光製作所のスクイズアウトに関して、価格が安すぎると複数の株主が価格決定の申立てをしていますが、その中で、申立て要件に争いがある当事者もいるようです。
平成31年ヒ123号

株式併合については、会社側の指定する証券会社等に移管することが要件となっています。これに関して、
S証券で1000株、むさし証券で1000株、GMOクリック証券で200株を以前から保有していた株主がむさし証券とGMOクリック証券に移管手続きを依頼すると、「できない」といわれるなどしたため、やむなく総会後にS証券で1200株を購入し、2200株について移管手続き、買取請求をしたという事件。

光製作所の代理人は森濱田の大石篤史ら。ちなみにこの人、レックス事件の代理人で、MBO指針の作成にも関与した人物。
光製作所の主張「会社法182条の4には、『自己の有する株式のうち、一株に満たない端数となるものの全部』の買取を請求できるとあり、3600株全部について、一括して、買取請求をしなければならない」

申立人の反論「株主総会後に購入した分については、申立適格がないから、申立適格がある2200株全部について買取請求をしている」

光製作所の反論1 「最高裁決定平成29年8月30日マツヤ株式買取価格決定申立事件は、公告後の株主の価格決定申立を否定しているが、解説において、『特段の事情がない限り』とされており、認められる場合もある。特段の事情の有無は価格決定の裁判で判明するものであるから、一義的に所有する全株式について買取請求をしなければならない。このように解すると、申立要件を満たさないため端株になる株式と、買取請求の対象となる株式が生じて複雑化するがそれはやむをえない。」

光製作所の反論2 「むさし証券やGMOクリック証券で保有していた1200株とS証券で株主総会後に1200株とでは、別個の株式というべきであり、同一性がない。」


そもそも、会社の指定する証券会社に移管しろという法令自体が単なる株主に対する嫌がらせに過ぎないと思いますが、証券会社がこれに協力しない場合に、申立適格を否定するというのはどうなのでしょう。
もちろん、証券会社に対して損害賠償を請求することはできると思いますが、それで解決する問題ではないでしょう。
株主総会後に取得した株式には買い取請求は認められないのですが、「解説」に例外的に認められる場合があるとあることを根拠に、「認められることもあるのだから、全株買取請求すべきだ」というのも変な主張ですね。
光製作所側が認めているように、光製作所のような解釈をすると、以前より株式を保有する株主が総会後に買い増しをした場合、常に複数の手続きが並列することになり、かえって複雑化を防ごうとした法の趣旨に反するように思います。
そもそも買い取り請求にあたっては、株数の記載が求められるのですから、「全部について」と立法したこと自体が大問題です。全部についてしか買取請求ができないのであれば、株数の記載は不要と解すべきでしょう。

というわけで、
1 証券会社には損害賠償を請求できるはず。
2 光製作所の主張はおかしい
というのは多分に感じるのですが、そもそも論として立法としてかなりおかしいように思います。
株主への嫌がらせをすることばかり考えて複雑化したために整合が取れていないと感じます。