サンテック株式216,000株を保有する株主2名が、同社に対して、以下の株主提案をが行った模様です。

1 株主提案の内容(議案の要領)

(1) 第64期利益処分案承認の件
第64期の利益処分案として、1株につき20円の配当を行う。

(2) 自己株式消却及びそれに伴うその他の剰余金の処分の件
保有する自己株式のうち、200万株を消却する。これに伴い、別途積立金を1,000百万円減少させ、繰越利益剰余金を1,000百万円増加させるその他の剰余金の処分を行う。

(3) 取締役2名解任の件
取締役八幡欣也及び取締役八幡信孝を解任する。

(4) 定款一部変更の件(取締役社長の世襲に関する情報の開示義務)
「取締役会が、過去2代に翻って取締役社長を務めた人物の2親等内の親族を取締役社長に選任する場合には、世襲の潜在的批判があるにも拘らず、特にその人物が取締役社長に最適であると判断した理由を株主に開示しなければならない。」という条項を、定款に規定する。

(5) 定款一部変更の件(株主提案権行使の適時開示義務)
「株主総会に向けて株主提案権が行使された場合は、行使されてから1週間以内に株主提案権行使の事実を株主に開示しなければならない。」という条項を、定款に規定する。

(6) 定款一部変更の件(白票を会社側提案については賛成、株主提案については反対とすることの禁止)
「株主総会の議決権行使書面において賛成とも反対とも記載されていない白票については、会社側提案と株主提案で不公平な取り扱いをしてはならない。」という条項を、定款に規定する。



