1箇月単位の変形労働時間制の変形期間においては、各日、各週の労働時間を具体的に定めておく必要があります。各日の労働時間については、単に労働時間の長さを定めるだけでなく、始業および終業の時刻も具体的に定め、労働者に周知しておくことが必要となります。
また、変形期間の労働時間を平均して1週間の労働時間が法定労働時間を超えないこととされていることは前回お話しした通りです。
今回は実際の1箇月単位の変形労働時間制を採用する場合の問題点をもう少し具体的に考えてみます。
まず、完全週休2日制を採るのが難しい会社で、土曜日の出勤を確保するために1箇月単位の変形労働時間制を採用する場合です。
具体的な規定として、変形期間を歴月、所定労働時間を1日7時間30分、所定休日を日曜日、祝祭日と土曜日とし、ただし月のうち1回は土曜日を出勤日とするとした場合で検討してみましょう。
1箇月単位の変形労働時間制では1日の所定労働時間7時間30分とすると、31日の月の労働日は177.1時間÷7.5時間=23.61日、小数点以下を切り捨てて23日となりますから、休日数は31日−23日で8日が必要です。同様に計算すると、30日の月も8日、29日の月、28日の月は7日の休日が必要なことが分かります。
今年の実際のカレンダーに当てはめてみると、規定例として考えた月1回週休1日制は概ね法律上の要件を満たしているように思えます。また祝祭日が多い月では必ずしも土曜日を休みにしなくても法定の労働時間の条件を満たすことができますから、この場合には「週内の平日が祝祭日となる場合は当該週の土曜日は出勤日とする」と規定することも考えられます。
しかし祝祭日がない6月を見てみると、先に示した規定例では月7日の休日しか確保できないことがわかります。つまりこの規定そのままでは希にではありますが違法な状態が発生することになります。
このような場合に備えて休日の規定の中に「その他会社が定めた日」を加えておき、実際のカレンダーを検討して具体的な労働日と休日の配置を考えることが必要です。
次にシフト勤務体制を採るために1箇月単位の変形労働時間制を採用する場合です。
この場合は、年中無休の小売店舗のように、そもそも土日を休日とするような概念がないことが多いですから、休日の配置の問題は大きな問題とはならないでしょう。
ただ1日の所定労働時間を何時間にするのか、また変形期間を1か月以内の何日とするのか、実に様々なパターンが考えられますから、その中で変形期間の週平均労働時間が法定労働時間を上回ることのないように、やはり具体的な検討が必要となります。
またどのような変形労働時間制を採用するにしても、労働時間が法定労働時間を超えた場合には、その超えた時間について割増賃金を支払うことが必要です。
1箇月単位の変形労働時間制では、次の時間については時間外労働となり割増賃金を支払う必要があります。
A.1日の法定時間外労働として
労使協定または就業規則等で1日8時間を超える時間を定めた日はその時間を超えて労働した時間、それ以外の日は8時間を超えて労働した時間について、法定時間外労働として割増賃金の支払いが必要です。
B.1週の法定時間外労働として
労使協定または就業規則等で1週40時間を超える時間を定めた週はその時間を超えて労働した時間、それ以外の週は1週40時間を超えて労働した時間について、法定時間外労働として割増賃金の支払いが必要です。(ただし、Aで時間外労働となる時間を除きます)
C.対象期間の法定時間外労働として
対象期間の法定労働時間の総枠(40時間×対象期間の暦日数÷7)を超えて労働した時間について、法定時間外労働として割増賃金の支払いが必要です。(ただし、AまたはBで時間外労働となる時間を除きます)
1箇月単位の変形労働時間制は、採用の要件として労使協定または就業規則で定めることとなっているように、導入自体のハードルは低いと言えます。
しかし法定の労働時間に違反しない休日の確保や時間外労働の算定方法など、適正な運用にあたっては注意点がいくつかあることがご理解いただけたかと思います。
