2025年02月26日10:53菌を活用する農業の本命、菌根菌の基礎知識 光合成菌・納豆菌はミソッカス
この絵は、"細胞に棲息する菌根菌のイラスト"というタイトルで作成したAI画伯によるもの。
近頃、菌根菌の事がメディアに登場する機会が増えて多くの人々の関心を集めています。
ネット社会では、にわか菌根師のような輩が必ず登場してきます。
菌根菌の基礎知識を必須教養として知り詐欺やインチキから身を守りたいものです。
このブログでは、基礎知識のご紹介です。
(前回ブログからの引用もありダブっています。ご了承ください。)
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最先端の基礎の基礎知識
菌根菌はマトリリョーシカ
菌根菌の種類は10年前に比べて１０倍以上に増えています。解析技術が進歩してより細かい分類、生態の研究が進んでいるからです。今後もますます増えると予測されます。今日、正しいと思ったことが明日、否定されるかもしれません。とっても変化が激しい激動的研究の真っ最中なのです。
菌根菌は、菌根・菌(きんこん・きん)と、前部が漢字２語と後部の漢字１語で構成されています。なんだかややこしい名前です。
基礎知識と銘打ちましたが、その生態は謎が多く、形態からは判別できず、また、機能(仕事ぶり)や生態からも種類の正確な判別は不可能です。別種であっても似たような仕事をしてたりするからです。イルカやクジラが魚のように見えて実は動物だったと同じ事が菌の世界では日常茶飯事の出来事なのです。
ですから、日本語版のウィキペディアに一応目を通しておく程度で十分です。種類の分類も変わることがよくあります。
そして、文頭にマトリョーシカと書きましたが、植物の細胞に寄生する菌根菌の細胞の中で寄生して生活をしている菌根菌もいたりします。当然、発見が困難な生物です。ですから、名前には固執しないでください。(VA菌根菌という分類名称は現在使われなくなりました。)
さて、
まず、日本語版のウィキペディアと、英語版のウィキペディアでは内容が異なります。
英語版の翻訳が日本語版ではないのです。各国語それぞれの投稿者によって記載構成されてます。
元々、最先端の研究に限らず科学の分野では英語版がとっても詳しいのです。今は、Googleのブラウザなどで自動翻訳されるので簡単に英語版の翻訳を読めるようになりました。すごく便利です。
少し覗いてみましょう。
まずは日本語版ィキペディア
菌根菌（きんこんきんmycorrhizal fungi） フリー百科事典ウィキペディア（Wikipedia）日本語サイト
〖一部引用
菌根菌（きんこんきん、mycorrhizal fungi）とは、菌根を作って植物と共生する菌類のことである。土壌中の糸状菌が、植物の根の表面または内部に着生したものを菌根と言う。
宿主、菌種、形態から、アーバスキュラー菌根、外菌根、内外性菌根、エリコイド菌根、アーブトイド菌根、モノトロポイド菌根、ラン菌根の7つに分類されている[1]。いつから共生が始まったのかは不明だが、4億年前の化石から発見されたとの報告がある。〗
次に英語語版ウィキペディア
"ウィキペディア（Wikipedia）英語サイト">菌根（mycorrhiza） フリー百科事典ウィキペディア（Wikipedia）英語サイト
両者を比較すると情報量が圧倒的に違う事に愕然とするでしょう。英語版は世界の標準語ということでもあり世界中の研究者が英語版に投稿します。研究者の層が厚いという事ですね。
日本語版では、アーバスキュラー菌根、外菌根が項目として立てられていますから、そちらも参照されるといいでしょう。
英語版は、アーバスキュラー菌根菌、外生菌根菌、ムコロミコチナ細根内生菌、エリック菌根などの項目が立てられています。
代表的菌根菌の紹介です。
アーバスキュラー菌根、エリコイド菌根、ラン科、および外生菌根、担子菌(キノコ)も菌根菌です。
ヘルメット千徳さん、彼の"X"の投稿には菌根菌の胞子や細胞の中でとぐろを巻く菌根菌の写真が豊富に掲載されています。まずは、実際の映像を見てどんな姿形をしているのか知ってください。
菌根菌の研究者＜千徳 毅＞さん
ウチの実験圃場の土壌を採取して25℃で1ヶ月間培養器の中（25℃・最大容水量６０％）で培養した結果。
菌根菌の菌糸は1ヶ月で半減。
そして、うちの畑の地力窒素は10�喞�度。
その地力窒素放出の一部は菌根菌の菌糸分解に由来している可能性もありますね。↓
ここから見える事は、暖かい時期に畑を耕して裸地管理すると菌根菌へのダメージは大きいと言う事
引用元
ヘルメット千徳さんこと、千徳 毅さんの"X"へのリンク
日本ではあまり名の知られていない菌根菌がいます。
【暗色隔壁内生菌（DSE）】と言います。
暗色隔壁内生菌（DSE）の英語版ウィキペディア（Wikipedia）
【知っておきたい語彙の解説】―AI による概要
〖 FRE 〗 ファイン・ルート・エンドファイト（fine root endophyte）とは、植物の根に侵入して生育する菌糸状の微生物です。
