<炎上と発達障害を関連付ける発信が続いている>
あるタレントさんが、X上で暴言を投稿、それが大炎上する事態になっていますね。
とにかく、言われた方の悲しい気持ちが、すこしでも早く回復することを願います。

さて、このブログでは騒動自体でなく、それを取り巻くSNS上の、特に発達障害にまつわる反応について考えてみたいと思います。

最近、発信やコミュニケーションがきっかけとなる炎上騒動があった時、それを発達障害に関連付ける発信が目立つような気がしています。
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記憶に新しいのは、都知事選の時。
ある候補者の「●●構文」というワードが話題になり、それと発達障害の関連をうかがわせるような発信が増えているということで、法人に取材依頼を頂きました(お断りをさせて頂きましたが)。

今回の件では、あるインフルエンサーのX投稿が大きく取りざたされました。
ここでは紹介しませんが、個人的には、SNS上で個人を名指しし、発達障害であること
の判断を見る人に仰ぐような問いかけをする感覚はうけいれられませんし、これを見て悲しい想いをする沢山の人達を想像してしまいました。

もちろん、この投稿については、ちゃんと訂正情報を追加してくれたり批判したりするユーザーも沢山いて、少しだけホッとしました。

<発達障害とは>
前提として、我が国において発達障害は行政的、法律的に定義された用語で、
発達障害という医学的な診断名はありません。

詳しくは発達障害者支援法に定義されていますが、自閉症やアスペルガー症候群、広汎性発達障害、学習障害などいくつかの疾患をまとめたものを発達障害としています。

https://www.mhlw.go.jp/seisaku/17.html


医学的には診断基準改定が行われ、DSM-V-TR(精神疾患の診断・統計マニュアル)では、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)、限局性学習症(SLD)など様々な疾患の診断基準と診断名が整理され、現在は「神経発達症群」に分類されています。

このように様々な点で医学と行政で定義にずれが生じていますが、「発達障害者支援法」は20年前に制定された法律ですから、致し方ないところはあります。
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<変わってきた障害のとらえ方>

人類の歴史の中で、障害というもののとらえ方は変わってきました。
以前は、障害を個人の問題であるとする「医学モデル」でのとらえ方が主流でしたが、
現代社会では、障害は社会の側が作り出すものとする「社会モデル」と「医学モデル」
の統合的な視点でとらえることが主流です。つまり、障害とは、個人と社会の相互作用の中
に存在するという考え方です。

炎上騒動に対し、渦中の人を発達障害だと言うことは、その障害が問題行動の原因になる
んだと、暗に因果関係にあてはめる、まさに「医学モデル」的な考え方を感じます。

人の行動には様々な社会状況や環境要因が影響していますので、<障害そのもの>をそういう
因果に持ち込むことへの違和感は大切にしたいです。

せっかく発達障害という言葉を知る人は増え、特性の理解や支援もある程度広がったのに、
スラングのような使われ方をしている例を見ると、悲しい気持ちになりますね。
<当事者や家族を傷つける発信に加担しないこと>
発達障害が問題のある行動の原因である、という誤解をうむ発信に、
何の関係もない当事者や家族を無駄に傷つける以外の効能があるのか疑問です。

発達障害に対する自覚的または無自覚な差別(マイクロアグレッション)を増長し、
分断を煽るだけなのではないでしょうか。

こういった風潮は徐々に下火になっていくことを願いますが、、、
少なくとも目にした方は一度立ち止まって、無関係な人を傷つけ、分断を煽るような
発信に加担しないよう、考えて頂けたら嬉しいです。

NPO法人ADDSは、発達特性があってもなくても、生きやすい社会をともに作るため、
寄付で支えて下さるマンスリーサポーター100人計画を始動しています。
いっしょに、よりよい社会を作っていく仲間に、ぜひ加わって下さい。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

-発達⽀援が必要なすべての人が⾃分らしく学び
  希望をもって生きていける社会をともに実現します-
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