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社会保険労務士法人 人事AID 清水です
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「働き方改革」法案のポイント (3)

○労働基準法関係(3)

※要綱原案では2019年4月施行となっていたものが
今月7日、厚労省から改正案の発表があり
中小企業への適用が2020年4月からと先送りになっています

一 時間外労働の上限規制のポイント(3)

●特別条項を設ける場合の限度時間

36協定には対象期間の限度時間が設定されているものの
現行では当該対象期間の限度時間を超えて労働させることが
いわゆる「特別条項」を設定することで認められています

またこの「特別条項」には、限度時間が設定されていませんでした

このことが過労死などにつながる長時間労働の温床として
以前から労働組合などからの批判を受けてきましたが
今回の改正では「特別条項」の要件(制限)も法定されました

(1)特別条項が設定できる要件の制限

「通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い
臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合」

36協定で定めることができる時間外労働時間について
要綱案では、前回お話ししたように
「当該事業場の業務量、時間外労働の動向その他の事情を考慮して
通常予見される時間外労働の範囲内において、
限度時間を超えない時間に限るものとすること。」
としています

これと比較すると、特別条項が設定できるのは
・通常ならば予見することのできないような
・業務量の大幅な増加等があり
・臨時的に限度時間を超えることが必要
との条件を満たしていることを求めていることになります

(2)特別条項で定めることができる時間の制限

 〇間外労働は1年720時間以下

◆〇間外労働・休日労働の合計で月100時間未満

 2か月から6か月までの複数月の平均は
  時間外労働・休日労働の合計で月80時間以内

今回新たに設定された特別条項に対する制限では
時間外労働に法定休日労働時間も加えた時間で制限されます

また特別条項が適用できるのは年のうち半分の6か月となりますが
そのすべてで100時間(未満)までとすることはできず
2か月から6か月の複数月を平均して
いずれも80時間以下であることが条件となっています

つまり単月で100時間となることは認められますが、その場合には
その月の前後の時間外労働は最大でも月60時間とする必要があります

また60時間と100時間を交互に3回繰り返すと
3か月合計で260時間、5か月合計で420時間となる組み合わせが発生し
平均で月80時間以下となりませんからこれも認められません

1年の時間外労働の合計では
45時間×6月+100時間×6月=870時間とすることはできず
45時間×6月+80時間×6月=750時間でも上記の,寮限を超えます

つまり特別条項を設定するとしても、月45時間を超える月の平均は
(45時間×6月+75時間×6月=720時間)ですから
75時間を目安にコントロールすることが必要になります

以上の特別条項の時間制限は従来の労災での過労死認定基準とほぼ同じです
今後はこの基準に沿った労働時間管理を遵守することが
使用者に課せられた安全配慮義務を果たすためにも最低限必要なものとなります

「働き方改革」法案のポイント (2)

○労働基準法関係(2)

※要綱原案では2019年4月施行となっていたものが
今月7日、厚労省から改正案の発表があり
中小企業への適用が2020年4月からと先送りになっています

一 時間外労働の上限規制のポイント(2)

●対象期間の区分

36協定の時間外労働の対象期間の区分について、現行では
 。影
◆。影を超える一定の期間
 1年間
となっていました

また´↓の各期間の時間外労働の限度は
,聾妥抓霆爐覆
は原則360時間(1年変形では320時間)
そして△砲弔い討
1週間、2週間、4週間、1か月、2か月、3か月の限度時間が定められてきました

これに対し改正案は
 。影
◆。韻月
 1年間
として△隆間を1か月に限定しています

つまり、現行で認められていた1か月以外の限度時間が使えなくなります

36協定は△砲弔い童妥抻間45時間の1か月で届出するのが通常ですが
現行では例えばこの期間を1週間とした場合、限度時間は15時間ですから
1か月に換算すると60時間以上の時間外労働が原則の範囲内で可能でした

また限度時間を超える特別条項の適用は1年で半分までとされていますが
これも△鬘韻月とした場合は1年12か月で6回までとなるところ
1週間とすれば1年は52.14週ですから26回可能でした