また当然のことですが、労働日各日の所定労働時間が事前に確定していることが運用の前提となりますから、この点も注意が必要です。
また、変形期間の労働時間を平均して1週間の労働時間が法定労働時間を超えないこととされていることは前回お話しした通りです。
今回は実際の1箇月単位の変形労働時間制を採用する場合の問題点をもう少し具体的に考えてみます。
まず、完全週休2日制を採るのが難しい会社で、土曜日の出勤を確保するために1箇月単位の変形労働時間制を採用する場合です。
具体的な規定として、変形期間を歴月、所定労働時間を1日7時間30分、所定休日を日曜日、祝祭日と土曜日とし、ただし月のうち1回は土曜日を出勤日とするとした場合で検討してみましょう。
1箇月単位の変形労働時間制では1日の所定労働時間7時間30分とすると、31日の月の労働日は177.1時間÷7.5時間=23.61日、小数点以下を切り捨てて23日となりますから、休日数は31日−23日で8日が必要です。同様に計算すると、30日の月も8日、29日の月、28日の月は7日の休日が必要なことが分かります。
今年の実際のカレンダーに当てはめてみると、規定例として考えた月1回週休1日制は概ね法律上の要件を満たしているように思えます。また祝祭日が多い月では必ずしも土曜日を休みにしなくても法定の労働時間の条件を満たすことができますから、この場合には「週内の平日が祝祭日となる場合は当該週の土曜日は出勤日とする」と規定することも考えられます。
しかし祝祭日がない6月を見てみると、先に示した規定例では月7日の休日しか確保できないことがわかります。つまりこの規定そのままでは希にではありますが違法な状態が発生することになります。
このような場合に備えて休日の規定の中に「その他会社が定めた日」を加えておき、実際のカレンダーを検討して具体的な労働日と休日の配置を考えることが必要です。
次にシフト勤務体制を採るために1箇月単位の変形労働時間制を採用する場合です。
この場合は、年中無休の小売店舗のように、そもそも土日を休日とするような概念がないことが多いですから、休日の配置の問題は大きな問題とはならないでしょう。
ただ1日の所定労働時間を何時間にするのか、また変形期間を1か月以内の何日とするのか、実に様々なパターンが考えられますから、その中で変形期間の週平均労働時間が法定労働時間を上回ることのないように、やはり具体的な検討が必要となります。
またどのような変形労働時間制を採用するにしても、労働時間が法定労働時間を超えた場合には、その超えた時間について割増賃金を支払うことが必要です。
1箇月単位の変形労働時間制では、次の時間については時間外労働となり割増賃金を支払う必要があります。
A.1日の法定時間外労働として
労使協定または就業規則等で1日8時間を超える時間を定めた日はその時間を超えて労働した時間、それ以外の日は8時間を超えて労働した時間について、法定時間外労働として割増賃金の支払いが必要です。
B.1週の法定時間外労働として
労使協定または就業規則等で1週40時間を超える時間を定めた週はその時間を超えて労働した時間、それ以外の週は1週40時間を超えて労働した時間について、法定時間外労働として割増賃金の支払いが必要です。(ただし、Aで時間外労働となる時間を除きます)
C.対象期間の法定時間外労働として
対象期間の法定労働時間の総枠(40時間×対象期間の暦日数÷7)を超えて労働した時間について、法定時間外労働として割増賃金の支払いが必要です。(ただし、AまたはBで時間外労働となる時間を除きます)
1箇月単位の変形労働時間制は、採用の要件として労使協定または就業規則で定めることとなっているように、導入自体のハードルは低いと言えます。
しかし法定の労働時間に違反しない休日の確保や時間外労働の算定方法など、適正な運用にあたっては注意点がいくつかあることがご理解いただけたかと思います。
また当然のことですが、労働日各日の所定労働時間が事前に確定していることが運用の前提となりますから、この点も注意が必要です。