11123堀江メスイキ訴訟判決文要旨
https://youtu.be/AWiZL9ei45k

令和3年ワ16859 31乙
 原告 堀江貴文 代理人 福永活也
 被告 ソニービズ蝓‖緲人 湊総合 沖陽介外2

 https://twitter.com/sakase_k/status/1312903997712289798
2020/10/05/08:54
ホリエモンが来店した時の正しい対処法
「野菜突っ込んでメスイキさせる」

 https://twitter.com/100days_RRET/status/1313938012640735232
2020/10/08/05:23
堀江貴文とかいうゴミ人間
さっさとメスイキして死ねよ

令和3年11月9日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官 鈴木徹
令和3年(ワ)第16859号 発信者開示請求事件
判決
北海道  
原告        堀江 貴文
同訴訟代理人弁護士 福永 活也
東京都渋谷区道玄坂1丁目12番1号
被告 ソニービズネットワーク株式会社
同代表者代表取締役   小笠原 康貴
同訴訟代理人弁護士     湊 信明
同           野村 奈津子
同             沖 陽介

主文
1 被告は、原告に対し、別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。
1 訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
.請求
 主文同旨
.事案の概要
 本件は、インターネット上の短文投稿サイトであるツイッターに対する別紙投稿記事目録記載の投稿(以下、同目録記載1の投稿を「本件投稿1」、同目録記載2の投稿を「本件投稿2」といい、これらを併せて「本件各投稿」という。)によって名誉感情を侵害されたと主張する原告が、いわゆる経由プロイバイダである被告に対し、特定電気通信役務提供者の賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づき、本件各投稿に利用されたアカウントへのログイン時のIPアドレスに係る別紙発信者情報目録記載の情報の開示を求める事案である。
2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
.原告は、「ホリエモン」というニックネームで、WEB・動画メディアの配信、会員制コミュニケーションサロン、有料メールマガジンサービス、ロケットの開発、製造、打上げサービス、著書の出版等の社会活動において、実名を出して、各活動の創業、運営、プロデュースなどを行っている。(甲1)
原告のツイッターアカウントは約350万人のフォロワー数を有してい
 ている。(甲2)
.被告は、電気通信事業を営む株式会社であり、特定電気通信設備(法
2条2号)を用いて、他人の通信を媒介し、その他特定電気通信設備を他人の通信の用に供するものであるから、特定電気通信役務提供者(法2条3号)に該当する。(弁論の全趣旨)
.別紙投稿記事目録の投稿日時記載の日時に、インターネット上の短文
投稿サイトであるツイッターにおいて、本件各投稿が投稿された。本件投稿1及び2に係るアカウント(以下、「本件各アカウント」といい、それぞれを「本件投稿1のアカウント」、「本件投稿2の愛アウンと」という。)の各投稿時のユーザー名、アカウント名は次のとおりである。(甲3の1、甲4の1)
 本件投稿1 @sakase_k さかせ
 本件投稿2 @100days_RRET お米さん
.本件各投稿は、不特定の者によって受信されることを目的とした電気通信の送信であるから、「特定電気通信」(法2条1号)に当たる。
.原告は、本件訴訟提起に先立ち、Twitter社から、投稿者が本件投稿1のアカウントの令和2年10月5日午前8時27分13秒(日本標準時)のログイン情報、本件投稿2のアカウントの同月8日午前5時22分59秒(日本標準時)のログイン情報についてのIPアドレス開示を受けた。(甲7,8の1〜4)
.本件アカウントへの上記(5)の各ログイン(以下「本件各ログイン」という。)は、被告の特定電気通信設備を用いてされたものであり、被告は、別紙発信者情報目録記載の各発信者情報を保有している。(弁論の全趣旨)
2 争点及び争点に関する当事者の主張
.「権利の侵害に係る発信者情報」の要件該当性
(原告の主張)
 ツイッターのようないわゆるログイン型投稿においては、同一アカウントについては、ログイン者と投稿者は同一である蓋然性が高く、特にこの統一性を妨げる事情がない場合には、当該IPアドレスを割り当てられてログインした者は、当該投稿と推認でき、当該IPアドレス等から把握される発信者情報は、侵害情報である当該投稿の投稿者のものと認めるのが相当である。本件では、いずれも各侵害情報である本件各投稿の直前の本件各ログインを対象に開示請求を行っており、本件各ログインに係る発信者情報は侵害情報に係る発信者情報と同一視して考えられる。また、開示請求の対象としているIPアドレスは、本件各アカウントに一度のみならず一定程度継続した期間にログインする際に用いられており、当該IPアドレスにより接続してログインした人物は、継続的に本件各アカウントを管理している人物であると言える。
