金融・商事判例1326号からです。
弁護士の十市祟氏が、レックス事件の批判を書いてます。この方は、カネボウ側の代理人である、赤川圭らと同じアンダーソン毛利友常の弁護士ですね。
バックグラウンドとしては、ファンド寄りのスタンスの方と言って良いでしょう。なお、アドバンテッジは、カネボウ事件にも関与しています。
凄いのは、太田洋の作文を商事法務を中心に七箇所も注記していることです。
例えば、六ヶ月平均を使ったことについて、「М&A案件に対する配慮が足りず、粗っぽい判断と批判されてもやむを得ない側面があるように思われる。」
としてますが、配慮すべき理由などは全く書いてません。そもそもレックスは1ヵ月平均を使っているわけであり、1ヵ月平均なら粗っぽくなくて、6ヵ月平均は粗っぽいとというなら、それなりの根拠が必要だと思うのですが、結局その根拠は(注47)しかなく、これは、商事法務の太田作文のようです。理由付け不十分ですね。
そういえば、小学生のころ、意見を聞かれた生徒が、「○○ちゃんと同じです」と答えたところ、先生に、「ちゃんと自分の意見を言いなさい」と注意されていました。

そして、三ページ右段では、「独立当事者性が認められるために(中略)、取締役が、どの程度の利益相反性の回避又は軽減措置を講じ、МBOが透明性及び合理性を有することを立証すべきかについては、(中略)これを一般化することは困難であると思われる。」
とした上で、6頁左段では、「独立当事者性を認定する基準が明確でない現状においては、当事者に予測可能性を持たせるため、より客観的な基準によることが望ましいと考える。」
としています。これは、自分で黒く塗っておいて、「黒いじゃないか」と言っているようにしか見えません。
例えば、イギリスのように、「過去一年の最高値を下回れない」とするのが一つの落とし所だと思いますが、このような提案には、どうせ反対されるわけですよね?

また、6ヵ月平均を採り得ない理由として、
「近接した時期におけるMBOが、公表前3ヶ月から6ヵ月の間の市場価格を基準として、買付価格としていること」は、「6ヵ月間の平均株価とする積極的な理由とはならないと思われる」としています。(五頁右段)その理由も、やはり、(注45)の商事法務太田作文のようです。
他のМBOが6ヵ月平均で行われており、市場価格の6ヵ月平均とすることは、十分に「客観的」で、「予測可能性」があると思うのですが、このあたりは、錯乱しているといわざるを得ません。
なお、十市弁護士の主張は、「1ヵ月平均によるべき」というものですが、1ヵ月平均を採用したМBOの事例は、レックスの他は、ポッカ位しかなく(ポッカもアドバンテッジ・パートナーズ)、しかも、ポッカは、純資産額すら下回る事例であったことを考えると、ご主張の「1ヵ月平均」の方がよほど「客観性」及び「予測可能性」に欠けるのではないでしょうか。

このような混乱した文章を、準備書面ならともかく、雑誌に投稿する勇気には敬服致します。