今回の改正では今まで可能だったこのような運用はできないことになると考えられます

●対象期間の区分ごとの限度時間

現行では厚労省の告示で対象期間の区分ごとに限度時間が設けられています

今回の改正では厚生労働省告示から法律に格上げされ
上記のように△韮脅鑪爐△辰振菠が1か月だけとなりましたが
原則1か月45時間、1年360時間の限度時間に変更はありません
(1年変形の場合の1か月42時間、1年320時間も変更なし)

●当該事業場ごとの限度時間の設定

現行の36協定では対象期間の区分ごとの時間外労働時間の設定は
上記の限度時間をそのまま設定している例が多いかと思います

届出した時間外労働時間を超えて実際の時間外労働が発生すれば
労働基準監督署の是正勧告の対象となりますから
限度時間ギリギリで届出することはそれを避けるための策でもありました

しかし今回の法案要綱では、
36協定で定めることができる時間外労働時間は
「当該事業場の業務量、時間外労働の動向その他の事情を考慮して
通常予見される時間外労働の範囲内において、
限度時間を超えない時間に限るものとすること。」
とされています

この規定の意図はまだ明らかではありませんが
時間外労働時間を自動的に限度時間に設定して届け出ることは
どうやら想定していないのではないかと考えられます

つまり届け出すべき時間外労働時間は「通常予見される時間外労働」として
労働者の範囲ごとの平均的な時間外労働時間を基準にして
可能な限り限度時間を下回る時間を設定することを求めているのでしょう

この辺りが実際の届出受付窓口や監督官の臨検でどう指導されるのかは
今後定められる施行規則、指針等で明らかになっていくものと思われます

「働き方改革」法案のポイント

○労働基準法関係

※要綱原案では2019年4月施行となっていたものが
今月7日、厚労省から改正案の発表があり
中小企業への適用が2020年4月からと先送りになっています

働き方改革の8法案の中で大きな部分を占めるのは
やはり労働基準法の改正案です

厚生労働省から国会上程前に施行時期の先送りが提案され
また関連する省令、書式などが明らかになっていませんので
実施までにはまだ流動的な部分がありますが、
労働時間の管理方法など早急な検討が必要な点があります

一 時間外労働の上限規制のポイント(1)

この改正のポイントは報道されているように
時間外・休日労働(36)協定の内容の法定化ですが
省令(施行規則)から法律に格上げ予定の協定内容はどうなるのか
現在までに出されている情報から具体的にどうなるのかを探ります

●対象期間

協定の対象となる期間の最長区分について従来から1年とされ
1年の期間中の時間外労働の限度は原則360時間とされていました

厚労省の諮問を受けた分科会の議論では、
新労使協定を締結し直した場合に1年の起算日を定めなければ
1年間360時間との限度がリセットされてしまうことが問題とされ
実際に年間360時間が確保されるような方法を検討する旨
厚生労働省が回答しています

1年単位の変形労働時間制では年間カレンダーが定められますので
1年の起算日を変更する届出は認められていませんが
36協定では上記の分科会での指摘にあるとおり
期間をリセットする協定の再提出が可能で規制の逃げ道になっていました

現在、労働基準監督署の窓口ではこの法案を先取りしてか
期間をリセットした36協定の届出を認めない取扱いが広がっていますし
今後は36協定の1年の起算日変更は原則認められなくなりそうです

働き方改革推進関係法律案要綱のポイント

政府が推進する「働き方改革」に向け、昨年労働政策審議会に労働基準法等の改正案が諮問され
9月「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」の答申が出されています

答申は労働関係の8つの法律にまたがるものですが
個々の法律の改正点に触れる前にそのポイントについて整理します

1.働き方改革の総合的かつ継続的な推進
【施行期日:公布日】

 働き方改革に係る基本的考え方を明らかにするとともに、国は、改革を総合的かつ継続的に推進するための「基本方針」(閣議決定)を定めることとする。(雇用対策法)

「雇用対策法」を「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(労働政策総合推進法?)に改称

2.長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等
【施行期日:2019年4月1日(中小企業における割増賃金率の見直しは2022年4月1日)※1】
※1 2月7日厚生労働省修正案公表:中小企業への適用を2020年まで延期、割増賃金率の見直しは2023年まで延期

(1)労働時間に関する制度の見直し(労働基準法)

