合同会社adg-ethics

映画製作者 北田直俊の活動を報告するブログです。

2010年07月

センチメンタルなチ○ポ

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表参道のラットホールギャラリーにてアラーキーの新作写真展を見に行く。
『センチメンタルな旅』シリーズの今回は「春の旅」である。
22年連れ添った愛猫チロの老衰で衰弱しきった姿と日常から死へと
向かい火葬され、骨になるまでを克明に活写した痛々しくも切ない
アラーキー愛人生のホンの一コマの記録・・・。

20年程前に奥さんの陽子さんを亡くされた時は「冬の旅」でした。
偶然ですが僕の亡くなった彼女も陽子であり、彼女の愛猫の名前はチロである。
チロは、彼女が亡くなった後、水戸市の彼女の親友に貰われていった。
しばらくしてボクは全ての親友や知り合いと交流を経ったのでチロともそれきりである・・・。

写真展と同時に約20~30分程の写真だけで構成されたVTR映像も
流されていて、そちらにも何だか懐かしい喪失感に似た、いいようのない寂しさに
包まれたので、改めて孤独という名のエネルギーを実感させられたので
アラーキーの写真群に感謝した。

一番記憶に残ったのは皮肉にも愛猫の骨壺を抱いたアラーキー自身の姿を
写したもので当然シャッターを切ったのはアラーキーではない・・・。
にも拘らず、それも歴としたアラーキー作品に仕上がっているのだから不思議である。

動物であれ、人間であれ本人にとって大切な人を失うということは、
とっても痛いことだ。
だが、死とはそれぞれの生きた証であり、
その死を受け入れないと、大切な存在に対して失礼という事に
気付かされる。理屈でなく、時間をかけて当事者各々が
そこに到着しない限り、心の平安は訪れない・・・。


愛猫の記録に挿入される何の関係もない混沌としたエロ写真や
風景にも心を奪われる。
一見、意味のない感じだが芸術は理屈ではなく感じるものだという
メッセージが至極ストレートに訴えかけてきて感服の一言であった。

僕の中では今回の写真展・映像展は映画であり、その空間も
映画館で御座いました。そして何より僕の次回作の公開形式の
方向性もほぼ固まるアイデアを与えて頂いた。
http://www.ratholegallery.com/

その足で恵比寿の東京都写真美術館にてベトナム戦争の記録映画を
観に行く。『イージーライダー』のカメラマンがベトナムで16ミリムービーカメラを
廻していたことは知っていたが、この歳になって、その作品に出会うなんて・・・。
今回が35年振りの日本初公開らしい。
『ハーツ・アンド・マインズ ベトナム戦争の真実』 112分・1974
ベトナム戦争の悲惨さはアメリカ製娯楽映画を通じて頭では知っていたのだが
改めてボクは戦争の知らない子であったことを認識させられる。
しばらくは謙虚に内省の日々を過ごすことにしよう・・・。
って言うか眠くなったのでここいらでEND
http://syabi.com/contents/exhibition/movie-80.html

雄呂血

香取慎吾主演の『座頭市THELAST』が観たいと思い予告編を観て、
見に行く気が失せた。
阪本順治監督作品だから期待していたが予告編だけでガッカリする。
画造りからして直感でこれはつまらない映画だと思えるからだ。

チャンバラ映画で最高傑作は今から85年も前の大正時代に製作された
当時24歳の坂東妻三郎製作・主演
26歳の寿々喜多呂九平、原作・脚本 
同じく26歳の二川文太郎監督作品75分の大長編『雄呂血』だ。

だいたい人間がいとも簡単にバタバタ死ぬ訳がないし、
刀の刄もすぐにボロボロになって連続殺陣は無理、
シャンプーもドライヤーも歯ブラシもない時代、
着物だって洗濯機もアイロンもないんだから綺麗過ぎると嘘臭い。
言葉はギリギリ現代語でOKだが、治安も秩序もあったもんじゃない。
レイプだって南アフリカみたいに、そこらじゅうで日常茶飯的に起きてたろうし
漫画じゃあるまいし侍の美意識やら刀振り回す型がプンプンと嘘臭い。
だいたい年寄り侍はどれだけ百戦錬磨の戦をズルしてくぐり抜けたことか?
今とは世界観も価値観も愛なんての概念も違ってたはずで
勇気やら希望なんて口にする屁みたいな甘い奴は大人にはなれなかっただろうし、
大半の女はただの穴であり虐げられた儘終わる。
実際の刀は非常に重い。人斬り以蔵じゃないが
本物の侍を演じるにはゲイノージンじゃ無理がある。
まともな神経じゃ人は斬れないのだから、
紙一重でキチガイを醸し出すオーラがないとこれまた嘘臭い。
まぁチャンバラ映画に対しては尽きないし、どうでもいいのだが、
要は阪本順治監督である。

一番好きな作品は監督第2作目の『鉄拳』。
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ボクシング映画とおもいきやSF映画だった。
得体の知れない潔癖愛好右翼結社と社会から
アブれだされた主人公達の拳闘に涙ぐんだ。
映画評論家と称する得体の知れない方々から
大学生の自主映画だとかボロカスにこき下ろされたが、
僕の生涯ではベスト5に入る大好きな映画だ。
『トカレフ』も大好きな映画。それがメジャー映画に進出すると
急につまらない映画作家に陥る。最近では『カメレオン』も
『亡国のイージス』もヘタレになる。

