企業が株主総会でお土産を配る理由


日経などが、株主総会でお土産を配る企業が減ってきていると報道しています。しかし、相変わらず7割程度の企業が株主総会でお土産を配るようです。
お土産廃止の理由としては、出席者が多くなりすぎた、出席できない株主との公平、一部の株主の目に余る行為などが挙げられます。
では、そもそもなぜお土産を配るのでしょう?
一般的には、株主の出席を促すためとか、電車賃かけてきてくれたお礼とか言われています。しかし、これは建前ではないかと思います。
というのは、未だに三割を超える 725 社もの企業が、集中日 ( 今年の場合6月 28 日 ) に株主総会を開催します。また、集中日でないにしても、その付近の4日間つまり、6月 22 日、 26 日、 27 日、に開催する企業まで入れると8割を超えます。数からいうと一番多いのは、「集中日又は特定日に開催し、かつお土産を配る」企業が一番多いのです。しかも開催の時間帯は決まって午前中で、 10 時開催がほとんどです。
本当に株主に来てほしいのなら、集中日や特定日を避け、あるいは午後開催にすればよいのですが、こういう企業は稀です。
お土産を配ると、企業経営にあまり興味のない株主が軽い気持ちで参加します。こういう方がする質問は、企業にとって痛くもかゆくもないものが含まれます。端的な例を挙げると、「お土産をもっとよこせ」というものです。すべての出席者が満足するお土産などありえませんし、お土産を配る義務はありませんから、「そういわれましても」としか答えられません。最後は、「貴重なご意見」でおわりです。そして、ピントはずれの質問が続けば、会場は「早く終わってくれ」という雰囲気が漂い始めます。しかも、 12 時はお昼ご飯の時間です。そうすると、ピントはずれな質問を沢山受けた上で、 11 時半ころに「審議を尽くしたと思いますので、そろそろ議案の裁決を」などと言えば、しょうもない質問にうんざりしていた会場からは、万雷の拍手が沸き起こります。こうやって企業側は厳しい質問者の追及から免れることができるのです。
一方、企業側は、 ( 一般的に ) 鋭い質問をする株主には来てほしくありません。だからどうするかというと、集中日か特定日のそれも午前中の同じ時間に開催するのです。鋭い質問ができる人は限られていますから、こうすれば出席の可能性をかなり低減させることができます。
このように、集中日又は特定日に開催する一方で、お土産を配るという一見矛盾した行動は、「鋭い質問をする株主を排除する一方で、ピントはずれの質問をする株主の出席を促す」という、企業にとっての最適解をもたらすための行動なのです。
まあ、ここに述べたのは一応、「多数企業の行動」についてであり、個別企業の中にはそうでない企業もたくさんあるということは指摘おきますね。集中日・特定日を避けてお土産も配っているのに出席者が 30 人にも満たず、誰も発言しない寂しい総会もあります。また、いちごのように、日曜日に開催して、むしろ厳しい質問を歓迎している会社もあります。ここは、昨年の総会で、「配当について株主提案できない定款は株主軽視ではないか」と質問され、今年この定款を修正しました。ワタミは、株主総会を「お客様相談室」的な位置づけにしており、「テーブルに醤油がなかった」といった、ぶっとんだ質問をむしろ歓迎しているように感じられます。そのこと自体には異論もあるでしょうが、創業者の渡辺さんの考えを反映した総会ですね。

参考平成 30 年3月期決算企業の動向
  28 日 ( 集中日 )  725社  30.96%
  27 日       437 社  18.66%
  26 日      361社  15.41%
  22 日       359 社   15.33%
      合計  1882 社  80.36 %