220621農業アイドル裁判官忌避事件
https://youtu.be/7uEAA4ePiGQ

原事件平成30年ワ37265号
 原告 大本萌景遺族 代理人 佐藤大和ら
 被告 Hプロジェクト蝓ヽ亜‖緲人 渥美陽子、松永成高ら

元事件の判決文はこちら
http://blog.livedoor.jp/advantagehigai/archives/66186012.html

陳述書の話はこちら
http://blog.livedoor.jp/advantagehigai/archives/66186229.html
令和4年モ628 裁判官忌避
申立人 原告4人
対象裁判官 3人
3月3日申立て 
同日却下(簡易却下)
同日即時抗告
令和4年ラ672

第1 原決定の表示
本件申立てを却下する。
第2 抗告の趣旨
 1 原判決を次のとおり変更する。
 2 裁判官島邦彦、裁判官片山健、及び裁判官白井宏和に対する忌避は理由がある。
 との裁判を求める。
第3 抗告の理由
 別途、抗告理由書で主張する。
                    以上

3月17日理由書提出
4月19日決定

抗告理由要旨
簡易却下自体が違法
尋問時間を大幅に削減した
証人の人数を絞り込んだ
余日的主張を訴えの変更として主張させなかった
 令和3年10月8日付準備書面(7)及び令和3年10月27日付準備書面(8)
証人4人
 MS子は、はのかの様子を見るために質問した者
 ОMは、取引先代表者であり、メンバーに指導したこともある。
 HM、ITは、供述と異なる陳述書を出した者である。


決定

主文 
本件抗告をいずれも却下する。

理由
第1 抗告の趣旨について
 本件抗告の趣旨は、原決定を取り消し、抗告人らがした、原決定を行った裁判官3名に対する忌避は理由があるものとの最判を求めるものである。
第2 事案の概要及び抗告の理由について
1 本件は、抗告人らが、基本事件を担当する合議体を構成する裁判官ら3名(以下「本件裁判官ら」という。)について忌避申立て(以下「本件忌避申立て」という。)をしたところ、本件裁判官らで構成される合議体が、本件忌避申立ては申立権の濫用に当たることが明らかであるとして、これらをいずれも却下する旨の原決定をしたことについて、これを不服とする抗告人らが抗告した事案である。
2 本件抗告の理由は、別紙「抗告理由書」(写し)に記載のとおりであるが、要するに、本件忌避を申したてられた本件裁判官らが合議体により本件忌避申立てを却下した原決定には、民訴法25条3項に反する違法があり、仮にそうでないとしても、原決定が理由とした申立て権の濫用はないから取り消されるべきであるというものである。