 よって、開示請求の対象としている本件各ログインに係る発信者情報は、侵害情報の発信者に関するものであることが認められ、「権利の侵害に係る発信者情報」の要件を満たす。
(被告の主張)
ア 本件投稿1のアカウントには、令和2年9月22日から同年11月8日までの間に101件の異なるIPアドレスの端末からのログインが行われており、複数名により使用されていた可能性が否定できない。また、投稿より3日前までに本件投稿1のアカウントにログインしたIPアドレスの端末は、複数存在する。
 そうすると、本件投稿1は投稿直前のログイン者が行ったものではない可能性がある。
イ 本件投稿2のアカウントには、令和2年9月22日から同年10月9日までの間に8件の異なるIPアドレスの端末からのログインが行われた。また、投稿より3日前までに本件投稿2のアカウントにログインしたIPアドレスの端末は、複数存在する。
 よって、本件投稿2も本件投稿1と同様の理由で、投稿直前のログイン者が行ったものではない可能性はある。
.本件各投稿による原告の権利侵害の明白性
(原告の主張)
ア 本件投稿1について
 (ア)本件投稿1は「ホリエモン」と記載しており、原告に対する言及であ
 ることは明らかである。
 (イ)本件投稿1は、原告が、令和2年9月22日に広島県尾道市の餃子店に
 入店しようとした際に、同行者のマスク着用義務に関して同店と討論になっ
 た件をSNSで発信したことを発端として、同店が一時休業する事態となった
 トラブル(以下「本件トラブル」という。)に関して、「野菜突っ込んでメス
 イキさせる」と投稿したものであり、著しい性的な侮辱表現であり、社会通
 念上許容限度を超える侮辱行為として、原告の名誉感情を侵害することは明
 らかである。
イ 本件投稿2について
 (ア)本件投稿2は「堀江貴文」対して言及しており、原告に対する投稿で
 あることは吉良かである。
 (イ)本件投稿2は、本件投稿1と同時期にされた投稿であり、本件トラブ
 ルに対する批判であると考えられるが、原告のどのような活動に対するどの
 ような批判かを明示せず、「ゴミ人間」、「メスイキ」、「死ねよ」と侮辱するも
 のであり、社会通念上許容限度を超える侮辱行為として、原告の名誉感情を
 侵害することは明らかである。
(被告の主張)
ア 「ホリエモン」や「堀江貴文」との名称の人物は原告に限られないから、本件各投稿が原告のことを述べていることが明らかであるとはいえない。
イ 本件投稿1の「メスイキ」の意味が不明であるため、原告の名誉感情を侵害することが明らかであるとまではいえないし、本件トラブルに関する餃子店についての原告の発信記事の内容を非難する趣旨の投稿であると考えられるため、社会通念上許される限度を超える侮辱行為と認められることが明らかであるとまではいえない。
ウ 本件投稿2も、侮辱的な表現を含んではいるものの、具体的な事実を摘示しておらず、本件投稿1と同様、社会通念上許される限度を超える侮辱行為と認められることが明らかであるとまではいえない。
(4)法4条1項2号の正当理由の有無
(原告の主張)
 原告は、本件各投稿の発信者に対し、損害賠償請求等を予定しており、その準備をしているが、そのためには本件各投稿に係る発信者情報が必要である。
(被告の主張)
 不知。
.争点に対する判断
1 争点(1)(「権利の侵害に係る発信者情報」の要件該当性)について
.ツイッターにおいては、予め登録したアカウントから記事を投稿するためには、当該アカウントにログインする必要があるところ、ツイッター社は、特定のアカウントへのログインについてその時刻と使用されたIPアドレスを記録しているものの、そのアカウントからユーザーが投稿した時刻と使用されたIPアドレスについては記録していない(弁論の全趣旨)。そのため、原告は、本件各投稿に係るアカウント(本件各アカウント)のログイン情報をツイッター社に開示請求し、開示されたログイン情報のうち本件各投稿の直前のログイン(本件各ログイン)時のIPアドレスに係る情報の開示を求めている。
 その為、本件で原告が開示を求めている本件各ログイン時のIPアドレスに係る情報は、侵害情報を送信した時の通信に係る情報ではない。しかし、インターネットを利用して匿名でされた情報発信により権利を侵害されたものの被害回復を図る必要性があるところ、その侵害情報が流通されることとなった特定電気通信を媒介した特定電気通信役務提供者において、その過程で把握される侵害情報の発信者の特定に資する情報を保有している可能性が類型的に高いことを踏まえ、発信者のプライバシーや表現の自由、通信の秘密等に配慮し、一定の厳格な要件が満たされる場合には、正当業務行為として特定電気通信役務提供者に課された守秘義務が解除され、その結果、自己の権利を侵害されたとする者からこの侵害情報の発信者の特定に資する情報の開示を請求することができる旨定めた法4条1項の趣旨からすると、開示請求に係る情報が侵害情報の発信者に関するものであると認められる場合には、かかる開示請求に係る情報も同法同項の「権利の侵害に係る発信者情報」に該当すると解すべきである。法4条1項が「権利の侵害に係る発信者情報」と規定し、権利の侵害行為そのものの発信者情報に限定しない文言を用いていることも、上記の解釈を許容する趣旨ということができる。
