2007年07月

2007年07月31日

『どろろ』観ました

 土曜日は8週間講座の最終日でした。いつもながら、この中の一人でも多くの人がシナリオを書き続けてくれればいいなあ、と願います。そして、そのためにもシナリオを書く楽しさが少しでも伝わっていればいいのだが…と改良点を探ります。
 講座は、特に8週間講座はゼミと違って内容としては毎回同じなわけです。なのでルーティーンになりがちなのを、どう変えていくかが難しいところです。

 日曜日はレンタルビデオで『どろろ』を観ました。



 ロウソクの炎のところがボッと浮かび上がるような効果や(露出でしょうか?)、赤だけが浮かび上がるような効果(色調でしょうか?)がフィクション性を高めているように思いました。
 シナリオとしては、マンガと映像(実写)のキャラクターの違いを考えさせられました。
 あるいは、以前、映像と演劇を観るときの受け取り方の違いということを考えましたが、マンガと映像の受け取り方の違いということも関係してくるでしょう。
 マンガはきわめてフィクション性が高い(ドキュメンタリー性が低い)と考えられるのでしょうか?

 昨日は夜、シナリオ・センターの「シナリオS1グランプリ」の授賞式と公開講座がありました。
 その後、恒例の受賞者との会食があり、最近、面白いなあと思った映画やドラマってオリジナルが多い(もちろん原作もので面白いのもありますしオリジナルでイマイチなのもありますが)という話になりました。
 にも関わらず原作ものが圧倒的に増えてきているような…。原作ものの方が現実的に作りやすい(お金を集めやすかったり企画を進めやすかったり)のでしょうが、どこか矛盾しているようにも感じます。

ahonao at 11:37|PermalinkComments(2)TrackBack(0)

2007年07月28日

『日本のいちばん長い日』観ました

 岡本喜八監督、橋本忍脚本の『日本のいちばん長い日』を観ました。



 終戦の日の一日、玉音放送が放送されるまでの24時間をドキュメンタリータッチで描いています。
 阿南陸軍大将が切腹するにいたるまでを中心に、徹底抗戦派の動きや玉音放送を録音し放送するまでなどを群像劇として組み立てています。
 なので、カットバックによるモンタージュ効果が使われているのですが、最も印象的だったのが、玉音放送が粛々と録音されているところと、もう終戦が決まっているのに特攻隊員たちが飛び立っていくところのカットバック。
 特に、特攻隊員たちは地元の人々の歓待を受け、おにぎりなんか頬張ったりして、みんな笑顔で意気揚々と飛び立っていく感じで、あまり悲壮感などありません。むしろ、見送っている伊藤雄之介さん演じる上官のほうが悲壮な顔なのです。ああ、そうなのかもしれないなあ、と思いました。
 白黒で、もしかしたら今の若い人が見たら知っている役者さんも出ていなくてドキュメンタリーだと間違えるかもしれません。

ahonao at 16:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2007年07月24日

『キサラギ』おすすめ!

 『キサラギ』を観ました。
 カッシーさんが「面白かったよ」と言っていたので、へ〜、と思って観に行ってみたのですが大当たり!
 脚本は古沢良太さんで、『アシ!』という作品でテレ朝の21世紀新人シナリオ大賞(第2回だったかな?)を受賞し、映画『ALWAYS三丁目の夕日』を書かれた注目の脚本家です。
 とにかく、そのシナリオが、とてもよく出来ていて、これぐらい考えられていたら面白くなるのか、逆に言うと、これぐらいしっかり考えないと面白いシナリオにはならないんだな、というのを実感しました。特にキャラクターの作り方が緻密なのが印象的でした。
 また、ちょっと先が読めるのが、逆に面白いなあ、と。
 そして、役者さんたちがシナリオの面白さを本当によく引き出していて、特に香川照之さんが抜群!
 コメディはシナリオと役者さんだなあ、と思いました。


ahonao at 17:44|PermalinkComments(4)TrackBack(0)

2007年07月20日

世界で一つしかないシナリオを書こう

 今日からシナリオ・センターの公募コンクール講座が始まります。
 正直、この講座をやるのが気が重い時期がありました。なんかコンクールで賞を取ることが目的みたいな気がして…。
 でも、コンクールのいいところは誰でも公平にチャレンジできること。私が願う、一人でも多くの人がシナリオを書くようになるといいなあ、というのには、一人でも多くの人がシナリオのコンクールにチャレンジするようになるというのが、とても有効に思えます。
 彩流社のスギヤマ〜と『シナリオ・コンクール攻略ガイド』という本を作ったのも、そんな願いからです。



