2月18日午後一時十分、東京地裁民事15部(阿部潤裁判長、631法廷)でレックス損害賠償事件の判決がありました。請求棄却です。原告(113名ほど)の多数は控訴するようです。
判決文はこちら 
http://www.asahi-net.or.jp/~ty6m-ymgc/rex 
 判決は一般論として
 「企業価値の向上を通じて株主の共同利益を図ることが一般的な目的となるから、株式会社の取締役は上記義務の一環として、株主の共同利益に配慮する義務を負っているというべきである(37頁)。」
 とし、「MBOが、取締役の株主の共同利益に配慮する義務に違反するかどうかは当該MBOが企業価値の向上を目的としたものであったこと及び当時の法令に違反するものではないことはもとより、当該MBOの交渉における当該取締役の果たした役割の程度、利益相反の有無又はその程度、その利益相反を回避するあるいは解消するためにどのような措置がとられているかなどを総合的に判断するのが相当である(38頁)。」
 としました。しかし、
 価格交渉義務があるといえるかは疑問がある(43頁)としています。
 また、
 プレスリリースの表現については、
 「公開買付けに応じざるを得ないと受け取る者も出かねないような表現が用いられていることは事実である(40頁)。(中略)その表現方法になお工夫の余地があるとはいえ、本件賛同表明に上記のような記載をしたことが、直ちに取締役としての株主共同の利益に配慮する義務に違反するものとはいえないというべきである(41頁)。」としています。
 
 しかし、第一に、価格交渉義務があるといえるかは疑問があるという点はどうなのでしょう。レブロン義務が認められないというのはいかがなものでしょうか。
 この点は地裁では争点になっていませんが、本件では、アドバンテッジ以外からは見積もりを取っておりません。こういう場合は、相見積もりをとるのが普通ではないのでしょうか。

 また、6ヶ月平均を下回る事例はまれで、第三者評価機関のアビームも、「積極的に妥当であるとする水準に至らない(43条)」としていたのに、株主に対して単に価格を含めた条件に賛同する意見を表明するのはいかがなものでしょうか。

 さらに、第三者の評価自体、新経営計画4.5年のうち、後半の2年は信用できないとレックス側が主張したとして、2.5年のみで評価しています。4.5年使うと24万円、2.5年で19万円ですが、後半の2年は信用できないという点については、銀行にも同じことを言ったのでしょうか?そもそも、作り直したばかりの新経営計画が信用できないと自ら言うということ自体、異常です。評価価格を引き下げるためにやったとしか思えません。

 また、開示の面で特に問題なのが、「上場廃止となった場合、旧レックのスの株式はジャスダックにおいて取引ができなくなり、これを将来売却することが困難になることが予想される」との記述です。
 というのは、実際は上場廃止の数日後には株式は全部取得されているのであり、売却するとかしないとかはそもそも議論の対象になっていないからです。しかし、「売却することが困難」言われれば、あたかも、株式が塩漬けになって売るに売れなくなる、と思うのが普通ではないでしょうか?
 「消防署の方から来ました」という詐欺師の口上となんら変わらないですね。