埼玉県在住の女性が病院経営団体と実の兄夫婦に対して、2200万円の支払いを求める訴えを提起した(東京地裁平成26年ワ25447号)。
治療中の母親に対し、酸素マスクすらつけず、死に至らせたことなどが理由。訴状によると、経過は次のとおり。

平成19年6月18日に脳梗塞により病院に入院した。その後快方に向かいリハビリを始めた
8月15日、兄が点滴の流入速度を速めたところ、同日17時に母親は嘔吐した。
8月20日、医療記録によると「(兄)は、延命に繋がる治療を全て拒否。現在点滴で維持しているのも好ましく思っていないようである。」とあり、その結果、被告法人は、点滴及び酸素治療も中止した。
9月3日、母親の呼吸状態が悪化したが、兄と兄嫁は酸素吸入すら断った。
9月7日、呼吸状態がさらに悪化。I医師は、「今酸素をすればまだ生きられる」と酸素吸入を勧めたが、兄嫁は独断で「酸素はやらない」と断った。
9月8日、痰をのどに絡めた際、ナースコールのブザ ーを握っていた兄はすぐにブザーを押さなかった。
喉に痰が詰まってからブザーを押した結果、看護師の吸引が間に合わず死亡した。

兄は、「母親の介護は地獄だ、年に不足はない。親が先に死ぬのはよい」と発言しており、
また、死の前日には葬祭会社と契約をしていたことから、不作為の殺人とすら思える。
親の介護は誰の責任なのか、また、終末医療はいかにあるべきかを考えさせられる事件である。
意識回復の見込みもないのに長期間高額の医療を続けることにどれだけ意味があるのかという意見もあるが、
本件のように、意識があるうちから延命につながる治療はしないとすることが妥当なのか、疑問なしとしない。
裁判所の判断が注目される。

第一回口頭弁論は、11月20日午後1時10分、610法廷で行われる。