待ちに待った、ユジャ・ワンの2年ぶりのソロ来日。
前回は名古屋で演奏を聴いて終始圧倒され、今回もチケット発売開始と同時に席を確保し、この日を心待ちにしていた。

そして、今回もやっぱりすごかった。

大ホールの半分も入っていない恐るべきがらがらの状態で、少々ご機嫌ななめ気味に始まったスクリャービンの第2番の美しかったこと。
この上ないテクニックと美しい音でゆったりと鳴る鳴る音楽が、香り立つ音楽性とともに、心の中にすーっと入り込んでいくのだ。
卓越した技術や鋭角的な表現は鼻につかず、ホールいっぱいに鳴る強い音も全くうるさくない。
いつまでもこの音楽が続いてほしいと思うような、至福のひとときだった。

ラフマニノフのソナタ第2番も圧倒的だった。テクニカルだが協奏曲と比べて味わいに劣る、というこれまでの僕の曲へのイメージが完全にひっくり返った。
なんという表現の多彩な、内容の濃い音楽だろうか。

メインプロが終わり、聴衆の押し付けでない拍手に答えてえんえん続けられたアンコール、終わる度にスタンディングオーベイションが増え、大勢のスタンディングで終了という、日本のクラシック会場では異様ともいえる光景だった。

「全盛期のホロヴィッツ専用」の曲芸曲である「カルメン幻想曲」も演奏された。彼女の手が見えるベストの位置に座っていたのだが、えーっ!?という驚きの手の動きが手に取るようにわかり子供のようにわくわくした。

これだけお客さんが少なかったら次回の来日では京都には来ないかもしれないが、聴かなかった人が気の毒、と思えた演奏会だった。

またソロで来日したら、必ず行く。どこであっても。