 さらに、賞を取るために最も必要な、いかに個性を発揮するかというポイントをつきつめれば、世界で一つしかないシナリオを書くという、もう一つの目的が見えてきました。
 世界で、たった一つの自分にしか書けないシナリオ、それは、かけがえのない宝物ではないか、と。
 そして、そんなシナリオが書けたら、それは、どんなコンクールの賞を取るより素晴らしいことなんじゃないか。
 もちろん、きれい事ばかりではありません。その上で賞が取れたら万々歳です。
 そんなシナリオを書くための、お手伝いが出来たら嬉しいなあというモチベーションで公募コンクール講座をやります。
 

ahonao at 12:26|PermalinkComments(2)TrackBack(0)

2007年07月19日

『東京ラブストーリー』と『追憶』

 シナリオ・センターの夏合宿恒例、柏田先生のビデオ検証講座で『東京ラブストーリー』のクライマックスが、課題の手紙を使ったクライマックス(起承転結の転)の例として取り上げられました。



 いやあ、懐かしかったです。
 あまりトレンディドラマとか熱心に観る方ではなかったのですが、これはハマって観てました。
 当時、私は化学工場の夜間警備員として泊まりこみのバイトをしていて、その警備員室のテレビで。
 バブル真っ盛りの世間とは裏腹に、6畳一間の風呂なしアパートに住み、自分で作ったおにぎりの夜食を食べながら。
 それはともかく、合宿ではクライマックスのみが流れましたが、その後の起承転結の結で、数年後(3年後だったかな?)二人は街中で再会します。
 これは『追憶』のパターンです。



 そもそも、クライマックスで別れた二人が数年後に再会するというパターンがラブストーリーにあるのか、『東京ラブストーリー』が『追憶』を意識して発想したのかは分かりませんが。

 今日は、これからシナリオ・センターのゼミです。
 明日から公募コンクール講座が始まります。この講座に出ていただければ初めての人でも1時間ものを書くことができりょうに、また、何度かコンクールにチャレンジしている人は今までよりレベルアップしたシナリオが書けるようにしていきます。
 コンクールにチャレンジしてみたいなと思っている人は是非。


ahonao at 18:07|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2007年07月17日

夏合宿が終わりました

 土曜日から昨日までシナリオ・センターの夏合宿でした。
 土曜日は午後から某テレビ局のプロデューサーのゲスト講座、夜はゼミ。生徒さんは、そのあとゼミの感想やアドバイスを受けて書き直しです。
 日曜日は朝から選択実習。ゼミの実習だけでも大変だと思うのに、ほぼ参加者全員がジャンル別の課題に取り組んでいました。選択実習ですから参加してもしなくてもいいわけです。ペラ5枚とはいえ2時間で書かなければならず、もちろん満足のいくものはなかなか書けないでしょう。もっと、ああした方がいい、こうした方がいいと言うことはできるかもしれませんが、そんなことより、みなさんのシナリオを書こうとする熱意に頭が下がりました。
 午後は直しの課題のゼミ。夜は新井一賞やゼミ実習の授賞式。
 3日目は朝から選択実習のジャンル別の講義。午後はビデオ検証講座と『脚本家』の中園健司さんのゲスト講座がトリでした。


 というわけで中身の濃い合宿でしたが、特に、よく一つの作品をじっくり時間をかけて書きたいという方がいらっしゃいますが、実際の現場では、すでに名のある一部ベテランの方しか時間をかけて書くなんてことは滅多になく、むしろ、この合宿のように短い時間で集中して書く方が実戦的な力がつくと思います。
 20枚シナリオも同様で、じっくり時間をかけるより、短い時間で集中して、どんどん書いていくことで力をつけていくことをお勧めします。

 大学院の修士論文が我ながら中途半端だったこともあって意欲が高まっていたところに、合宿参加者のみなさんに刺激されて、ますます意欲がアップしました。
 みなさん、ありがとうございます。
 と、気持ちはやる気満々なのですが、いかんせん3日間の疲れがドッと出て今日はダウンです。情けない…。


ahonao at 13:45|PermalinkComments(1)TrackBack(0)