2 提案理由

議案(1)について

当社は、長年に渡り(第53期以降)1株当りの配当額を毎年10円に据え置き続けてきました。第60期・第61期には、各々12円・13円に増配したものの、そのうちの各々2円・3円分は特別配当・記念配当の扱いで、第62期には再度10円に減配しています。普通配当を10円にする事に拘っているとしか思えませんが、この10円という配当金額には、合理的な根拠は皆無であり、「安定配当」の名の下に、長年続けているから、という理由だけでこの配当金額が継続されてきたものと言えます。実際に、株主総会の場でも、あるいは前期までの株主総会参考書類に記載された株主提案に対する取締役会の反対意見に於いても、ただの一度も10円配当に拘泥する定量的な理由が説明された事はありません。
一方、当社の連結ベース(以下、数値は全て連結ベースです。)の1株当り株主資本(評価・換算差額等を含む、以下同じ)は、第64期(平成23年3月期)第3四半期末時点で1,319.58円あるのに対して、市場に於ける株価はこの水準の約1/4という驚くべき低水準にあります。
1株当りの株主資本は、会社の「解散価値」と言えるものです。最悪期は脱したとは言え長引く株式市場の低迷により、1株当りの株主資本を株価が下回っている企業自体は多数あるものの、株価がこの水準の約1/4程度まで低迷している当社のようなケースは、信用不安のある企業、バランスシートに多額の含み損を抱えていると思われる企業(一部の不動産関連企業など)を除けば稀であり、極めて異常な状態です。
当社が、バランスシートに含み損を抱えていたり信用不安がある訳でもないのに、このような異常な低株価に喘いでいる原因としては、当社が、株主から運用を付託された株主資本を有効に活用し、期待される利益を計上する事が出来ていない状態が長年に渡り続いているにもかかわらず、経営陣にこの状態を改善する意思と能力が無いことを市場が察知しているためであると思われます。
一般的な前提に基づき当社の株主資本コストを試算すると、約6%程度であると思われます。3年前の第61回定時株主総会において、当社社長も同内容の答弁を行っています。株主資本コストとは、会社が株主資本を最低この利回りで運用しないと、株主資本の拠出者である株主が損害を被っている、と看做される利回りと言えます。長年に渡り、当社の当期利益の水準は、この株主資本コストを満たす水準(17.5億円程度)を大きく下回り続けており、第64期(平成23年3月期)の会社予想においても同様です。これは、株主資本が過剰であることが原因です。
一方、当社は、第64期(平成23年3月期)第3四半期末時点において、現預金だけでも112億81百万円保有しています。現預金に有価証券9億99百万円、投資有価証券31億45百万円を加えた広義の現金等価物は154億25百万円にも上り、これは株主資本の約55%に相当します。これに加えて、本業とは無関係な投資用の不動産も36億73百万円保有しています。それに対して有利子負債は、短期借入金が3億64百万円存在するのみであり、極めて安定的な財務状況にあると言えます。また、配当原資である利益剰余金も、258億68百万円と膨大です。
当社の業態は、多額の設備投資を必要としない電気工事業であり、現金性の資産を過剰に保有する必然性は極めて低いものと考えられます。
当社取締役会は、第60期の株主提案に対する反対意見の中で、「設備工事業界は(略)工事施工に際して瑕疵担保責任も有しており(略)自己資本の厚さや不測の出費をまかなうだけの手許資金の余裕が極めて重要」であることを増配に反対する理由の1つにあげていますが、単体ベースの完成工事補償引当金は僅か2,100万円に過ぎません(単体ベースの最新のデータである平成22年3月末時点)。広義の現金等価物を154億円も溜め込みながら増配を拒む理由としては、あまりにも荒唐無稽です。しかも、手許に保持すべき資金の具体的な金額についての説明は、株主総会において何度説明を求めても、全くなされていません。また、手元資金の余裕が重要だと言いながら、直ぐには現金化できない投資不動産に多額の投資を行っているのも、矛盾していますし、わざわざ手数料を払って57億円ものコミットメントライン契約を毎年更新し続けている(最新更新日平成23年2月22日)意味がありません。
とは言え、我々提案者は、一部のいわゆる「ハゲタカファンド」のように、保有する現預金を全て株主に還元すべきである、などという極端な主張をするつもりは毛頭ありません。
当社の第64期(平成23年3月期)第3四半期末時点に於ける自己株式を除いた発行済株式数は2,142万3,000株ですから、1株当り20円の配当を行っても、配当金総額は僅か4億2,846万円に過ぎません。当社が第64期(平成23年3月期)第3四半期末時点で保有する現預金だけでも、この26倍強ありますし、同じく広義の現金等価物は、この36倍あります。利益剰余金は、この60倍強あります。1株当り20円の配当を行っても当社の財務状況には何らの問題も生じ得ないことは明らかですし、この配当金額は、毎年継続して配当可能な金額であることも明らかです。
株主資本配当率という指標が近年大きな注目を集めており、大手企業などを中心に、株主資本配当率に基づき、配当金額の下限を定める企業が増えてきています。
これは、株主から運用を付託された株主資本に対して、最低でも、ある一定の利回りで配当を行う、という考え方です。会社が高成長の段階にあり、資金需要が豊富な企業には、この考え方は必ずしも最適とは言えませんが、当社は、売上も安定的であり、そのような企業に分類されるとは考えられません。業績の高成長を望めない企業は、株主資本配当率で最低の配当金額を決めるのが妥当だと思われます。
1株あたり20円の配当は、株主資本配当率僅か1.49%の水準に過ぎません。株主は、株価下落リスクを引き受けて投資を行っている訳であり、少なくともリスクの無い国債・社債等の利回りよりも高い株主資本配当率があって然るべきです。会社側の配当予想の10円では、株主資本配当率は僅か0.74%に過ぎず、あまりにも低過ぎます。
なお、従来、株主総会に於いて、社長の八幡氏は、配当金額を上げない理由として、「当期利益を上回る配当はしない主義だ」という趣旨の事を繰り返し述べていましたが、我々提案者は、上述の理由から、この考え方自体が、当社の様に、既に成長段階にはなく、過剰に株主資本を貯め込んでいる上場企業には適切では無いと考えております。また、現実には、1株当たり当期利益が1.60円だった第61期に13円の配当を行い、同じく15.07円だった第62期に10円の配当しか行わないなど、会社自身がこの意味不明な「当期利益ルール」に縛られていない事は明らかです。
また、取締役会が、当株主提案に対する反対理由として、以前リーマンショックを口実にした様に、今回の東北大震災を引き合いに出してくる可能性があるので、事前に釘を差しておくと、前述の様に、当社は多額の設備投資を必要としない電気工事業です。実際、第64期(平成23年3月期)第3四半期末時点に於ける土地を除く固定資産の残高は17億59百万円に過ぎず、前述した当社の株主資本、現預金等に比べ僅かな金額に過ぎません。これらの設備は一箇所に集中して所在する訳でもなく、当社にとって大震災のリスクは僅少です。実際に、当社の株価は、震災前の3月9日終値が287円だったのに対して、復興需要期待もあってか、4月26日時点では334円と上昇しているくらいです。これらの事実からは、大震災リスクは僅かな金額の増配を拒む事由には成り得ません。
以上の理由から、1株当たり20円の配当を提案いたします。

