傾向があり、30代の女性の結婚が増加しています。
もはや、晩婚は少数派ではありません。(結婚しても仕事を継続する女性は、以前より増加しています。)
現代のカップルは、日本経済の低迷による社会的環境により、多様な生活様式を送っており、就業時間の延長による遅い帰宅、共働きの場合は、単身赴任というケースも少なくありません。
夫婦交流の少ないカップルは増加していると思います。
不妊症のWHO定義は「避妊せず、婚姻後2年経って妊娠しない。」です。挙児出産ではなく、妊娠が定義です。
日本では2年間で90パーセントのカップルが妊娠し、3年で93パーセントが妊娠するというデータを根拠にし、不妊の判定をしています。最近では1年でも不妊という定義を訴える医療機関もあります。これも出産の定義ではありません。
そして、前述のような状況にあるカップルの存在を考慮していません。
大多数の男女が20代で結婚していた半世紀前なら理解出来ますが、現在の状況を投影したものとは思えません。
つまり、社会背景と不妊の関連を無視すると、データによって不妊症が決定され、それに該当するカップルは、身体的な原因がなくとも、「不妊症なのかもしれない」と思い、少数派(10パーセントはかなり多い人数ですが)であっても社会心理となるのです。
(卵管の癒着や閉塞がある場合、体外受精は意義のある不妊治療です。)
前回記事「染色体異常とPGD」を読んでいただければ、ARTはリスクを伴なうということをご理解されるでしょう。
今回の記事は視点を変えて書くことにしました。さかのセラピールームのメッセージでもあります。
長年多くの患者さんと治療を通じ交流していますが、患者さんの訴えや会話のなかで、その影に潜むものに気づいたのです。
近年は社会的現象として晩婚傾向があり、30代の女性の結婚が増加しています。
もはや、晩婚は少数派ではありません。(結婚しても仕事を継続する女性は、以前より増加しています。)
現代のカップルは、日本経済の低迷による社会的環境により、多様な生活様式を送っており、就業時間の延長による遅い帰宅、共働きの場合は、単身赴任というケースも少なくありません。
夫婦交流の少ないカップルは増加していると思います。
不妊症のWHO定義は「避妊せず、婚姻後2年経って妊娠しない。」です。挙児出産ではなく、妊娠が定義です。
日本では2年間で90パーセントのカップルが妊娠し、3年で93パーセントが妊娠するというデータを根拠にし、不妊の判定をしています。最近では1年でも不妊という定義を訴える医療機関もあります。これも出産の定義ではありません。
そして、前述のような状況にあるカップルの存在を考慮していません。
大多数の男女が20代で結婚していた半世紀前なら理解出来ますが、現在の状況を投影したものとは思えません。
つまり、社会背景と不妊の関連を無視すると、データによって不妊症が決定され、それに該当するカップルは、身体的な原因がなくとも、「不妊症なのかもしれない」と思い、少数派(10パーセントはかなり多い人数ですが)であっても社会心理となるのです。
また、ジェンダー(女性差別)という社会意識による女性への抑圧も深く関与しています。
例えば、「周囲は皆子どもがいるのに、貴女はまだなの。」
二人目不妊の方でも、交流する婦人から「貴女は子供一人でいいの?」子供が二人三人いるのが当たり前という、多数派が当たり前になる社会意識では、状況の違う相手に、このような配慮のない言葉を無意識にぶつけることが多いのです。
話を戻します。
婚姻後2年以上経過しても妊娠しない。または妊娠があっても流産し、子どもが出来ないカップルは、支配的情報の「不妊症」ではないかという不安のため、不妊治療専門病院を訪れます。
妊娠実績があれば、実際は不育症なのですが、不妊症の意識のほうが強いようです。
治療は、クロミフェンによるタイミング法から、人工受精へ、そして体外受精へと決まりごとのようにステップアップをされることが多い。どうも、ステップアップは、すっかりガイドライン化されているように感じます。
多くの患者さんは、年齢を重ねる=老化が妊娠率を下げることを知っています。
不妊治療は根拠に乏しいため運も左右します。
早く状況を変えたい、結果を出したいと急ぐからでしょうか、当治療室に来院する方の中には、手っ取り早いホルモン補充治療を繰り返すことで、かえって卵巣機能が衰えてしまうという、気の毒なケースをみかけます。
中にはホルモン補充療法の感受性差異により、強い副作用が表れる方もおります。
一番怖いのはOHSS(卵巣過剰刺激症候群)です。子宮内膜菲薄化。頸管粘液減少。卵巣機能の低下。体の浮腫。不眠。情緒不安定など。アトピー性皮膚炎の方は悪化するケースが見受けられます。
以下は症例です。
40代半ばのTさんは、体外受精を繰り返し、子宮内膜が5mmまで薄くなってしまいました。医師に「もうこれ以上治療を続けるのは無理です。」と言われ、失望と憔悴しきった状況で来院されました。
Tさんは、ホルモン治療の副作用によるむくみ、交感神経の過緊張による背部痛などがはっきり認められました。基礎体温もジグザグ型で、二相性を失っています。
Tさんは週1回のクールで治療を続けました。
体のむくみが取れ、体調も良くなり、半年後には内膜も13mmまでに回復され、基礎体温の二相性も回復しました。
現在は自然妊娠を目指していらっしゃいます。

