2007年07月23日 00:14

花の器

村松加奈子さんという若い清楚なお嬢さんと出会ったのは3月だった。京都で知人に紹介された。透明な、まっすぐな目をした方で、きっといい仕事をする人だと直感した。彼女は京焼きに絵付けをする人。あえて作家とは呼びたくない。まだまだ健やかな変遷をする人だと思うから。
その時見せて下さった作品は京焼き特有の柔らかな半磁器の酒器。繊細な花がびっしりと描かれた美しい器である。きっと息を詰めるように筆を走らせて描かれたものに違いないのに息苦しさを感じないのは彼女自身の人柄を反映したものだと思う。
この人に、どんな宿題を出そうかと。話し合っているうちにふと思いついた。小さなまん丸い蓋ものを作って、朱肉入れにしたらどうかな、と。彼女も目を輝かせて作ってみたいと言った。じゃあ、楽しみに待ってるね、とお別れして数週間後、幾つかのの蓋ものが届いた。
まあ、と息を呑むほどの愛らしさである。手にした途端、朱肉を入れるのがあまりに無惨な気がしてきた。使っているうちに朱で汚れてしまうのが必定。どうしようか、この大きさでは香合には少し小さい。そうだ、指輪入れにしようと思った。小さな丸い縮緬のお座布団を入れて縮緬の布で包んで箱に入れたら自分への贈り物にいいだろうと思った。
実用的なものもいいけれど、こんな無駄とも言える楽しい工芸も捨てがたい。
若い作り手が確かに育っている。そんな人ともっと会ってみたい。絶え間ない人との交流の中から生まれていくもの作りが理想だと思っている。(撮影:久野充敬)村松蓋もの菊尽くし蝶蓋もの
商品について
六本木ミッドタウン3Fのメイドインジャパンのショップ’The cover日本’http://www.thecovernippon.jp/でご覧頂けます。是非お出かけ下さい。

The cover日本は3月にメイドインジャパンプロジェクトの第一号店としてオープンしました。オープンに際し、雑貨MDと布関係の商品開発、コーディネーションなどで参画しました。
ADA INSTITUTE Michiyo Tanaka 
http://www.kozocom.com/kozos/tanaka/
http://www.kozocom.com/lifestyle/interior/index.html

ADAとはインドネシア語で存在するという意味です。大きな志を忘れないためにこの言葉をオフィス名にしました。

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コメント一覧

1. Posted by ひとみ   2007年07月23日 14:01
とびっきりの宝箱になりましたね!

じかに見たいのでミッドタウンへ来月行きます。笑
2. Posted by 田中美知代   2007年07月23日 18:58
ひとみさん
来月だと売り切れているかも・・・上京の折はお知らせ下さい。
3. Posted by hana   2007年07月24日 21:48
こんばんわ。可愛い焼き物だね。手のひらサイズかな?
4. Posted by 田中美知代   2007年07月25日 09:00
見てくれたの?有り難う。直径3cmくらいかな。
5. Posted by 大阪の新妻   2007年07月26日 09:37
直径3cmにあの繊細な絵。
手にとってじっくり見てみたい!
6. Posted by 田中美知代   2007年07月27日 10:10
もうもうそれは繊細。でも神経質じゃないの。人柄そのまま。

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