2004年09月10日

『人口減少経済の新しい公式』

ca5eb7c6.jpg『人口減少の経済学』の新しい公式』
松谷明彦 日本経済新聞社刊(2004.05.20) 
政策研究大学院大学教授 元大蔵省主計局主計官

最近話題の本です。冒頭の2015年の世界の描写が面白いので引用します。
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・・・人々は、初対面の人に紹介されたときでも、それが会社の仕事でない場合には、「○○会社の○○です」とは言わなくなった。そして、いつの頃からか、人々は、会社で過ごす時間よりも家族や友人と過ごす時間を大切に考えるようになった。毎日夜、遅くまで会社でがんばっている人もいるが、週末や夏休みだけでなく平日の昼間でも、さまざまに
楽しそうに時間を過ごしている人々を多く見かける。
・・・社会に対しても、人々はこれまでのように依存できなくなった。人口の高齢化によって年金も健康保険も縮小した。財政サービスもかつてのような大盤振る舞いではなくなった。人々は自分自身で各々の生涯を設計し、それに基づき消費と貯蓄、労働と余暇の計画的な配分を心掛けるという新たなライフスタイルへと進み出している。

・・・労働時間と労働力人口から求められる1年間のすべての労働者の動労時間の合計、つまり、「国民総労働時間」は、2030年には800億時間になると計算される。2000年には1210億時間だったから、33.9%の減少である。

(概説)日本企業は、省力化投資を限界生産性の最適点を越えて行い続けた、このため、労働生産性自体は世界最高ではない。それを長時間労働と低時間当たり賃金で補っていた。省力化投資を続けてしまったのは融資を増やしたい銀行の姿勢と関係がある。金融ビックバンで、銀行が温存されたことは、企業が付加価値を追求する原理に変革していくことを、遅らせた可能性がある。という論が展開される。

・・・産業構造の変化は必至であり、投資財産業の急速な衰退が基本的な流れとなる。

・・・消費財産業やサービス産業が経済の主体となれば、消費需要の多様化に加え、それらの産業、企業はさほどの関連産業を必要としないから、企業
間関係はピラミッドではなく独立した並列的関係としての要素が強くなる。

・・・系列や下請け、孫上といった関係は希薄となり、市場競争もそれだけ激化する。

・・・終身雇用・年功賃金制は労働者の企業に対する忠誠心を涵養し、その忠誠心が製品の品質を向上させ、競争力を高めた・・・

(↑ということは流動化がすすむと、現在の競争力はなくなる可能性が高い)

・・・終身雇用制の崩壊によって労働者も流動化するようになれば、社内の意思疎通の面でも問題が出てくる。同じ釜のメシを食う者同士、あうんの呼
吸でというわけにはいかなくなる。意思疎通に要するコスト、すなわち、コミュニケーション・コストは増加するだろう。精緻なマニュアルや詳細な指図書、その伝達手段などに要するコストである。
Posted by aera20040922 at 22:54│TrackBack(1)

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