現代社会においては、その基本となるルールとはどのようなものなのでしょうか
現代社会における基本ルールを考える場合、その起源は近代の始まりに求められます。
では歴史学の時代区分としての近代はどこから始まるのか。
何をもって近代を象徴する要素とするのかにより、ヴェストファーレン条約による主権国家体制の成立、市民革命による市民社会の成立、産業革命による資本主義の成立、ナポレオン戦争による国民国家の形成などがあげられますが、いずれにせよ18世紀以降のヨーロッパで成立したものであることには変わりなく、これらの要素が現代世界を特徴付けている社会のあり方とされています。
現代に通じる社会における基本ルールとしての考え方の確立という観点で考えると、市民革命による市民社会の成立、また産業革命による資本主義の成立が大きな要素として考えられるでしょう。その基本ルールは、封建的支配から個人を解放するための原理として捉えることができ、またフランス革命からナポレオン以降の国民国家の成立が、その原理に法律的な裏付けを持たせたものと考えることができます。
近代以降の社会を形成する私人間のルール(近代私法)の原則としては大きく3つ、次のようなものがあげられます。
●権利能力平等の原則
国籍・階級・職業・性別などにかかわらず、すべての人は等しく権利義務の帰属主体となる資格(権利能力)を有する
民法第3条第1項
私権の享有は、出生に始まる。
●私的所有権絶対の原則
所有権は、何ら人為的拘束を受けず、侵害するあらゆる他人に対して主張することができる完全な支配権であり、国家の法よりも先に存在する神聖不可侵の権利である
日本国憲法第29条第1項
財産権は、これを侵してはならない
民法第206条
所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する
●私的自治の原則
私法上の法律関係については、個人が自由意思に基づき自律的に形成することができる
これら近代私法の三大原則は、現代社会からは至極当たり前の原則とみられるものです。
しかし近世以前の封建社会からみればどれも「革命的」な内容であることは改めて確認しておくべきでしょう。