阪本順治だけじゃない優秀な映画作家達は商業ベルトコンベアー映画製作
では本領が発揮出来ていない。昔好きだった『ライブ・イン茅ヶ崎』
『boys&girls』『の・ようなもの』『家族ゲーム』『ときめきに死す』
と連打で傑作を世に送り込んだ森田芳光監督だってメジャー大資本製作から
急にヘナチョコになってしまった。
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若松孝二監督も一時メジャー進出してつまらない職業映画を連作してたが
数年前のガン手術以降、原点でもある低予算少人数精鋭部隊による
独立映画に戻り『十七歳の風景』『キャタピラ』と傑作を造り出している。
後世に残る傑作とは民主主義映画製作の元では不可能に近いのではないか?。
映画に限っては独裁者による恐怖政治ならぬ他人の意見聞かないすき放題
やり放題主義の方が上手くいく法則でもあるのだろうか?
塚本晋也監督も最近作はつまらんの~。
僕を育ててくれた世界中の低予算独立映画に敬意を表す為、
例えロト6で2億円儲かろうが低予算ゲリラ戦を貫く。
映画のテロリスト、レジスタンで上等です、構いません。

三つの汚れた毛


           7月4日
 朝からワンコ二人にワクチン摂取させる為、行きつけの動物病院に
   向かうが途中、道端で小さくうずくまっている物体を発見。
    車を停め近付くとびしょびしょに濡れたミケ猫だった。
   一瞬で老猫だと分かるほど貧相で衰弱しきっている。
 この儘だと確実に変態野郎が運転する車に撥ねられるだろうから
        歩道まで持っていく。
   目のまわりも目やにでぐちゃぐちゃで歯も一本もない。
    どうやら昨夜の大雨で全身を濡らしたらしい。
 体中にノミのウンコがへばり付いているので野良猫の可能性大だが、
 やたら人懐っこいから捨てられたか迷い猫か? このまま放置しても
 餓死か事故死しか考えられないので毛布に包まり病院に連れて行く。

       やれやれ、また病人が増える。

   迷い猫なら、まぁこちらも迷い人間だから一緒か。
    とりあえず病院で3、4日様子を観てもらう。

 よく昔から何度か倒れた動物を保護したが、それを人に話すと必ず
 『優しい人だね』としみじみ語られるが、僕はその言葉に怒りさえ
           覚える。
 こちらの生活状況に関係なく弱りきった側を助けるのは当たり前の
 ことであり、普段blogなどで批判ぶった記事を書いたりエセ評論家
 気取りの奴に限って理屈捏ねくりまわして肝心な時に何もしない。
 だから僕は言葉を全く完全に信用してないのだ。だいたい即答で
 理論的にまくし立てる奴ほど信用しない方がよいだろう。あらゆる
    問題に即答はない!必要なのは決断だけだ。
        おいっと、また話が脱線。
 そろそろ生命保険に入って僕が死んだら、この子達の面倒をみて
 もらう遺言でも書いた方がよさそうだな。遺言を依託できそうな
 信用できる人間いたかな? 向上心を棄てる努力を怠らず無垢を
           常に意識している奴を。

うん何人かいたなぁ・・・
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宮沢仙吉

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6月30日pm15:00大塚にて
長野県・善光寺在住の『朝子』の旦那役の仙吉先生がなぜか
上京してきたので、数年振りに呑む。折角、一ヶ月前から
断酒しているのに、生中2杯だけ口にする。
昔の噺家の様に口達者な宮沢節に振り回され1時間で
退散するつもりが4時間も居酒屋に居座ってしまった。
その儘一人で飲み続けるみたいなので、僕一人
店を後に原チャリ飲酒運転で帰宅した。
そうそう飲まないつもりで、ワザとバイクで行ったのに・・・。
魅力的な旨い役者さんだ。
いつかまた一緒に組むことがあるのだろうか?
監督と役者というより、ただの飲みトモダチに成下がってしまった。
残念・・・。

まァ北田組というくだらないファミリーのようなサークルノリ的な
安易な落とし穴に陥らない為にも仕方ない。

同じ仲間、同じ環境、同じ発想、同じフォーマット、同じ題材を
やっても意味が無いしやりがいも無い。
一貫して同じ姿勢同じ哲学を死守する方を優先したい。

お互い85過ぎても生きてたら『映画監督』というタイトルの
映画の主役を宮沢先生にお願いするつもり。
ロリコンエロ爺さん監督の芸術探求ロードムービーだ。

そやけど本当、数年前から人と会うのが億劫になってしもたぁ。
(何でココだけバリ関西弁やねん!)





7月1日
また黒い方とショッピング。
疲れて直ぐに寝てしまいましたわ・・・。
7月1日と言えば映画『イヌ』で主演を演じたクロの
誕生日。16年前の今日だったなァとしみじみ・・・。
彼が死んで5年かぁ・・・。

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