○休日に労働を命じる根拠

労働基準法では休日については就業規則で必ず定めなければならない絶対的必要記載事項となっています(労働基準法第89条)。また、前回も触れましたとおり、就業規則等で定める休日、特に法定休日についてはなるべく特定して規定するようにすべきです。
しかし、業務の都合上は休日に労働を命じなければならない事態も想定しておかなければならないでしょう。時間外労働と同様、休日労働についてもこの会社の命令権は雇用契約上の会社の業務命令権の一部とも考えられますが、無用なトラブルを避けるためには、就業規則や個別の雇用契約で定められた休日にも労働を命じる可能性があることを労働者に周知しておくことがまず必要になります。
就業規則に定める場合であれば、例えば「会社は業務上必要がある場合には、全部または一部の従業員に対し、第○条で定める休日に労働を命じることがある。」としておくことが考えられます。
このように定めておくことで、あらかじめ定められている休日に会社が労働を命じる権利と労働者がその命令に従う義務の根拠が明示されていることになります。

○振替休日と代休の違い

休日に労働を命じる場合にはいくつか注意すべき点があります。

まず労働を命じた本来の休日が事前に労働日に振り替えられているかです。本来の休日に労働を命じる場合に、他の労働日が事前に当該休日に替わる休日として指定されているなら、当該休日は労働日となり、その日の労働は通常の労働日に労働したのと同じ扱いとなります。これが「振替休日」の考え方です。

これに対し、本来の休日に替わる休日が事前に指定されず、休日に労働を行った後にその代償としてその後の特定の労働日の労働義務を免除して休日とする場合には、本来の休日に労働した事実は残ります。これが「代休」の考え方です。
代休の場合には、その代休取得によって相殺されるのは休日に労働した分の100%部分だけで、残りの休日労働による割増賃金の部分は代休によって帳消しにはなりませんからその部分を使用者が支払わなければ賃金の不払いが発生します。

従って会社としては休日に労働を命じる場合には「振替休日」を原則とし、「代休」はあくまで例外的な取り扱いとして、その旨を労働者にも周知しておくことが望ましいと言えます。
就業規則に定める場合であれば、例えば「会社は業務上必要がある場合には、全部または一部の従業員に対し、第○条で定める休日を他の労働日と振替えることがある。この場合は前日までに振替休日を指定し当該従業員に通知する。」としておくことが考えられます。

振替休日と代休の取り扱いについてはもう一つ注意が必要な点がありますが、それは以下のポイントをお話しした後で改めてお話しします。

○法定休日と法定外休日の違い

休日労働でさらにポイントとなるのは、その休日が法定休日なのか、それとも法定外の休日なのかです。
前にもお話ししましたとおり、休日には週1日あるいは4週4日の法定休日と、それ以外の休日(法定外休日)があります。

振替休日が事前に指定されず、休日に労働させることになった場合、その休日が法定休日であれば35%以上割増しした賃金の支払いが、法定外の休日であれば労働日の時間外労働の取り扱いと同じで25%以上割増しした賃金の支払いが必要となります。
当該休日が法定休日なのか法定外休日なのかは、まず就業規則や個別労働契約でどう定められているかで判断されます。法定休日を曜日で特定していればその曜日が法定休日となり、振替休日を事前に指定せずその日に労働を命じた場合には休日労働としての割増賃金の支払いが必要になります。
この法定休日以外の休日について振替休日を指定せずに労働を命じた場合には、休日労働ではなく時間外労働の割増賃金の対象とされています。従って当該労働に対しては労働基準法上125%以上の割増賃金が支払われていれば良いことになります。

労働基準監督署に届け出る36協定届では上段に時間外労働、下段に休日労働についてその限度等を記載することになっていますが、時間外労働については法定休日以外の休日労働時間を加味して、また休日労働については振替休日なしに法定休日に労働させるときの可能性を考えて協定を結び届け出ることになります。