上、来院時のグラフ。

下、治療による改善のグラフ
子供が欲しいと願う夫婦は、肉体的、精神的、経済的、そして社会的にも多くの負担を強いられています。
社会的な背景にも、(不安・焦燥・怒り・悲しみという抑圧された感情は交感神経の過緊張につながるのです。)焦点を当て、対応していくことの必要性を実感しています。
期待に応えるため、こころのケアと、経験主義ではなく、根拠に基づく力強い治療と、新しいアプローチも採用する進歩的な技術を提供したいと思います。
例えば、「周囲は皆子どもがいるのに、貴女はまだなの。」
二人目不妊の方でも、交流する婦人から「貴女は子供一人でいいの?」子供が二人三人いるのが当たり前という、多数派が当たり前になる社会意識では、状況の違う相手に、このような配慮のない言葉を無意識にぶつけることが多いのです。
話を戻します。
婚姻後2年以上経過しても妊娠しない。または妊娠があっても流産し、子どもが出来ないカップルは、支配的情報の「不妊症」ではないかという不安のため、不妊治療専門病院を訪れます。
妊娠実績があれば、実際は不育症なのですが、不妊症の意識のほうが強いようです。
治療は、クロミフェンによるタイミング法から、人工受精へ、そして体外受精へと決まりごとのようにステップアップをされることが多い。どうも、ステップアップは、すっかりガイドライン化されているように感じます。
多くの患者さんは、年齢を重ねる=老化が妊娠率を下げることを知っています。
不妊治療は根拠に乏しいため運も左右します。
早く状況を変えたい、結果を出したいと急ぐからでしょうか、当治療室に来院する方の中には、手っ取り早いホルモン補充治療を繰り返すことで、かえって卵巣機能が衰えてしまうという、気の毒なケースをみかけます。
中にはホルモン補充療法の感受性差異により、強い副作用が表れる方もおります。
一番怖いのはOHSS(卵巣過剰刺激症候群)です。子宮内膜菲薄化。頸管粘液減少。卵巣機能の低下。体の浮腫。不眠。情緒不安定など。アトピー性皮膚炎の方は悪化するケースが見受けられます。
以下は症例です。
40代半ばのTさんは、体外受精を繰り返し、子宮内膜が5mmまで薄くなってしまいました。医師に「もうこれ以上治療を続けるのは無理です。」と言われ、失望と憔悴しきった状況で来院されました。
Tさんは、ホルモン治療の副作用によるむくみ、交感神経の過緊張による背部痛などがはっきり認められました。基礎体温もジグザグ型で、二相性を失っています。
Tさんは週1回のクールで治療を続けました。
体のむくみが取れ、体調も良くなり、半年後には内膜も13mmまでに回復され、基礎体温の二相性も回復しました。
現在は自然妊娠を目指していらっしゃいます。

上、来院時のグラフ。

下、治療による改善のグラフ
子供が欲しいと願う夫婦は、肉体的、精神的、経済的、そして社会的にも多くの負担を強いられています。
社会的な背景にも、(不安・焦燥・怒り・悲しみという抑圧された感情は交感神経の過緊張につながるのです。)焦点を当て、対応していくことの必要性を実感しています。
期待に応えるため、こころのケアと、経験主義ではなく、根拠に基づく力強い治療と、新しいアプローチも採用する進歩的な技術を提供したいと思います。