議案(2)について

当社は、第64期(平成23年3月期)第3四半期末時点において、発行済株式の10.0%に相当する238万2000株の自己株式を所有しています。当社は、「第64期利益処分案承認の件」(株主提案)の提案理由で詳細に説明したように、財務状況は磐石であり、過大な現預金、現金等価物を保有しています。また、当社の業態は、多額の設備投資を必要としない電気工事業です。従って、株式市場から資金を調達する必要性は、予見できる将来において極めて乏しいと思われます。
自己株式を保有していると、取締役会の決議だけで自己株式を処分される恐れがあります。現状のように、当社の株価が1株当り株主資本を大きく下回る状況下で、時価で自己株式を処分されると、割当先がどこであれ、処分方法が公募であれ第三者割当であれ、1株当り株主資本が減少し、また1株当り利益が希薄化し、株主共通の利益が大きく毀損されます。
当社取締役会は、第62期の株主提案に対する反対理由の中で、「現行法上自己株式の処分は、会社成立後の株式の発行と基本的に同様の規制に服しており、仮に自己株式を消却しても、自己株式の処分と基本的に同じ手続を通じて、株式を発行することができる」から、自己株式の消却をしても意味がないと主張していますが、では、何故多くの企業が自己株式の消却を発表すると市場に好感され、株価が大幅に上昇するのでしょうか?我々提案者は、自己株式を消却する行為を、株式の希薄化を防ごうとする会社側のコミットメントと市場が受け止めるので、このような現象が起きるのだと理解しています。確かに、自己株式の処分も新株の発行も取締役会決議で可能ではありますが、新株発行の方が自己株式の処分に比べてより「大義名分」を求められ、実行のハードルが高い、というコンセンサスがある訳であり、自己株式を消却する事に実際上意義がある事は明らかです。
また、自己株式の処分と基本的に同じ手続を通じて株式を発行出来るのであれば、何故、会社側は自己株式の消却に反対するのでしょうか?万が一、どうしてもエクイティ・ファイナンスを行わなければいけないような危機的な状況が生じた場合は、それこそ新株発行をすればいいのであり、発行済株式の1割もの大量の自己株式を所有し続け、消却に反対する論理的な理由は皆無です。
会社側は、M&Aに必要であるといった反論をするかもしれませんが、M&Aを行う際には過大に保有している現預金・有価証券を用いればよいのであり、自己株式を用いる必然性は全くありません。現実的に使い道がない自己株式を消却し、将来的な株式価値の希薄化の可能性を減らすことは、既存株主全ての利益に適うことであり、238万株余の自己株式のうち、200万株の消却を提案いたします。
なお、自己株式の消却に伴い、会計上、繰越利益剰余金が減少することになります。第64期(平成23年3月期)第3四半期末時点で自己株式の帳簿上の価格は9億49百万円ですので、必要な会計上の手当てとして、245億円ある別途積立金を10億円減少させ、繰越利益剰余金を10億円増加させる、その他の剰余金の処分を行うことを併せて提案いたします。

三号議案以下の理由は省略。