前回のblogが大変に好評で、次のエントリをアップするハードルが非常に上がってしまったわけですが(笑)、それはまた追々続きを書くとして、このblog本来の趣旨である「熊本の経済」について少しづつ触れていきたいと思います。
さて、九州の縦のライン(福岡・熊本・鹿児島)にお住まいの方なら多くの方が関心を持って見ているであろう「九州新幹線全線開業」。3/12開業といよいよあと1ヶ月半まで押し迫ってまいりました。
熊本でも新幹線駅や熊本城下の観光施設など徐々にハード面の整備が進んでいます(まぁ、博多に比べると全く進んでいませんが…)
博多のオフィス需要(pdfが開きます)の推移を見る限り、まだ熊本のオフィス空洞化は始まっておらず、これからの展開に注目といったところでしょうか。 個人的にはオフィスを統廃合するなら半年以上前から展開しておくはずなので、これ以上空洞化が劇的に進展することはなく、経済規模の縮小にあわせ緩やかにオフィス規模が低下していくか、もしくはインフラ整備(新幹線開業)に伴う地域経済の活性化に伴って現状維持していくのではないかと思っています。
まぁ、なにより熊本は支店経済ならぬ「役所経済」ですから、行政の出先機関が多いという側面もあるので一般的なストロー現象とは言い切れない部分もありそうです(余談ですが、今月号のくまもと経済に掲載されている熊本商工会議所の新年交流会の写真に自衛隊の幹部が写っていたのをみて腰を抜かしました)。
ただ、今回の表題でもある「百貨店」は厳しい戦いが繰り広げられるのではないかと思います。
今回の新幹線開業に伴う博多駅ビル整備によってJR博多シティには九州初の出店となる「阪急百貨店」がお目見えします。しかもこれがまたスゴイ内容で、中に入るショップも九州初の物が非常に多いとか。
百貨店での顧客の購買行動を鑑みるに、顕示的消費やブランドでの購入という割合が高く、価格や利便性での勝負になることは少ないと思われます。また、百貨店の場合は商圏が広く、新幹線で30分でいけるなら(しかも駅ビルという新幹線降りたら至近という状況)、こちらで買い物するわという事になる可能性も高いと私は見ています。
勝負は熊本地元の百貨店にどれだけのロイヤリティ(忠誠度)を持った顧客を獲得できているかということですが、これはなんとも言えません。いままでは博多の百貨店に行くにしても片道2時間程度(特急+地下鉄で天神)は掛かっていたため、地元でお買い物という場合が多かったはずです。そのため、地元百貨店の愛好家と錯覚されている顧客も多かったのではないでしょうか。
しかし、今後はどうなっていくか。間違いなく一度は阪急に人が流れるはずです。大都市圏で展開している阪急の品揃えやホスピタリティを知った顧客をどうやって再び地元へ引き戻すか。地元百貨店は大きな節目を迎えていると言わざるを得ません。
地元百貨店の戦略としては「既存顧客とのエンゲージメントを強化する」、「地元密着をアピールし、地元ラブな方へのプレミアムとする」ということでこれまでの百貨店経営から一線を超えた行動が必要でしょう。もっとも顧客へのコミットという面では日本初の百貨店「三越」が越後屋呉服店だった頃の話でもあるので、原点回帰とも言えるかもしれません。
こういった顧客との関係性構築に関して最近話題のTwitterやFacebookを利用するというのは 全く理にかなった行動だと思います。これを機動的に利用するには組織の柔軟性が必要ですが…果たして10億円単位で減収が続く地元百貨店にその余裕があるか否か。中心商店街はこの地元百貨店の存在が前提なので、この前提が壊れたとき…
次回は中心商店街の活性化について考えてみたいと思います。
百貨店戦国時代 塗り替えられる業界地図
著者:川嶋 幸太郎
産経新聞出版(2008-05-20)
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百貨店サバイバル―再編ドミノの先に (日経ビジネス人文庫)
著者:田中 陽
日本経済新聞出版社(2007-12-03)
販売元:Amazon.co.jp
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さて、九州の縦のライン(福岡・熊本・鹿児島)にお住まいの方なら多くの方が関心を持って見ているであろう「九州新幹線全線開業」。3/12開業といよいよあと1ヶ月半まで押し迫ってまいりました。
熊本でも新幹線駅や熊本城下の観光施設など徐々にハード面の整備が進んでいます(まぁ、博多に比べると全く進んでいませんが…)
博多のオフィス需要(pdfが開きます)の推移を見る限り、まだ熊本のオフィス空洞化は始まっておらず、これからの展開に注目といったところでしょうか。 個人的にはオフィスを統廃合するなら半年以上前から展開しておくはずなので、これ以上空洞化が劇的に進展することはなく、経済規模の縮小にあわせ緩やかにオフィス規模が低下していくか、もしくはインフラ整備(新幹線開業)に伴う地域経済の活性化に伴って現状維持していくのではないかと思っています。
まぁ、なにより熊本は支店経済ならぬ「役所経済」ですから、行政の出先機関が多いという側面もあるので一般的なストロー現象とは言い切れない部分もありそうです(余談ですが、今月号のくまもと経済に掲載されている熊本商工会議所の新年交流会の写真に自衛隊の幹部が写っていたのをみて腰を抜かしました)。
ただ、今回の表題でもある「百貨店」は厳しい戦いが繰り広げられるのではないかと思います。
今回の新幹線開業に伴う博多駅ビル整備によってJR博多シティには九州初の出店となる「阪急百貨店」がお目見えします。しかもこれがまたスゴイ内容で、中に入るショップも九州初の物が非常に多いとか。
百貨店での顧客の購買行動を鑑みるに、顕示的消費やブランドでの購入という割合が高く、価格や利便性での勝負になることは少ないと思われます。また、百貨店の場合は商圏が広く、新幹線で30分でいけるなら(しかも駅ビルという新幹線降りたら至近という状況)、こちらで買い物するわという事になる可能性も高いと私は見ています。
勝負は熊本地元の百貨店にどれだけのロイヤリティ(忠誠度)を持った顧客を獲得できているかということですが、これはなんとも言えません。いままでは博多の百貨店に行くにしても片道2時間程度(特急+地下鉄で天神)は掛かっていたため、地元でお買い物という場合が多かったはずです。そのため、地元百貨店の愛好家と錯覚されている顧客も多かったのではないでしょうか。
しかし、今後はどうなっていくか。間違いなく一度は阪急に人が流れるはずです。大都市圏で展開している阪急の品揃えやホスピタリティを知った顧客をどうやって再び地元へ引き戻すか。地元百貨店は大きな節目を迎えていると言わざるを得ません。
地元百貨店の戦略としては「既存顧客とのエンゲージメントを強化する」、「地元密着をアピールし、地元ラブな方へのプレミアムとする」ということでこれまでの百貨店経営から一線を超えた行動が必要でしょう。もっとも顧客へのコミットという面では日本初の百貨店「三越」が越後屋呉服店だった頃の話でもあるので、原点回帰とも言えるかもしれません。
こういった顧客との関係性構築に関して最近話題のTwitterやFacebookを利用するというのは 全く理にかなった行動だと思います。これを機動的に利用するには組織の柔軟性が必要ですが…果たして10億円単位で減収が続く地元百貨店にその余裕があるか否か。中心商店街はこの地元百貨店の存在が前提なので、この前提が壊れたとき…
次回は中心商店街の活性化について考えてみたいと思います。

著者:川嶋 幸太郎
産経新聞出版(2008-05-20)
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著者:田中 陽
日本経済新聞出版社(2007-12-03)
販売元:Amazon.co.jp
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