すっかり春の陽気になってきましたね。
移ろいやすい季節、皆さまが健やかにお過ごしのことを祈っています。
先日3月の【えほんのはら】無事に開催されました。
今月で、2022年度最後の【えほんのはら】でした。
春を迎えるにあたって、
新たな生活に進む子どもたち。大人たち。
この時期だからこそ想いを馳せる、
日々生活できることが当たり前ではないということ。
【えほんのはら】を続けてきたからこそ、発見できる、
ほんの少しの、でも、とっても大きな変化。
参加者でいろいろな気持ちを共有できた、とても豊かな時間となりました。
【えほんのはら】は、てくてく開始当初から行われているプログラムなので、
来年度から6年目になります。
幸運なことに、私は当初からスタッフとして関わっており、
今までのプログラムを思い起こすと、参加した親子の顔が浮かびます。
ご紹介する写真は今回のものですが、
今回のブログは、【えほんのはら】を振り返ってみる投稿にしたいと思います。
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【えほんのはら】は、
子どもから大人までを対象に、
様々に表現あそびを展開している、
アフタフ・バーバンのキョンちゃんが案内役の
絵本とあそびの会です。
ピアノを担当するのは、
練馬区の児童館でも活躍されているみっちーさん。
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【えほんのはら】の始まりは、
キョンちゃんの出産育児がきっかけ。
絵本の読み聞かせの会はたくさんあるけれど、
しっかり座って絵本を見ないといけないような雰囲気を感じてしまうことも。
キョンちゃんは、子どもがたとえ絵本を見ていなくても、
全身を使って絵本を感じていることを知っていました。
耳や、参加している人たちの空気で、絵本を感じている子どもたち。
そこに、キョンちゃんが長年積み重ねてきた「あそび」と、
そっとそこに鳴っているような演奏をする
「花唄ピアニスト」みっちーさんの出会いがあって、
【えほんのはら】が始まりました。
プログラムはキョンちゃんが組み立てます。
そこに、みっちーさんのピアノが入り、イメージが広がっていきます。
伝えたいことはキョンちゃんが最初に決めますが、
一人一人の参加者の顔を思い浮かべながら、
実際に読む何倍もの絵本を見ながら、本を選び決めていくそうです。
同じ月の開催でも、場所と参加者によって本を変えることもありますし、
当日に急遽欠席された方が出て、参加者が減ったり増えたりしても、
また、少し遅れるとの連絡が入った際も、
その都度プログラムを見直しつつ、ベストな進行を考えていきます。
絵本のプログラム、というと、子どもに向けてのプログラム、と思われがちですが、
大人へ届けたい本も、毎回必ず入っています。
「大人の心が動けば、子どももそれを感じて豊かな感情が生まれる」と、
キョンちゃんがいつも伝えてくれます。
子育て中、自分と子どもとの小さな世界で、
楽しいことももちろんあるけれど、
目の前のことを一つ一つなんとかしていくことに精一杯。
「今日、私家族以外の誰かと話したかな?」
「面白いこと、あったかな?」
「このままで私は大丈夫なのかな?」
不安に襲われる方もいるのではないでしょうか。(私自身がそうでした)
プログラムに参加して、「〇〇ちゃんのママ」ではなく、
自分の名前で「〇〇さん」と呼ばれること。
(てくてくでは、通常開所時も保護者の方を下のお名前でお呼びします)
自分の楽しい!の気持ちに反応してくれる人がいること。
プログラム後の感想を聞くと、
多くの方が、子どもの反応だけではなく、
自分自身が感じた気持ちを伝えてくれます。
一言では表せませんが、これがとても価値があることで、
きっと、何年後、親自身の、子どもたちの支えとなる経験となるのではないかと思います。
【えほんのはら】では、大人が読み手になるコーナーが必ずあります。
数人にグループに分かれ、数冊の絵本からどの本を読むのか決めるのですが、
自由に意見を出し合い、読み方を楽しそうに相談している大人の様子を見ていると、
本当に温かい気持ちになります。
また、スタッフもその中に入り、一緒に読みます。
「こうやって読んだら大人たちが喜ぶかな?」
「これは子どもたちが好きそうだなあ!」
みんなの喜ぶ顔を思い浮かべながら読み方を考えていて、
絵本が、子どもだけのものでなく、大人のものでもある。
そして、読み聞かせする相手のためだけでなく、
読む人にとっても、自分の気持ち次第で楽しいものになる、と実感しています。
【えほんのはら】は、最近では8~10組程度の参加があります。
そこまで広い施設ではないので、お互い子どもを見合っています。
子どもたちは、絵本を見るタイミングを自分で決めているので、
動き回っていることも多いです。
「うろうろしていて迷惑じゃないかしら?」
「他の子に手を出してしまったらどうしよう?」
「絵本の前に立ったら、他の子が見えなくなっちゃうかしら?」
そんな時も、近くにいる大人がスッと手を差し伸べたり、
気持ちは絵本に向けつつ、子どもの動きに目を配っていたり、
絵本が見えにくかったら読み手の人が持ち上げたり。
一緒に参加している同士が、委ねあってプログラムに参加しています。
一人で頑張らなくてもいいんだよ、という暖かな空気を、
何回も参加している大人が自然と作り上げています。
初めて参加する方も、その空気を感じるのではないでしょうか。
継続しているプログラムだからこそ、生まれるものだと思います。
【えほんのはら】では、キョンちゃんが長年培ってきた
「あそび」がたくさん取り入れられています。
絵本がどこかから飛び出してきたり、
絵本を様々なものに見立てたり、
みんなで車に乗ってピクニックに行ったり、
時にはお風呂に入ったり、
運動会に参加したり!
物語の中に入っていて、みんなで存分に楽しみます。
あー、楽しかった!また参加します!との声を聞くと
本当に嬉しくなります。
絵本が好きな子にとっても、
絵本にあまり興味がないように見える子にとっても、
【えほんのはら】は、「絵本」だけを楽しむものではありません。
絵本から生まれる物語が、あそびを通じて、自分の経験や生活とつながって、
それがまた、周りの参加者とつながって…。
絵本、一緒に遊んだ経験、その時に一緒にいた子どもや大人たち。
その時代の空気や、季節の移り変わり。
それが影響しあって、混ざり合って、豊かな関わりが生まれます。
一人でも多くの方に、ぜひ経験していただけたらと思っています。
新年度となる4月はお休み、
5月は29日(月)10:30〜開催します。
ご予約は、4月6日(木)10:00〜受付開始します。
ご希望の方は直接スタッフまで、もしくは、電話・メールにてご連絡ください。
アドレスはtekutekunohara.asobo@gmail.comです。
プログラム講師:
NPO法人あそび環境Museumアフタフ・バーバン 平川恭子(キョンちゃん)
写真・ブログ作成:スタッフかよ