.そこで、本件各投稿について検討すると、本件投稿1について原告が開示を求めているのは、令和2年10月5日8時27分13秒のログイン時の情報であるところ、本件投稿1はその約27秒後に投稿されたもの、本件投稿2について原告が開示を求めているのは、令和2年10月8日5時22分59秒のログイン時の情報であるところ、本件投稿2はその約1分後に投稿されたものであり、いずれもログインと投稿が時間的に近接している。このことに、上記ツイッターの仕組みを加味すると、本件各ログインに係る情報は本件各投稿の発信者に関するものである事が推認される。
これに関し、被告は、本件各アカウントには複数の異なるIPアドレスの端末からのログインが存在し、本件各投稿前3日間に限っても他のIPアドレスの端末からのログインが存在するから、上記推認は働かないなどと主張する。
しかし、本件投稿1については、開示請求の対象となっているログインに係るIPアドレスの端末は、令和2年9月22日から同年11月8日までの間に継続駅に多数回本件投稿1のアカウントにログインしており(甲8の3)、上記IPアドレスの端末によりログインしていた人物は、本件投稿1のアカウントを管理しているものと推認されること、本件投稿1のアカウントには、本件投稿1以外にも、原告に関する投稿がされており(甲3の1〜6)、継続的に同一人物が投稿していることがうかがわれること、本件投稿1のアカウントのプロフィール欄には、特定の個人に関する自己紹介文とうかがわれる記載があり(甲3の1〜6)、上記アカウントが複数人で利用されていたことをうかがわせる事情はないことからすれば、本件投稿1について、上記推認を覆すに足りる事情はない。
また、本件投稿2についても、本件投稿2のアカウントには他のIPアドレスの多夏からのログインも存在するものの(甲6の4)、上記の通り開示請求されている投稿直前のログインと本件投稿2とが極めて接近しており、本件投稿2の投稿時刻が日本時間の早朝であることからすると、直前ログインより前に上記アカウントにログインしていた他の者が本件投稿2を投稿した可能性は極めて低いと考えられる。そうすると、本件投稿2についても、上記推認を覆すに足りる事情なはい。
以上によれば、本件各ログインをしたものと本件各投稿をしたものとは、それぞれ同一人物であると認めるのが相当であり、開示請求に係る情報は侵害情報の発信者に関するものであると認められるから、原告が開示を求めた発信者情報につき、「権利の侵害に係る発信者情報」の要件該当性を肯定することができる。
2 争点(2)(本件各投稿による原告の権利侵害の明白性)について
.本件投稿1には「ホリエモン」という原告のニックネームが、本件投稿2には原告の氏名が記載されているから、いずれも原告に関する投稿であることは明らかである。
.本件投稿2(1の間違い?)の「メスイキ」となる文言は、必ずしも一般的な用語ではないものの、甲6によれば、男性のオーガズムに関する性的な俗語表現と解され、インターネット上では、男性に対する侮辱表現として用いられることがある(甲3の3、甲4の1)。本件投稿2(1の間違い?)には、原告に対する正しい対処法として「野菜突っ込んでメスイキさせる」ときさいされており、これは、原告に恥辱的な態様で性的に辱めを受けさせるのが正しい対処方法であるとして、原告を侮辱・嘲笑した表現ということができ、社会通念上許される限度を超える侮辱行為として、原告の人格的利益の一つである名誉感情を侵害することは明らかである(最高裁平成15年(受)第281号同17年11月10日第一小法廷判決・民集59巻9号2428頁、最高裁平成21年(受)同22年4月13日第三小法廷判決・民集64巻3号758頁)。
.本件投稿2も、本件投稿1と同様「メスイキ」という文言を侮辱的表現として用いているほか、原告に対して「ゴミ人間」、「死ねよ」などと著しく不適切な人格否定表現も用いていることから、社会通念上許される限度を超える侮辱行為として、原告の名誉感情を侵害することは明らかである。
3 争点(3)(法4条1項2号の正当理由の有無)について
 弁論の全趣旨によれば、原告は、本件各投稿の発信者に対し、不法行為に基づく損害賠償請求等の準備をしていることが認められ、そのためには本件各投稿の発信者情報が必要であると認められる。
 よって、法4条1項2号の正当理由は認められる。
4 結論
 以上によれば、原告の請求は理由があるからこれを認容することとし、主文の通り判決する。
東京地方裁判所民事第31部
裁判官 中俣千珠(自筆署名及び印)