・時間外労働の上限について、月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)を限度に設定。

※自動車運転業務、建設事業、医師等について、猶予期間を設けた上で規制を適用等の例外あり。研究開発業務について、医師の面接指導、代替休暇の付与等の健康確保措置を設けた上で、時間外労働の上限規制は適用しない。

・月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)について、中小企業への猶予措置を廃止する。また、使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日について、毎年、時季を指定して与えなければならないこととする。

・企画業務型裁量労働制の対象業務への「課題解決型の開発提案業務」と「裁量的にPDCAを回す業務」の追加と、高度プロフェッショナル制度の創設等を行う。(企画業務型裁量労働制の業務範囲を明確化・高度プロフェッショナル制度における健康確保措置を強化)

(2)勤務間インターバル制度の普及促進等(労働時間等設定改善法)

・事業主は、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息の確保に努めなければならないこととする。

(3)産業医・産業保健機能の強化(労働安全衛生法等)

・事業者から、産業医に対しその業務を適切に行うために必要な情報を提供することとするなど、産業医・産業保健機能の強化を図る。

3 雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
【施行期日:2019年4月1日(中小企業へのパートタイム労働法・労働契約法の改正適用は2020年4月1日)※2】
※2 2月7日厚生労働省修正案公表:大企業と派遣事業者について2020年まで1年延期、派遣を除く中小企業については2021年まで延期

(1)不合理な待遇差を解消するための規定の整備(パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法)

・短時間・有期雇用労働者に関する正規雇用労働者との不合理な待遇の禁止に関し、個々の待遇ごとに、当該待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべき旨を明確化。併せて有期雇用労働者の均等待遇規定を整備。派遣労働者について、(a)派遣先の労働者との均等・均衡待遇、(b)一定の要件※を満たす労使協定による待遇のいずれかを確保することを義務化。また、これらの事項に関するガイドラインの根拠規定を整備。 

(※)同種業務の一般の労働者の平均的な賃金と同等以上の賃金であること等

(2)労働者に対する待遇に関する説明義務の強化(パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法)

・短時間労働者・有期雇用労働者・派遣労働者について、正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等に関する説明を義務化。

(3)行政による履行確保措置及び裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備

・(1)の義務や(2)の説明義務について、行政による履行確保措置及び行政ADRを整備。

懲戒解雇と解雇予告除外認定(2)

懲戒解雇と解雇予告除外認定の関係
懲戒解雇の有効要件と解雇予告除外認定の要件の違いについて
この2つの法律的根拠を整理の続き

○解雇予告除外認定の根拠について

厚労省労働基準局のモデル就業規則では解雇予告除外について以下のように定めています

就業規則第49条(解雇)
 2 前項の規定により労働者を解雇する場合は、少なくとも30日前に予告をする。予告しないときは、平均賃金の30日分以上の手当を解雇予告手当として支払う。ただし、予告の日数については、解雇予告手当を支払った日数だけ短縮することができる。
3 前項の規定は、労働基準監督署長の認定を受けて労働者を第58条に定める懲戒解雇する場合又は次の各号のいずれかに該当する労働者を解雇する場合は適用しない。


この規定は、以下の労働基準法第20条の解雇の予告を根拠にするものです

労働基準法第20条(解雇の予告)
1 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
2 前項の予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができる。
(第3項略)

労働基準法は労働条件の最低基準を定めた強行法規です

「強行法規」の典型は刑法で、つまり主に社会秩序の維持を目的として
現代社会の契約自由の原則の例外として法律的規範を強制する法律です

もし「契約当事者間の合意」があったとしても
この基準に反していれば合意も無効とするのが強行法規です

例えば「8時間以上働く。割増賃金は不要」と労働者が同意しても
このような雇用契約は認めないということです

労働基準法は使用者を規律する刑法ですから
最終的には裁判(刑事裁判)で厳密な解釈をもって有罪・無罪
刑罰の軽重を判断することになりますが
それ以前に行政は労働基準法を根拠として行政指導をし
労使間の最低基準を使用者に守らせようとします

