ついに、というか、最高裁で、全部取得に対する価格決定に対して、事実上審理をしないというような内容の決定がでました。平成28年許4号ないし20号です。
  この事件は地裁・高裁が日経平均の値上がり分の加算を認めていたのに対して、これをひっくり返して自判したものです。まあ、日経平均の値上がり分の加算については、「では下がったら引くのか」という話になりますので、これを否定したこと自体はそれほど悪いとは思いません。しかし、理由中の判断で「価格決定では手続きしか審理しない」と言っているようにも読める部分があります。
  そもそも企業側の全部取得が認められるのは、価格決定の申し立てという手続きにより少数株主にも一定の保護が与えられているのが前提のはず。そうすると、この決定を前提にするならば、全部取得自体ができるか、という問題は生じるかと思います。
  また、手続きについては一応審査するかのように読めることから、あまりにふざけている場合は、審査が行われることもあるのでしょう。しかし、事実上門前払いを認めているようにも読めます。
  背景には、価格決定の申し立てが増えすぎて裁判所の負担になっていることもあるように思われます。裁判所は、正義よりも自らの都合を優先したということです。もっともこれについては、まともな価格決定の判例が積み重なることにより、申し立て自体を減らすという道もあったはずで、申し立てが増えたのは、裁判所自身が企業側に甘すぎる決定を繰り返してきたからともいえます。
  裁判所は要するに、「殺人事件が増えすぎたので、今後は被害届を受理しない」と宣言したわけです。これにより殺人事件は大幅に増加することになりますね。最高裁判所の正義感には涙がでるほど感動します。
  感動ついでに、この決定を書いた裁判官のうち、大谷直人、小池裕の2名は、次回の衆議院議員選挙の際、国民審査の対象となることを付記しておきます。

多数株主が株式会社の株式等の公開買付けを行い,その後に当該株式会社の株式を全部取得条項付種類株式とし,当該株式会社が同株式の全部を取得する取引において,独立した第三者委員会や専門家の意見を聴くなど多数株主等と少数株主との間の利益相反関係の存在により意思決定過程が恣意的になることを排除するための措置が講じられ,公開買付けに応募しなかった株主の保有する上記株式も公開買付けに係る買付け等の価格と同額で取得する旨が明示されているなど一般に公正と認められる手続により上記公開買付けが行われ,その後に当該株式会社が上記買付け等の価格と同額で全部取得条項付種類株式を取得した場合には,上記取引の基礎となった事情に予期しない変動が生じたと認めるに足りる特段の事情がない限り,裁判所は,上記株式の取得価格を上記公開買付けにおける買付け等の価格と同額とするのが相当である。