今回は前回に引き続き、1年単位の変形労働時間制で届出が必要な労使協定の項目のうち、「労働日及び労働日ごとの労働時間」についてお話しします。
この項目では、前回お話しした対象期間の所定労働時間の総枠の他にも、労働日数(休日数)、1日・1週の労働時間、連続労働日数などに制限が設けられています。
○労働日数(休日数)の制限
まず労働日数の制限は、労働基準法施行規則では「対象期間が3箇月を超える場合は対象期間について1年当たり280日(第12条の4第3項)」と定められています。対象期間が1年未満の場合は次の計算式で上限日数を算出します。
280日×対象期間中の歴日数÷365日
例えば対象期間が7か月で総歴日数が214日なら、280日×214日÷356日=164.16となり、小数点以下を切り捨てて164日が労働日数の限度となります。
※ただし、当年度の協定(新協定)の1日の労働時間のうち最も長いものが前年度の協定(旧協定)の定める1日の労働時間のうち最も長いもの若しくは9時間のいずれか長い時間を超え、または1週間の労働時間のうち最も長いものが旧協定の定める1週間の労働時間のうち最も長いもの若しくは48時間のいずれか長い時間を超えるときは「旧協定の定める対象期間について1年当たりの労働日数から1日を減じた日数又は280日のいずれか少ない日数」としなければなりません。
例えば、旧協定が対象期間1年で総労働日数が252日、1日の労働時間のうち最も長い日が8時間50分、1週間の労働時間のうち最も長い週が48時間だったものが、新協定で1日の労働時間のうち最も長い日を8時間30分、1週間の労働時間のうち最も長い週を51時間としたときは、1週間の労働時間のうち最も長い週の労働時間(51時間)が旧協定の最も長い週(48時間)を超えますから、新協定では総労働日数を251日(旧協定の総労働日数252日−1日)にする必要があります。
この労働日数の制限を1日の所定労働時間を一定とした場合に休日数がどのくらい必要かで考えてみます。1週を平均して40時間の労働時間の限度をクリアするために必要な年間休日日数は次の計算式で求められます。
{(1日の所定労働時間×7日−40時間)÷1日の所定労働時間×7日}×365日(366日)※小数点以下切り上げ
1日の所定労働時間が8時間の場合には、必要な年間休日日数は105日つまり労働日数は260日、7時間30分の場合には87日(うるう年は88日)つまり労働日数は278日となります。
1日の所定労働時間が7時間15分の場合には、必要な年間休日日数は78日つまり労働日数は287日(うるう年は288日)となりますが、この場合は年間所定労働日数が280日の限度を超えてしまうため、休日を増やして年間労働日数を280日以下にすることが必要になります。
○1日・1週の労働時間の制限
1年単位の変形労働時間制では「1日の労働時間の限度は10時間、1週間の労働時間の限度は52時間(労働基準法施行規則第12条の4第4項前半部分)」とされています。
また対象期間が3か月を超える場合には、
1.対象期間において、その労働時間が48時間を超える通が連続する場合の週数が3以下であること。
2.対象期間をその初日から3箇月ごとに区分した各期間(3箇月未満の期間を生じたときは、当該期間)において、その労働時間が48時間を超える週の初日の数が3以下であること
という2つの制限があります(労働基準法施行規則第12条の4第4項後半部分)。
○連続労働日数の制限
労働基準法では、使用者は労働者に1週間に1日または4週間に4日の休日を与えることとなっていますが、1年単位の変形労働時間制では原則として「対象期間における連続して労働させる日数の限度は6日(労働基準法施行規則第12条の4第5項前半部分)」とされていますから、4週間に4日という変則的な付与方法は認められません。
ただし、対象期間のうち特に業務が繁忙な時期を「特定期間」とした場合には「連続して労働させる日数の限度は1週間に1日の休日が確保できる日数(同項後半部分)」とされています。つまりこの特定期間中は週の最初の日と次の週の最後の日を休日として、その間の12日間を連続して労働日とすることが可能です。
