取り敢えず『朝子』『デモーニッシュ』の巡業公開が終わった。
最終日の1月31日は恋人・陽子ちゃんの7回目の命日だ。
僕が34歳、彼女が32の時に死んだ。
陽子がおかしくなり久しく、色んな友人などに助けを求めていた。
皆な薬の話しと自殺の話しとうつ病の話しかしない陽子を
遠ざけ、疲れ果てていた僕にも或る人は言った。
『北田君、あなたは優し過ぎるのよ。』
その10時間後に死んでしまった。
お通夜で皆さんは口々に言った。
自殺だけは良くない。
俺は、あなた達みたいに決め付けることが一番良くないと思った。
出棺前に棺の陽子をずっと眺めていた。
自然に顔を近付けた時、誰かが
『まさか分かれのキスをするつもり?』と冗談を言った。
最後のお別れのキスは出来なかった。
陽子の遺品の整理をしている時、彼女のパンティに射精した。
大切な彼女を失うとは、そういうことだろ。
きれいごとでかたづけるなら人間は存在しないはず。
僕は今、41歳になった。
陽子ともうすぐ10歳も歳が離れてしまう。
一番泣いたのは遺書の父母宛に僕に責任はなく責めないで
という一節だった。
最後の最後まで気を遣う子であった。
皆なウソの塊だから生きていけるのだろう。
そうそう、その言葉もウソだからあなたは生きている。
そう感じるようになった。
だから僕も生きている。
この世の99.9%はウソで成り立っている。
真実とは、巡回公開終わって借金だらけで仕事探しも
困難で警備員の日払いのバイトに面接に行き
4日間の研修の初日にやっぱり俺、合わないわと退場
したこくらいだろう。又は、
『マッドマックス2』のメル・ギブソンが演じたように
捨て犬2匹と仲良くスプーンで激安ドッグフードを
分かち合ったことぐらいだろう。あとは、
知り合いの紹介で日払いの荷下ろしの深夜仕事で
予定より早く終わり渋谷駅で最終列車にも間に合わず
野宿するにも寒すぎて、近くに居たホームレスに
ダンボールを貸してくれと頼んでも断られ、
ムカつくから屋根部分のダンボールを
『余ってるやんけ!』と恫喝して勝手に持ち去り
東横沿いのゴミ集積所で仮眠したことぐらいだろう。
世間のカス・ウソ野郎映画監督どもメ!
映画を撮るとはこういうことだ。
政治も映画も同じだ!
ウソデタラメ一般善良小市民の信頼を得て
私服を肥やしても意味ないだろう?
別に僕の映画が正しいとは言わないが
現世の一瞬を獲得しても何も面白くないと
心底、思わないのか?
『人を感動させたいから』などの動機で映画監督で
メシ食っているなら、そんな下世話でペテン師は居ない。
そんなのウソでしょ?
役者や全ての表現者にも言えるが・・・。
芸術って、その正しく逆でしょ。