2007年07月13日

S1最終に残るには

 昨日、シナリオ・センターの講師に、自分のゼミの生徒さんがS1グランプリの4次審査まで残ったのだが最終に残らなかった、その差は何ですか? と質問されたのだけどと言われました。
 ずばり、主人公を葛藤させているかどうか、と答えました。
 シナリオを読んで他人(たとえばコンクールの審査員)に「面白い」と思わせる要素は、大きく2つ、今までにない新鮮さと感情移入させることだと思います。
 特にS1では、新鮮さもありますが、どれだけ感情移入させられるかのポイントが重視されています。
 じゃあ、どうすれば他人(審査員)を感情移入させられるかというと、主人公に共通性を持たせることと葛藤させることです。
 共通性がなくても、しっかり葛藤させていれば感情移入します。逆に共通性を持たせていても葛藤が弱いと感情移入できません。
 最終に残っているシナリオでも葛藤が弱いものもあるかもしれませんが、逆に言うと、しっかり葛藤を描けていれば確実に最終に残ります。
 「私は葛藤を描いてる」という方で、実は描けてなかったり、葛藤が弱いことがよくあります。
 自分では葛藤を描いているつもりでも実は描けていないのです。何となく葛藤を描いているつもり担っていることが多いです。 何となくではなく、どういう気持ちとどういう気持ちの葛藤か明確にしてみて下さい。
 さて感情移入ということではコメディは別ものです。主人公に感情移入させすぎてしまと笑えなくなってしまうのです。
 でも、どれだけ葛藤させられるかという点では変わりません。コメディの場合は主人公に明確な目的を持たせ、そこに向かって行動しようとするのに障害物をぶつけて右往左往させて下さい。この右往左往がコメディの葛藤です。

 明日からシナリオ・センターの夏合宿です。ハードな3日間が始まります。


ahonao at 17:55|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2007年07月10日

大学院最後の授業

 昨日は午前中、大学院の最後の授業を受けました。
 修士論文を書いている時から、この2年間、自分は何をやっていたんだろうと考えています。大学院の授業は、たくさんの刺激を与えてくれました。それなのに自分で学んだことは、修士論文の内容もそうですが、とても中途半端だったように思います。
 どんなに恵まれた環境にあっても、どんなに刺激を受けても、結局は自分から学ばなければ何にもならないという、ごくごく当たり前のことを痛感しています。
 しかし、ショートフィルムを制作できたことで自分がものを作る原点を取り戻せたことと、少しでも学ぶ姿勢を高められたことが何ものにも代え難い成果です。
 これからも、学ぶ意識をより高く持ちながら、特にシナリオを書いたり企画を立てたりすることを積極的にやっていきたいと考えています。


ahonao at 12:35|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2007年07月08日

『舞妓Haaaan!!!』と『幸福の黄色いハンカチ』

 先週、『舞妓Haaaan!!!』を観に行きました。
 コメディの作りとしては基本通りで、主人公に具体的で明確な目的を持たせ、目的に向かおうとするのに障害物をぶつけ右往左往させていました。
 しかも、その目的が大きくは映画のちょうど真ん中で、前半の目的から後半の目的へと変わっているのは『ジョーズ』と同じでした。
 クドカンのシナリオって目新しく見えるのですが、意外なほど基本に忠実に作られていてビックリすることが多いです。
 数日後、山田洋次監督の『幸福の黄色いハンカチ』をビデオで観ました。(なんとレンタル屋にDVDがなかった!)



 こちらは、主人公(高倉健)に目的を持たせてはいるのですが、それが何なのか観客には明らかにされず、なので主人公の葛藤もあるのですが観客には伝わらなくなっています。むしろ、観客を武田鉄矢に感情移入させておいて映画の中に引き込み、その後、高倉健に感情移入していくような仕組みではないかと思います。
 『幸福の黄色いハンカチ』は公開されたときに観たのですが、高倉健が何をしようとしているのか分かるのが、こんなにも遅かったとは意外でした。もっと最初から分かっていて、最初から高倉健に感情移入したような記憶があったのですが…。
 とはいえ、私はすでに主人公が何をしようとしているのか分かった上でビデオを見ているのですが、これって初めて観る(もちろん、どういう話か知らないで)人にはどんなふうに受け止められるのかなあ、と思いました。

ahonao at 20:36|PermalinkComments(4)TrackBack(0)