
今年度は、泉州の繊維産業の歴史と現状について聞き取りと工場などの見学をしました。昨年度の金属加工関連企業の訪問風景
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初日は、はじめに自泉会館を訪れ、岸和田文化事業協会事務局長の真下氏より自泉会館の由来や市民による活用状況について説明をいただき、館内を見学をさせていただきました。自泉会館にかんするブログ記事はこちら


受講生は、経済学部生12人、サテライトの社会人と職員も加わり、総勢22人の多所帯。
藤田先生の「4日間で最低1回は質問をすること。それも単位認定に関係します」とのガイダンスに学生たちは苦笑い。

企業訪問に先立って、大阪産業経済リサーチセンターの松下 隆氏による「大阪繊維産業における現状・課題と方向性」の特別講義がありました。


講義では、綿花って? から始まり、大阪繊維産業の現状・課題と対応、方向性などをわかりやすく解説がありました。ものづくりにストーリーをつくり、付加価値をつけるとのお話に若者の感性が重要になってくるだろうなと感じました。
企業訪問をするなかで、机上の勉強では気づかないことをしっかり見てくる、気づいてくることが大切で、それにはまず挨拶が大事であると、心構えも教えていただきました。
自泉会館を後にして、チャーターしたバスに乗り込み、岸和田の山手へ向かいます。

次に訪れたのは、岸和田市の「植田毛織株式会社」です。

全国の毛布生産量の95%以上を占める泉州地域で、海外品が増えるなか、日本製にこだわり、品質の良い安全で安心な商品を提供する企業です。
生産工程を見学しました。


プリントされた毛布(マイヤー生地)はぺたんこです。
毛布と言うより絨毯のよう。
これを「起毛機」にかけると同じものだったとは思えないくらいに変化します。
柔らかく、ふあふあ、そして軽い。

国内大手寝装問屋や商社にアクリルマイヤー毛布や綿毛布を販売するほか、ポンチョや「うたた寝くん」も独自で開発しています。
その次に訪れたのは、泉佐野市の「大阪タオル工業組合」です。

大阪・泉州は、日本のタオル発祥の地です。
国内で販売されているタオルはいまや80%が輸入物。残りの20%が国産ですが、そのうちの半分を泉州タオルが占めています。(残り半分は今治です)
1センチ片に切ったタオルをコップの水に浮かべて沈むまでの時間を比べる実験をしました。
泉州タオルは吸水性がいいのですぐに沈んでいきました。
その特徴は、後晒し(あとさらし)と言われる独自の製造方法で、泉州のきれいな水を利用した伝統の製法と、職人の技が、心地よく機能性の高いタオルを生み出しているようです。

最後は、近くの「家次庄平タオル有限会社」を見学しました。

のこぎり屋根が健在です。

繊維は湿度管理が重要で、建物の北側にガラス戸を入れて安定した光を取り入れていたようです。

今後も組合に加入する工場が力を合わせ、生き残ろう、存続しようと協力体制が作られており、JAPANブランド「泉州タオル」の名でノベルティの継続的な確保に取り組んでいます。
以上、第1日目は、作られた製品の側から学んでみました。
次回はそれをどうやって作っているのかを学びます。(梅田)