これが労働基準監督署、労働基準監督官の役割であり
労働基準監督官は司法警察官として逮捕権を持ち、
検察への送検手続まで行う強制力をもって取り締まります

従ってこの労働基準監督官の判断基準は
厚生労働省から出される通達で細かく定められています

今回の解雇予告除外認定にかかわるところでは
「労働者の責に帰すべき事由」の判断を以下のように通達しています

【労働者の責に帰すべき事由】
 「労働者の責に帰すべき事由」とは、労働者の故意、過失又はこれと同視すべき事由であるが、判定に当っては、労働者の地位、職責、継続勤務年限、勤務状況等を考慮の上、総合的に判断すべきであり、「労働者の責に帰すべき事由」が法第二十条の保護を与える必要のない程度に重大又は悪質なものであり、従って又使用者をしてかかる労働者に三十日前に解雇の予告をなさしめることが当該事由と比較して均衡を失するようなものに限って認定すべきものである。
「労働者の責に帰すべき事由」として認定すべき事例を挙げれば、
(1)原則として極めて軽微なものを除き、事業場内における盗取、横領、傷害等刑法犯に該当する行為のあった場合、また一般的にみて「極めて軽微」な事案であっても、使用者があらかじめ不祥事件の防止について諸種の手段を講じていたことが客観的に認められ、しかもなお労働者が継続的に又は断続的に盗取、横領、傷害等の刑法犯又はこれに類する行為を行った場合、あるいは事業場外で行われた盗取、横領、傷害等刑法犯に該当する行為であっても、それが著しく当該事業場の名誉もしくは信用を失ついするもの、取引関係に悪影響を与えるもの又は労使間の信頼関係を喪失せしめるものと認められる場合。
(2)賭博、風紀紊乱等により職場規律を乱し、他の労働者に悪影響を及ぼす場合。また、これらの行為が事業場外で行われた場合であっても、それが著しく当該事業場の名誉もしくは信用を失ついするもの、取引関係に悪影響を与えるもの又は労使間の信頼関係を喪失せしめるものと認められる場合。
(3)雇入れの際の採用条件の要素となるような経歴を詐称した場合及び雇入れの際、使用者の行う調査に対し、不採用の原因となるような経歴を詐称した場合。
(4)他の事業場へ転職した場合。
(5)原則として二週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合。
(6)出勤不良又は出欠常ならず、数回に亘って注意をうけても改めない場合。
の如くであるが、認定にあたっては、必ずしも右の個々の例示に拘泥することなく総合的かつ実質的に判断すること。
なお、就業規則等に規定されている懲戒解雇事由についてもこれに拘束されることはないこと。
(昭23.11.11 基発1637号、昭31.3.1 基発111号)

使用者から解雇予告除外認定の申請が出された場合
労働基準監督官は上記の基準に従い「解雇予告除外認定の是非」を判断することになります

この判断基準は民事上の「解雇の有効無効」の判断基準とは全く異なります

また解雇の有効無効の判断と異なり「解雇予告除外認定の是非」の判断は
基本的に時間をかけて審理することができません

使用者から申請が出された場合には
労働者の責に帰すべき具体的事由
その解雇と解雇予告除外に就業規則上の根拠があること等
があれば、申請自体は受理され審査には入りますが
その認定の是非は当該労働者からの事情聴取によります

端的に言えば、労働者が自ら事実を認めれば「認定」となりますが
「事実ではない、やっていない」といった積極的否認ではなく
たとえ「知らない、覚えていない」という消極的否認であっても
労働基準監督署の決定は「認定しない」となります

たとえば懲戒処分の決定にあたり使用者の前で労働者が自認していても
その後の監督署の聴取の際に否認すれば認められません

そもそも労働基準法には解雇そのものの判断基準がありませんから
労働基準監督署は解雇の有効無効は判断しません

解雇が民事上の判断で有効と認められるような場合でも
解雇予告除外が認定されるとは限りませんし
実態として認定されない(労働者が積極的に認めない)ことが多いのが現実です

逆に解雇予告除外が労働者の自認により監督署に認められたとしても
後日「解雇無効」の訴えを労働者が提起した場合には
その解雇無効が認められる可能性ももちろんあります

上記のように、
懲戒解雇の有効要件と解雇予告除外認定の要件は全く違いますから
実際の運用でもその違いについて整理しておくことが必要となります

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