【特徴】植物の根毛や根に侵入して生育する。樹枝状の菌糸を形成する。冬の作物の成長を支える。
エンドファイト（fine root endophyte）
植物と菌類の共生関係には菌根に似ているが、異なるものと考えられる形態もある。一例として菌類のエンドファイトが挙げられる。エンドファイトは植物細胞内で生存し、植物に害を及ぼさない生物と定義される。エンドファイトは植物の外部から栄養素を運ぶための栄養輸送構造を持たない点で菌根菌と区別できる。]菌根菌の系統の中にはエンドファイトから菌根菌へと進化したものがある。また、菌類の中には菌根としてもエンドファイトとしても生存できるものもある。
このファイン・ルート・エンドファイト（fine root endophyte）の研究者が日本の菌根菌研究の第一人者として、植物共生菌について最初の民間向けの本を日本で最初に出版されたのが茨城大学の成澤才彦教授(出版当時は茨城大学農学部助教授) でした。「エンドファイトの働きと使い方―作物を守る共生微生物」農文協
農文協では絶版になっていますが、アマゾンでリメーク版が購入できます。
「エンドファイトの働きと使い方―作物を守る共生微生物」アマゾン
この本、私は2012年1月に購入しています。今から13年前ですね。現在、カバーを新調して出版されています。内容は、カナダの厳寒のツンドラの針葉樹が枯れずに生きているのはエンドファイトという植物共生菌がいるから、という研究です。
※この本によって植物共生菌を知ることが出来て、当時、私は茨城大学農学部(つくば市隣の阿見町似ある。)まで成澤先生に会いにゆき共生菌ついてのお話を伺いました。(お土産にナルナル菌(当時の商品名は輝土愛楽))を持参したと思う。
植物共生菌については未知の世界で、それが存在するという事が明らかになっただけでその機能や特徴、生態はほぼ未解明の状態でした。
●DSE(Dark Septate Endophyte)
主に森林土壌およびそこに自生している植物の根部に生息する菌類の総称です。条件が整うと、植物と共生します。植物の生育を助けたり、病害防除・環境ストレス耐性などを付与します。
菌糸に隔壁(Septa)があり、暗色(Dark)のコロニーを形成する植物内生菌(Endophyte)ということでDSEと呼ばれています。〔茨城大学微生物生態学研究室 https://sme-univ-coop.jp/wp/wp-content/themes/liquid-light-sanren/pdf/IbarakiN024%EF%BC%88%E6%88%90%E6%BE%A4%EF%BC%89.pdfより引用〕
分類
核リボソームRNA遺伝子の小サブユニット（18S）の配列解析に基づくと、すべてのDSEは子嚢菌綱に属す。
植物の宿主
暗色の隔壁を持つ内生菌は、双子葉植物科と 単子葉植物科（被子植物）、トクサ目、ヒカゲノカズラ目、ポリポディオプス目、およびシロトプス目（裸子植物）の植物界全体で観察されている。宿主の多様性は、このグループに宿主特異性がほとんどないか全くないことを示唆している。]それらは、菌根を持たない植物だけでなく、アーバスキュラー菌根、エリコイド菌根、ラン科、および外生菌根との関連が知られている植物にも見られる
暗色隔壁内生菌は、アーバスキュラー菌、エリコイド菌、ラン菌、外生菌根菌などの菌根菌と共存することが多い。]異なる根関連菌が相互作用するという証拠もある。例えば、外生菌根菌とDSE株を一緒にすると、どちらか一方だけの場合よりも植物バイオマスが増加する。〔暗色隔壁エンドファイト フリー百科事典『ウィキペディア』より〕
❝まるで菌根菌のマトリョーシカ❞ですね。
最後にタイトルについて、
〖菌を活用する農業の本命、菌根菌の基礎知識 光合成菌・納豆菌はミソッカス〗
これまでの微生物農法では光合成菌や納豆菌を増やして畑に散布したりしています。多くの方が試行していたことでしょう。でも、菌根菌という本命の共生菌から見たら重箱の隅っこでいじけている菌で本命ではない、ミソッカス菌であった事が理解されると思います。
人間は体力が衰えるとサプリメントや栄養剤を服用します。一回飲めばもういいというものではなくて、毎日服用しないといけません。対して、菌根菌は一度の接種で宿主が死ぬまで同居し続けるのです。
世界中の研究者の菌根菌に関する論文は膨大な量に上っています。
たとえば、下行のリンクをクリックしてみてください。
暗色隔壁内生菌の検索結果
詳細検索は約 27,900 件に上りました。
dark septate endophyteでは約 77,300 件 でした。
全部に目を通すのは不可能ですね。
まとまりの無い基礎知識のご紹介になってしまいました。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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