次回は残された協定項目と、割増賃金の支払い、中途採用や中途退職の取扱いなどについてお話しします。
この項目では、前回お話しした対象期間の所定労働時間の総枠の他にも、労働日数(休日数)、1日・1週の労働時間、連続労働日数などに制限が設けられています。
○労働日数(休日数)の制限
まず労働日数の制限は、労働基準法施行規則では「対象期間が3箇月を超える場合は対象期間について1年当たり280日(第12条の4第3項)」と定められています。対象期間が1年未満の場合は次の計算式で上限日数を算出します。
280日×対象期間中の歴日数÷365日
例えば対象期間が7か月で総歴日数が214日なら、280日×214日÷356日=164.16となり、小数点以下を切り捨てて164日が労働日数の限度となります。
※ただし、当年度の協定(新協定)の1日の労働時間のうち最も長いものが前年度の協定(旧協定)の定める1日の労働時間のうち最も長いもの若しくは9時間のいずれか長い時間を超え、または1週間の労働時間のうち最も長いものが旧協定の定める1週間の労働時間のうち最も長いもの若しくは48時間のいずれか長い時間を超えるときは「旧協定の定める対象期間について1年当たりの労働日数から1日を減じた日数又は280日のいずれか少ない日数」としなければなりません。
例えば、旧協定が対象期間1年で総労働日数が252日、1日の労働時間のうち最も長い日が8時間50分、1週間の労働時間のうち最も長い週が48時間だったものが、新協定で1日の労働時間のうち最も長い日を8時間30分、1週間の労働時間のうち最も長い週を51時間としたときは、1週間の労働時間のうち最も長い週の労働時間(51時間)が旧協定の最も長い週(48時間)を超えますから、新協定では総労働日数を251日(旧協定の総労働日数252日−1日)にする必要があります。
この労働日数の制限を1日の所定労働時間を一定とした場合に休日数がどのくらい必要かで考えてみます。1週を平均して40時間の労働時間の限度をクリアするために必要な年間休日日数は次の計算式で求められます。
{(1日の所定労働時間×7日−40時間)÷1日の所定労働時間×7日}×365日(366日)※小数点以下切り上げ
1日の所定労働時間が8時間の場合には、必要な年間休日日数は105日つまり労働日数は260日、7時間30分の場合には87日(うるう年は88日)つまり労働日数は278日となります。
1日の所定労働時間が7時間15分の場合には、必要な年間休日日数は78日つまり労働日数は287日(うるう年は288日)となりますが、この場合は年間所定労働日数が280日の限度を超えてしまうため、休日を増やして年間労働日数を280日以下にすることが必要になります。
○1日・1週の労働時間の制限
1年単位の変形労働時間制では「1日の労働時間の限度は10時間、1週間の労働時間の限度は52時間(労働基準法施行規則第12条の4第4項前半部分)」とされています。
また対象期間が3か月を超える場合には、
1.対象期間において、その労働時間が48時間を超える通が連続する場合の週数が3以下であること。
2.対象期間をその初日から3箇月ごとに区分した各期間(3箇月未満の期間を生じたときは、当該期間)において、その労働時間が48時間を超える週の初日の数が3以下であること
という2つの制限があります(労働基準法施行規則第12条の4第4項後半部分)。
○連続労働日数の制限
労働基準法では、使用者は労働者に1週間に1日または4週間に4日の休日を与えることとなっていますが、1年単位の変形労働時間制では原則として「対象期間における連続して労働させる日数の限度は6日(労働基準法施行規則第12条の4第5項前半部分)」とされていますから、4週間に4日という変則的な付与方法は認められません。
ただし、対象期間のうち特に業務が繁忙な時期を「特定期間」とした場合には「連続して労働させる日数の限度は1週間に1日の休日が確保できる日数(同項後半部分)」とされています。つまりこの特定期間中は週の最初の日と次の週の最後の日を休日として、その間の12日間を連続して労働日とすることが可能です。
次回は残された協定項目と、割増賃金の支払い、中途採用や中途退職の取扱いなどについてお話しします。