第3 当裁判所の判断
1 いわゆる簡易却下について
民訴法25条3項は、忌避申立てを受けた裁判官は、当該忌避の裁判について関与できないと定め、刑訴法23条3項も同趣旨の定めであるところ、刑訴法24条1項には、「訴訟を遅延させる目的のみでされたことの明らかな忌避の申立ては、決定でこれを却下しなけばならない。この場合には、前条第3項の規定を適用しない。」とするいわゆる簡易却下の定めがある。民訴法24条以下にはこれと同趣旨の規定がないものの、民訴法2条には、民法1条2項に対応する、「裁判官は、民事訴訟が公正かつ迅速に行われるよう務め、当事者は、信義に従い誠実に民事訴訟を追行しなければならない。」との定めがあること、権利の濫用は許されないこと(民法1条3項)に照らすと、訴訟遅延のみを目的とした忌避申し立ては、裁判官の公正・中立さの維持及び確保を目的とした忌避の制度とは相容れないものであるから、裁判所の合議体の構成員である裁判官に対して、訴訟を遅延させる目的のみでされたことの明らかな忌避申し立てがあった場合は、例外的に、刑訴法の上記定めを類推適用して、当該裁判官の属する合議体が決定でこれ却下することができると解するのが相当である。これに反する抗告人らの主張は採用することができない。
2 本件忌避申立ての目的について
(1) 一件記録によれば、次のとおり認められる。
ア 抗告人らは、同時16歳であった大本萌景が自死したことに関して、萌景の相続人として、抗告人ら代理人弁護士を訴訟代理人に選任し、基本事件の被告らに対し、不法行為又は債務不履行に基づき萌景の死亡による逸失利益及び死亡慰謝料等の損害賠償請求として、平成30年10月12日、基本事件に係る訴えを提起した。
イ 基本事件の裁判所(合議体)は、第6回口頭弁論期日(令和2年2月10日)の後である同年3月24日、次回口頭弁論期日を取り消し、第1回弁論準備手続期日(同年10月12日)から第4回弁論準備手続期日(令和3年4月14日)において、争点の確認及び証拠の整理を行い、第5回弁論準備手続期日(同年6月3日)から和解を始め、第8回弁論準備手続期日(同年9月16日)に和解を打ち切り、その後の証拠調べについて協議していたところ、抗告人らは、同年10月8日、同日付けの準備書面(7)を提出した。同書面の趣旨は、第2回弁論準備期日で確認された各行為と自死との因果関係が認められないとしても、予備的に上記各行為により萌景が受けた精神的苦痛に対する慰謝料及び弁護士費用を請求するというものであり、これに対して、基本事件の被告らは、同月11日、上記準備書面(7)に基づく訴えの変更を許さないとの決定を求めた。本件裁判官らは、同月20日、上記準備書面(7)に基づく訴えの追加的予備的変更であると解した上で、民訴法143条4項に基づき訴えの追加的変更は許さない旨の決定をし、受命裁判官は、第10回弁論準備手続期日(同月28日)では、抗告人らが提出した上記準備書面(7)及びこれと同趣旨の同月27日付準備書面(8)をいずれも陳述させないとして、弁論準備手続期日を終結した。第7回口頭弁論期日(令和3年12月13日)及び第8回口頭弁論期日(同月21日)において、採用済みの証人1名及び本人(抗告人母、基本事件の被告2名(代表者を含む))の各尋問を行い、その余の証人及び本人については、同期日において、いずれも採用しない旨の決定をした。基本事件の裁判長は、上記の各尋問終了後、進行協議期日(同月21日)において双方に和解を勧試し、同裁判長について和解期日(令和4年1月12日)と、第9回口頭弁論期日(令和4年3月3日午後1時30分)を指定したが、同年1月11日、和解期日の指定を取り消した。
ウ 抗告人らは、同年3月3日になって、本件裁判官らに対する本件忌避申立てをし、第9回口頭弁論期日(同年3月3日)において、民訴法26条に基づく訴訟手続きの停止を主張をしたが、同裁判長は、同決定をしたため、同条の適用はないとした上で、同法143条4項に基づき、抗告人らの令和4年2月24日付の準備書面(9)第10に係る訴えの追加的変更を認めないとした上で、基本事件の口頭弁論を終結し、判決言渡期日を同年6月9日(午後1時10分)と指定した。
(2) 検討
 民訴法24条1項にいう「裁判の公正を妨げるべき事情」とは、当該事件の手続外の要因により、当該裁判官によってはその事件についての客観性のある審理を期待することができない場合に、当該裁判官をその事件の審理から排除し、裁判の公正及び信頼を確保することを目的とするものであって、その手続きおける審理の方法、裁判官の態度などはそれでは直ちに忌避の理由とはなしえないところ、抗告人らは、本件裁判官らは、従前の合議体では採用が予定されていた証人を採用せず、尋問時間を短縮したこと、また、本件裁判官らは抗告人ら提出の準備書面(7)を訴えの変更として取扱い、変更を許さないとし、かつ同準備書面及びこれと同旨の準備書面(8)をいずれも陳述させなかったことが不当であり、これらの事情からは、本件裁判官らが予断と偏見をもっており、基本事件に真摯に向き合わず、年度内判決を目論んでいるなどとして、裁判の公正を妨げる事由があると主張する。
 しかし、これらが本件裁判官らの訴訟行為に対する異議の理由となりうるかは別として(ただし、一件記録によっても抗告人らが異議を述べた事実は窺えない。)、いずれも基本事件の裁判長の訴訟指揮権や本件裁判官らがした訴えの変更に関する判断や証拠の採否等に対する不服、不満をいうものであって、このような不服や不満が忌避の理由を構成しえないことは明らかである。
 そして、基本事件の審理の経緯(概略)は上記認定のとおりであり、第5回弁論準備手続期日(令和3年6月3日)をもって、本人及び証人の尋問を残して、当事者の主張・立証は終了し、和解協議を経て、第7回、第8回口頭弁論期日(令和3年12月13日、同月21日)において採用済みの証人及び本人の尋問が行われ、その余の申請証人等は採用されなかったことからすると、特段の事情がない限り、第9回口頭弁論期日で基本事件の口頭弁論が終結され、判決言渡し期日が指定されることになることは、基本事件の訴え当初から法律の専門家である弁護士が訴訟代理人として訴訟を遂行している抗告人らにとっても自明であった。
 しかるに、抗告人らは、第9回口頭弁論期日当日になって本件忌避申立てを行い、訴訟手続きの停止を求めているのであって、これによりもたらされる結果は、基本事件に係る訴訟の遅延以外の何物でもない。
3 以上によれば、本件忌避申立ては、基本事件に係る訴訟を遅延させる目的のみでされたことが明らかであるから、本件裁判官らが忌避の申立権を濫用するものとして、本件忌避申立てをいずれも却下したことは相当である。
 よって、本件抗告は理由がないから、本件抗告をいずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。

令和4年4月19日
東京高等裁判所第19民事部
  裁判長裁判官 北澤 純一
  裁判官 田中 秀幸
  裁判官 青木 裕史